留学内容
大学でアルメニア語、アルメニアの文化・文学などについて学びました。
学んだ語学を活かして、日本語・日本文化教育センターである「いろはセンター」で書道を指導したり、様々なイベントに参加したほか、自分の研究のためにアルメニアの社会制度を調査することもありました。
最終更新日:2020年11月16日 初回執筆日:2020年11月16日
語学力:
言語 | 留学前 | 留学後 | |
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アルメニア語 | 挨拶など基本的な会話ができるレベル | → | 授業や会議の内容が理解でき、必要な発言ができるレベル |
大学でアルメニア語、アルメニアの文化・文学などについて学びました。
学んだ語学を活かして、日本語・日本文化教育センターである「いろはセンター」で書道を指導したり、様々なイベントに参加したほか、自分の研究のためにアルメニアの社会制度を調査することもありました。
コーカサス地域に暮らしてみたいと思ったからです。ここは古くから保養地としても有名で、ロシアの芸術家たちもコーカサスで休暇を過ごし、多くの美しい作品を残しました。またセルゲイ・パラジャーノフというアルメニア人映画監督にも関心がありました。そんなアルメニアが、ディアスポラによる広いネットワークを有していることや、IT立国であることなどから、ビジネスが始めやすい国として注目されていたので選びました。
アルメニア語、文化経験、フィールドワーク調査などで成果を収めることができました。
自分の常識を離れて多角的に物事を考える力
アルメニアという日本から遠くあまり知られていない国ゆえ、最初は未知の国で異なる文化や価値観に驚くことが多かったのですが、それを観察することによって少しずつ自分の思考回路を広げていくことができました。考え方が広がると自分の意見や生き方も広がりを見せて、既存の常識を超えて物事を多角的に見る力がついたと思います。
アルメニアはとても美しい国だったのでその思い出をいつまでも大切にしたいと思っています。特に今はナゴルノ=カラバフという地域を巡ってアゼルバイジャンと戦争が続いています。留学中は一度たりとも危険な目にあったことない安全な国でしたが、戦争が始まってからアルメニアは一変しました。そこで、アルメニア劇芸大学の学生が手掛ける平和を呼びかける動画の作成活動に協力するなど、少しずつ私に出来ることをしています。
2019年
4月~
2019年
12月
大学でアルメニア語、アルメニアの文化・文学などについて学びました。
学んだ語学を活かして、日本語・日本文化教育センターである「いろはセンター」で書道を指導したり、様々なイベントに参加したほか、自分の研究のためにアルメニアの社会制度を調査することもありました。
学費:納入総額 - 円 |
住居費:月額 - 円 |
生活費:月額 - 円 |
学費:納入総額 - 円 |
住居費:月額 - 円 |
生活費:月額 - 円 |
アルメニア語に、անուշ[anush] という単語があり、直訳するとsweetという意味ですが、この単語がアルメニア語の中で一番好きです。使い方は面白く、例えば食事をする時「食べてsweetな気持ちになってください」という意味を込めて’anush’と相手に言ったりします。売店やレストランでも食べ物を渡される時に’anush’とよく言われます。
また、シャワーのあとや散髪の後に「良いですね!気持ち良くなりましたね。あなたはsweetになりましたね」という意味を込めて’anush’と声をかけることもあります。
アルメニア人女性の名前としても使われていて、人気がある名前です。
この素敵な単語は短いですが、深い意味を込めることができ、この単語を使うときはいつも相手の幸せ願っています。
このようにアルメニアでは、大変心温まるシチュエーションをよく見かけることができます。
アルメニア人映画監督セルゲイ・パラジャーノフ(1924-1990)は、アルメニアについて次のような言葉を残しています。「アルメニアはその魅惑的な文化ゆえに偉大な国であり、それは私の祖国である。私は初めてアルメニアを訪れた。完全に私はその美しさと民族の詩趣に富む様に胸が締め付けられるほど感激したのであった。というのも私はジョージア、ティフリスのアルメニア人である。私はトビリシで生まれた。初めてアルメニアを見たとき、異常なまでの古典美、簡潔さがあまりにも偉大だった。」彼は祖国アルメニアを愛し、その愛の集積ともいえる映画『ざくろの色』を制作しました。これはアルメニアの民族文化を知る上で重要な作品であり、彼の作品を見たアルメニア人は「映像の中に自らの遺伝子を感じた」と語っています。
そんなアルメニアの魅力を写真でお伝えします。
アルメニアは紀元後301年に世界で初めてキリスト教を公認した国で、アルメニア人は現在もその歴史を誇りに思っています。アルメニアのキリスト教文化は独特なもので、アルメニア使徒教会(略称アルメニア教会)、アルメニア正教会などと呼ばれています。エルサレムにも彼らの居住区が定められているほか、アルメニア人の生活・文化に大きな役割を果たしています。その独自性は建築様式にもよく表れています。アルメニアには多くの修道院がありますが、私が最も好きなのは北部にあるロリ地方の修道院群です。そこには秀逸な教会建築が残されており映画「ざくろの色」の撮影地としても使われました。また教会内外の壁や敷地内に、植物や動物などがモチーフに使われている石碑が沢山設置されてあります。その石碑をハチュカルと呼びます。アルメニア語で十字架を表すハチュ(խաչ)と石を表すカル(քար)を組み合わせた単語です。ハチュカルはアルメニアの伝統技術としてユネスコ無形文化遺産にも登録されています。
留学での出会いは様々ですが、自分が予期していなかったところにいつも大切な出会いや経験がありました。
留学中、もっとも大切な友達になったのは日本人のルームメイトでした。私は留学中、広いアパートを借りて一人で暮らしていましたが、最初はアルメニアという異文化の中で精神的にも孤立して疲れていました。そんな時、留学後半から日本人留学生とルームシェアを始め、楽しいことや辛いことを「日本語で、対面で」共有し合えたことがお互いにとって大きな支えになりました。
アルメニアは食べ物が豊かな国です。海のない国ですが、湖でとれた魚が売られており、とてもおいしいです。でも、アルメニア人は肉が大好きですね。
一番の主食はパンです。ラヴァシュという小麦粉と水と塩だけで作られた薄いパンがあります。ラップサンドに使うあのパンです。アルメニア人も、ラヴァシュに野菜やチーズ、肉などを巻いて食べます。ラヴァシュはアルメニア人のアイデンティティを支える食べ物で、どの家庭にも常備されています。その作り方は特殊で、ユネスコ無形文化遺産にも登録されています。アルメニアの伝統的な結婚式では、新家庭が豊かな職に恵まれるよう、新郎新婦が肩にラヴァシュを乗せて祝う習慣もあります。一枚はとても大きいんです(写真参照)。でもアルメニア人はいつも誰かと一緒に食事をしているので、大きくて良いのです。家族をとても大切にしますから、一人暮らしをしている人は少ないです。
外食しても安く済ませることができます。ワインもビールも安くておいしいので、胃もたれなど健康管理に注意が必要です。
そんな時は、マツンというヨーグルトを水で薄めたり、ドレッシングにしたりして食べるとよいですよ!
アルメニア人は、アルメニア語とアルメニア文字を大切な民族文化として愛しています。中世アルメニアの詩人であるサヤト・ノヴァはこのようなことばを残しており、映画「ざくろの色」でも引用されています。Գիր սիրե, ղալամ սիրե, դավթար սիրե(святых цели три: возлюби перо, возлюби письмо, книги возлюби. ) (本を愛せ、筆を愛せ、書を愛せ *日本語訳はアルメニア語より)
言語の習得は難しいですが、その美しさに触れると学習を楽しめました。
また、アルメニア語には方言があります。アルメニアの第二の首都ギュムリは、エレバンから100kmほど離れたアルメニア西部にある町です。ここへ旅行に来るとエレバンとは少し違うアルメニア語を楽しむことができます。ちなみにギュムリは1988年に大地震が発生し多くの人が亡くなりました。それゆえかエレバンより静謐な雰囲気のある街ですが、どこかノスタルジックで再訪したくなる街でした。