保護者のための10代留学ガイド

chapter5
Q&A

Q&A

Q.中学生・高校生で留学は早すぎない?
A.

自分の身の回りのことがしっかりとできるようになっていれば、中学生・高校生期の留学には他の年代よりも有利なさまざまなメリットがあります。
10代後半は、その場の状況をそのまま受けとめる幼児や、異質な事象に対して適応するのに時間がかかる大人と違って、柔軟な対応力と異質なものに学び、それを吸収する力があります。その年代での本格的な異文化体験は、自身の文化と異文化の両方にある価値観を同時に把握し、同質のものと異質なものをより鮮明に見ることができる非常に稀な機会であり、自己を確立する上でも大きな意義があります。未成年者であるがゆえに受けられる、現地の大人のサポートの多さや、帰国後の進路選択の幅の広さもこの年代の留学がもつ優位性です。

保護者に聞く
高校生の留学
うちの
場合

高校留学は、その土地の人たちとの関わりがすごく深いんです。学校で会う友達だけでなく、ホームステイ家族や親せき、地域に住む人たちなど幅広い出会いの中で。異世代間の繋がりも経験できるのはその後の人生にとって大きな意味があることだと思います。(小平秀樹さん)

Q.短期の留学って意味があるの?
A.

多感な10代の海外体験は、たとえ数週間であっても視野を拡げ、新しい自分に出会う貴重な機会になります。
高校生の留学の約9割は3カ月未満の短期留学です。しかしながら、期間の長さを問わず、日常の生活の場とは完全に異なる価値観の中で暮らしてみる経験は、家族を含めた自身を取り巻く環境を客観的にふりかえり、離れてみなければ気づかなかったことや感じたことのない思いを抱く場面があります。社会への関心や学習意欲の高まった、その後の人生を変えるほどの影響を受けたという報告も多くあります。経済的な負担も少ない短期留学は、長期留学に挑戦する前に自分を試す上でも有効な手段といえましょう。

保護者に聞く
高校生の留学
うちの
場合

娘は、中2の夏休みに経験したアメリカでの1か月ホームステイが良い経験になり、その後の長期留学に繋がる「異文化の中でも何とかなる自信」と「思うように話せなかった後悔」の両方を持って帰り、学びたい気持ちが増しました。(小平秀樹さん)

Q.英語は苦手なのに、留学させて大丈夫?
A.

長期留学であれば、一定の英語力は必要ですが、短期留学であれば、
語学のレベルにあわせたプログラムも選べます。

英語が得意でも苦手でも、最初は思うように通じないものですが、現地の人たちとの関わりが深い10代後半の留学では、異なる言語環境であってもまずは伝えたいという強い気持ちと人の輪に入ることがとても大切です。自分の気持ちやニーズはことばで伝えなければ伝わらない異文化の環境の中で、身振り手振りといったジェスチャーや、声のトーン、笑顔など、ことばだけでなく、全身を使ったコミュニケーションを現地の人たちと過ごす時間の中で繰り返していくことによって、ことばは確実に成長していきます。

保護者に聞く
高校生の留学
うちの
場合

高校生の吸収力はすごく高いので、語学力の伸びには本当に驚きました。親は子どもの語学力が心配しがちですが、コミュニケーション力の高さや、息子にとっては音楽であったように、言葉を越えた特技や趣味をひとつ持っておくことで、言葉の壁は十分乗り越えられると思います。それほど心配はいりません。(山口次郎さん)

Q.治安が心配。安全管理はどうしたらいい?
A.

治安の状況は行く場所や時期によってもさまざまです。
適切な情報を収集し、自分の身は自分で守る意識を持ちましょう。

外務省の海外安全ホームページや大使館のホームページで渡航先の国の状況を確認する、通学予定の学校や参加する現地プログラムの関係者に問い合わせをするなど、適切な情報の収集が大切です。また、渡航前には外務省の安全管理システム「たびレジ」に登録し、最新情報を入手できるように備えましょう。期間の長さに関わらず、万が一のために海外旅行保険への加入や、3カ月を超えた渡航の場合は在留届を提出することもお忘れなく。

Q.進学や就職に不利にならない?
A.

留学で学んだことや経験したことが活かせれば、
逆に有利になります。

夏休みや春休みの短期留学であれば、受験勉強の障害にはならないはずです。反対に、現在の大学入試では、学業だけでなく、課外活動の成果や受験者の独自性、経験の豊かさが重要な選考材料とされていますので、自己推薦やAO入試、就職の際のアピール材料として、質の高い留学経験は有利です。2020年度からの国立大学の入試からは、英語4技能(聞く・読む・話す・書く)の総合的な評価が重視されるようにもなりました。長期留学の場合は、語学力や人間力の向上という点で総じて強い優位性が期待できますが、海外の学校では日本の学校と学習範囲やスピードも違うため、帰国後にどのような入試を受けるのかについて事前に考えておくことも必要です。