費用を工夫して留学した先輩たちの留学費用削減術

留学中のリアルな声を
聞いてみよう!

ただ今海外留学中の恭太さん、廉さんに、
どのように留学費用を工夫しているか
お話を伺いました。

今田 恭太
今田 恭太さん
(慶応義塾大学 在籍)
留学期間:2023年8月末~2024年6月までの予定
留学先地域:韓国・ソウル特別市 
留学先:延世大学
国際学部 Underwood International Collegeに交換留学。研究テーマは日本と韓国との先進医療の比較。その授業、フィールドワークをしている。現地から複数カ国旅行している。
【留学費用概算】

学費:無し
 ※日本の在籍大学への授業料は約143万円
住居水道光熱費:約40万円
生活費:約84万円
⇒総費用見込み 約124万円(約10カ月間)

長谷川 廉
長谷川 廉さん
(国際基督教大学 在籍)
留学期間:2023年8月末~2024年6月までの予定
留学先地域:香港
留学先:香港大学
教養学部に交換留学、言語学を中心に授業をとっている。言語が好きで中国語、広東語、ロシア語の授業も選択。
【留学費用概算】

学費:無し
 ※日本の在籍大学への授業料は約146万円
住居水道光熱費:約44万円
生活費:約108万円
⇒総費用見込み 約152万円(約10カ月間)

★返済不要の奨学金:計約150万円受給予定
・公益財団法人 業務スーパージャパンドリーム財団 2024 年度派遣留学奨学生 150万円受給予定

交換留学をうまく使う!

今の留学先の状況をお聞かせください。

廉:私は交換留学で香港の大学にいます。在籍している大学に授業料を払っているだけなので、留学用に授業料は発生していません。留学先の寮費は約44万円(1カ月当たり5万円弱)。二人部屋・全員共用トイレ。日々バックパッカー宿に泊まっているような感じですが、慣れると自宅みたいで、文化を感じます。日本では一人暮らしで家賃6万円の家で、約5千円の光熱費を払っていたので、留学先での負担の方が少ないです。

恭太:私も交換留学で、日本で在籍している大学への授業料以外は、留学用に学費は払っていないです。生活費は月に7万円程度(食費3~4万円、残り交際費、雑費)で、日本の生活とほぼ変わりません。家賃は1学期15万円(1学期は約4か月)、1か月あたり4万円弱です。

インタビューイメージ

留学タイミングを考える

お二人は日本では一人暮らしだったそうですが、借家はどうしていますか。

廉:日本で借りていた家は解約しました。3年生で留学しているので、4年生で帰国したら住む家をどうしようと迷っていますが、大学の近県に実家があるので、いざとなれば家から通おうかと思っています。4年生だと出席が必要な授業も少ないので。留学タイミングを考えて計画をするのも費用を工夫するためには大切だと思います。

恭太:私も日本では一人暮らしでしたが、借家は解約しました。他の留学仲間も解約している人が多いです。留学するタイミングを考えて選択している人が多く、半年以内での留学をする人は借家をそのまま契約していることが多いです。

留学でかかる他の費用について教えてください。

廉:渡航費は、貯めたマイルで行きましたので無料です。元々マイルを貯めたくて、クレジットも航空系にして、アフリカに旅行も行ったのでマイルが貯まっていました。その他かかっているのは、大学で強制加入での保険費用で、6万円台です。

恭太:渡航費はLCC(格安航空会社)で行ったので、往復4万円程度でした。他に、留学でかかったのは海外保険の費用。10ケ月で10万円弱で、学校が加入必須と指定した保険に入りました。

廉:海外留学の奨学金を民間の奨学金をいただいています。約150万円出ています。私の場合、交換留学で現地の授業料は不要だったので、留学に行ったほうが費用面では助かっています。民間の奨学金があれば応募しておいた方がいいと思います。ただ、成績の要件などはありました。

なぜお二人はその地へ留学したのですか。 違う国は考えましたか。

恭太:欧米も考えていましたが英語のスコアが足りなかったので、アジア圏で英語で留学できるところを選びました。料理も好きだし、日本から近いので韓国に決めました。通院で時折帰国の必要があるため、安価に帰国できる場所というのもあります。韓国はLCCが多数通っているという理由もありました。また、日韓問題があるなかで、その国の中で同じ事実がどう受け止められているのか、どう報道されているのかということにも興味がありました。

廉:元々はアメリカ留学を希望していました。ただ、以前アメリカへ留学したことがあったので、アメリカなら3か月で十分かと思っていて、最初はあまり理由なく、消去法で考えてアジアになりました。アジアには長期滞在したことがなかったのと、政治的にも変動があるので、今の香港を見てみたいと思いました。実際に留学してみて香港はもっと居たいと思います。私の友人も留学に興味がなかったが、アジアならと思って留学した人がいます。もっと長く居たいと言っていました。どの国にも魅力があります。

実際に現地で金銭的な制限はありましたか。どう工夫されましたか。

恭太:国内の在籍大学では、JASSOの国内の貸与奨学金を使っていて、親が協力して支援してくれている生活費を越えないという条件で留学に行っています。そのため現地では節約をしています。渡航費はLCCを使って抑えています。現地での感覚としては、日本で節約しているような感じです。食事については、寮にあるキッチンが部屋から遠かったり広くなかったりで、自炊が遠のいて外食が多いです。ただ出前は日本より安く、費用をあまり気にせずに気軽に使えるのがいいです。

廉:香港は、日本より物価が1.5倍から2倍高いです。基本、輸入品が多いので高いのですが、日本からの品もたくさん輸入されています。ないものが見つからないくらいです。ちなみにどこの国の輸入品も日本の品もほぼ同じ価格です。外食も日本の1.5倍くらいの感覚なので、自炊を中心にしています。寮では共有のキッチンなので自分の鍋を持って、おかずを作って、量販店でパックご飯買って食べています。

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日本からの送金方法を確認しておく

費用削減のためにおススメの方法はありますか。

廉:送金は現地口座を作って、円安見込んで、来学期分の生活費等を日本から多めに送っています。現地口座は早めに作ったほうがいいと思います。香港はID(在留カード)がなくても口座が作れます。日本からの送金に関しては、手数料が少なく海外送金ができるサービスを探して、レートを見つつ、送金しています。信用性が高いサービスを選ぶこと、不正利用される危険もあるので、情報を得るためにも留学経験のある友人などに聞くのがいいと思います。

恭太:日本から送金するのに手数料がかかるので、私も手数料が低いサービスを選びました。また為替チェックをし、日本のクレジットカードで海外利用手数料が低いものを選んだりして、日本にいるうちに作っておきました。カードの使い分けもしていました。韓国ではデビットカードを使っています。ただ、現地口座ができるまで韓国では、ID(住民番号)が必要です。できるまでに2か月ほどかかったので、その時は当面の費用を引き出せるように日本のクレジットカードを使っていました。

現在の国・地域で留学してよかったことはなんですか。

廉:留学先で取れる授業のコマも多くないのと、成績の評価が「認定」にしかならない交換留学なので、成績を気にせず、留学した地での経験に全振りできているのがいいと思います。アジア地域は、日本から地理的に近いし、なにかあっても帰れるという気持ちがあるので、挑戦しやすい場所。以前、高校生の時にアメリカ留学しました。当時は1年間帰国せず、日本人との連絡もほぼとっていなかったこともあり、今回は、日本人らしい学生生活が送れそうなアジア圏という選択でもありました。現地で日本人コミュニティもありますし、日系企業とのつながりもあります。日本人らしく過ごせて、実習プログラムをしながらも留学できる。今回の留学の前に、複数の国を行ってみたからこその選択でした。生活するならアジアがいいな、と思います。

恭太:たしかに、留学先では、成績の評価が「認定」にしかならないので、気持ちが楽ですね。留学生あるあるかも。その分、ほかの体験ができます。韓国では就労可能なビザなので、アルバイトもして、海外旅行にも行けています。

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留学したからこそ得られたこと

アジア地域に留学したことで得たことはありますか。

廉:日本人としてのアイデンティティを感じられるのがアジアだと思っています。欧米の国の人から見ると私たち日本人はアジア人の誰か。アジアにある香港の人から見ると、自分は日本人。親日ということもあると思いますが、自分が日本人であることのアドバンテージを感じられています。アジアにいる分にはみんなアジア人なので、アジア人フィルターがありません。留学に何を求めるかにもよりますが、留学期間、一年間精神的に日本ではない環境に追い込むという選択もあります。違う環境に適応することに価値があると思うと、アジアは向いていないかもしれません。大学生は大人なので、精神的な追い込みよりも、自分がフレキシブルに考えて過ごせるアジアにしてよかったです。 高校生の留学だったら、私なら欧米圏を勧めるかもしれません。アジア人フィルターがあるなかで、現地で適応することだけをメインに考えられるのが高校生ではないかとも思うからです。ただ、大学生は学問を学ぶことがメインだと考えると、フレキシブルに考えて動ける留学先がいいと思っています。

恭太:旅行で15か国くらい行きましたが、旅行先では、自分はアジア人で、日本人であるというアイデンティティを感じました。せっかくなら日本にいる日本人と違う経験をしたくなり、日本でないアジアに行ってみたくなりました。現地に留学してみると、日本のニュースでみる韓国と実際が違います。私は特にトラブルもなく、現地の人によくしてもらっています。住民として現地にいかないとわからなかっただろう感覚を得られています。韓国で車の免許をとりましたが、日本の免許からの書き換えでした。韓国は役所も仕事が早く、「政府24」といういつでもどこでも証明書などが発行できるサービスがネット上で申請できて便利です。結果的に、デジタル先進国を見られてよかったという感覚です。また現地から、フランクフルトやウランバートル、ロサンゼルス、上海など旅行にも行っています。フッ軽に留学先からどこにでも行けるのも魅力かもしれません。特に韓国や香港は小さい国なので、国内で見るところも多くなく、海外へいく文化があるのではないでしょうか。ハブ空港もありますし。

この留学が将来の展望とどう結びつくと思いますか。

廉:選択肢がものすごく広がると思います。香港留学だけ見ても、日本と香港との就職や転職が選べます。選択をこう変えたら人生がもっとよくなるかも、と。日本にこだわらなくても住みやすい、行けそうと思える地域の選択が増えたと思います。将来までの展望はまだないですが、数十年後の選択肢の量が増えるのではないかと思います。人生を振り返ったときに気づくのだと思います。

恭太:この留学をきっかけに今は、韓国の大学院に行こうと思っています。学ぶ拠点を日本に置く必要がないと思いました。いろいろ得られた中で、正規で自分が学ぶ場所で、異文化で学ぶ価値があると思ったのです。国際学。国際政治学。外国人として大学に入学するのはハードルは高くない。最初は韓国語が話せなかったのですが、今は韓国語を学んでいて、モチベーションも上がっています。

費用で諦めそうになっている人へ

廉:日本にいるときよりも生活が楽になっている気がします。費用の逆転も起こり得る。費用面を最初の問題と考えず、解決策を探してみると進めることもあると思います。留学=アメリカなどの固定イメージに縛られずに考えて、アジアなども含めて選択をすることもいいと思います。いろんな国を選択肢としてみてほしいですね。欧米での留学希望の人には、欧米系の友人が欲しいという人がいると思います。実はアジア留学の方が、欧米人の留学生と同じ留学生というカテゴリーになるため、垣根なく欧米系の友人ができやすいと感じています。選択肢をもつことで解決できることがあるかもしれません。

恭太:私はこの留学で、結果的に費用面のメリットだけでなく、アジアに留学したからこそ得られたことが多かったです。自身の成長を求めているなら、ただ留学しただけでは成長しないですので、留学先にこだわらずに、自分がそこで何をしたいか、何をするかが大切だと思っています。まずは挑戦してほしいです。

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※掲載情報は、取材当時のものです。