留学大図鑑 留学大図鑑


最終更新日:2024年02月21日 初回執筆日:2024年02月21日

環境保護と地域活性化の両立

留学テーマ・分野:
短期留学(3か月以内、語学・ボランティアなど各種研修含む)・社会探究
留学先(所属・専攻 / 国 / 都市):
  • 公文国際学園
  • アメリカ合衆国
  • ポートランド
留学期間:
29日間
総費用:
- 円 ・ 奨学金あり
  • トビタテ!留学JAPAN「日本代表/新・日本代表プログラム」 410,000円

語学力:

言語 留学前 留学後
英語 授業や会議の内容が理解でき、必要な発言ができるレベル 授業や会議の内容が理解でき、必要な発言ができるレベル

留学内容

かつては『切り株のまち』と言われるような林業が盛んなまちだったアメリカのポートランドでしたが、どのようにして環境先進都市と言われるまでの都市開発に発展していったのかを探るべく留学を決意しました。この発展の裏側には、ポートランドの人々の自然環境復興への強い想いが根底として当たり前のように潜在しているのではないかと考えていたため、その人々の心を知るには現地で直にポートランドの人々と触れ合う必要があると感じました。よって、現地では主体的に人々の交流の機会づくりに努め、環境理念が強い企業の本社を訪問したり、ボランティア活動に参加したりしました。

留学の動機

地元の福岡県飯塚市にて、盆地という地形の斜面を利用した大規模な太陽光パネルの設置工事の現状を見たことがきっかけです。太陽光発電は持続的可能エネルギーとして社会貢献を果たしている一方で、森林伐採が行われているという状況に本末転倒ではないかというモヤモヤを感じ、緑の豊かさを再び取り戻すことに成功したポートランドを自分の目で見て感じたいと思いました。

成果

まち並みを始め、ファーマーズ・サタデーズマーケット、ヴィーガン向けスーパーマーケットの視察や、博物館の訪問、また、Patagonia、Columbia、adidas、keen、Nikeの企業訪問とそれに伴うインタビュー、そして、ボランティア活動の参加を積極的に行いました。また、日本食、折り紙、習字、浴衣の着付け、ヨーヨーすくい、そろばん、水墨画、日本風顔はめパネル、狂言、盆踊りの普及を行いました。

ついた力

恥を捨ててこその「殻破り」力

世界に出てみたことで、「意外と自分は勇気がない」という自分に潜んだ“臆病さ”を知ることができ、そして、勇気を出して、恥を恐れる自分の殻を打ち破ることができる力を身につけることができました。自分が見たい将来の情景と自分の存在意義を感じたとき、思い切って恥を捨てることの決心ができました。このことから、自分の中に揺らぐことのない強い芯を持って世界に出て行動すれば、どんどん成長していけると感じました。

今後の展望

地元愛を改めて感じた一方で、現代社会を自分の目で知り、多角的に捉えて考察し、そしてそれを自分の言葉で言語化して発信していくことの楽しさと重要さを改めて感じました。それから真剣に「世界を駆け巡るグローバルな人材になりたい」という思いが自分の中で駆け巡るようになり、最近の文理選択では思い切って“理系”を“文系”に進路変更することを決意しました。今後はこの進路を軸に突き進んでいきたいです!

留学スケジュール

2023年
8月~
2023年
8月

アメリカ合衆国(ポートランド)

1. まち並みの視察
かつては“切り株のまち”と言われる林業が盛んなまちでしたが、現在のポートランドには木々の緑がまちを取り囲むように存在しており、「まちの自然環境を守りたい」という人々の精神が表れているようでした。また、ポストモダン的建築物の多さからは、王道な道からあえて外れたいという他とは異なるポートランドのまちのユニークな個性が強く感じられました。

2. ファーマーズマーケットとサタデーズマーケットの視察
ファーマーズマーケットでは、赤・黄・緑といった彩りを感じさせる野菜や果物がプラスチックかごやざるやダンボールにいれられたまま机の上に並んでおり、地産地消ならぬ新鮮さがありました。また、サタデーズマーケットでは、食材というより、主に職人によるクラフト品が多く、自分の好きなことを表現しているようなクラフトマンの精神が感じられました。 

3. ヴィーガン向けスーパーマーケットの訪問
食料品をはじめ、日用品やステッカー、ベジタリアン向けのベーコンやチーズ等、数々の豊富な商品が並べられて、品揃えがしっかりしていることから、ベジタリアンやヴィーガンの人々の需要が満たされているようでした。人々のインタビューからは、ヴィーガンレストランが多いことがポートランドの利点だという意見があり、実際に食してみたところ、質素な味付けだという仮定が完全に覆され、とてもクオリティーが高かったです。ふつうのスーパーマーケットにはオーガニックな商品ばかりが陳列していることからも、自然と環境配慮の精神が人々に根付いているようでした。

4. Patagonia、Columbia、adidas、keen、NIKEの企業訪問
 Patagonia:店員がアウトドアな服装を身にまとい、カジュアルな雰囲気を醸し出している他、内装も自然環境を感じさせる配色でレイアウトされていました。ところどころには創立の想いとストーリーを感じさせる装飾物や看板があり、自然保護に対する強いサポート精神が感じられました。インタビューからは、とにかく「NO PROFIT」をモットーとして本気で環境のために働きかけていることがわかりました。

 Columbia:本物の岩によるアウトドアを感じさせる入口から始まり、カウンターのガラス机には、浸食された丸い小石が詰まれており、山から川まで感じられるデザイン構造になっており、本社だからこその“スタートアップ地点”のようなものを感じました。インタビューからは、アウトドア好きの人を中心として、環境保護をサポートしているようでした。

 adidas:北米本社は中に入れなかったため、建物の外装を探検する形となりましたが、会社とは思えないほどにサッカーコートやカフェの設備が非常に整っていました。

 keen:廃材のドラム缶を利用して作り変えられた椅子やソファーや、からくりの作りをした靴置き場、子供スペースといった基地のような世界観をもつ内装となっており、商品だけでなく、建物の時点からリサイクルの精神をオープンに出していました。

 NIKE:本社ツアーの参加が難しかったため、Nikeのデザイナーになるという夢を持つ男性にインタビューをしました。また、日系アメリカ人交流会で出会ったNikeの本社で働いている男性にもインタビューを行うことができました。

5.ボランティア活動の参加
まちの清掃活動と道路のペインティングの2つのボランティア活動に参加しました。ECOと言われる情報とのギャップのゴミの量には圧倒されましたが、活動中にまちの人々から感謝のことばをかけられたりされ、まちの住民としての一体性を感じました。こういったボランティア活動を通して、自然と形成されていくまちのコミュニティの場からは人々の協調性が感じられました。

6. 森林博物館や歴史博物館の訪問
ネットだけでは得られない正確な情報を得られた他、スタッフや警備員にインタビューを行うことができました。彼らからは、「自然豊か」「人々が親切」「都会過ぎず田舎すぎない」「好きなことを仕事にできる」「湿度が低い」「高速道路や路面電車といった交通の便が良い」といった貴重な市民の声が得られました。

費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

ホイト植物園にて
まちを取り囲む緑
World Forestry Centerにて
費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

スペシャルエピソード

感謝してもしきれない、お世話になった・大好きな人

私は約一ヶ月間、ホストファミリーの家に滞在していました。家にはホストマザーと犬、そして偶然にも一緒だった一人のトビタテ生、そして家には時折ホストマザーの家族がやってきていました。
彼らと過ごした日々を振り返る度に、America's Got Talentを毎晩見たり、一緒に夕食を作ったり、Barbie映画を見に行ったり、ガレージセールのお手伝いをしたり…などなど淡々と過ぎていった一ヶ月の間には沢山の思い出が詰まっているのだなという思いに浸ります。笑いあり、感動と別れの涙あり。最後の日にホストマザーは私に、「お別れする今日を私は悲しいと思わない。だって、この出会いそのものが素晴らしいものであるから。」と目に涙を浮かべながら言いました。その時、私は色々な感情を堪え、ただ「Yes」と言うだけで必死でした。こうやって一ヶ月ポートランド生活を楽しめたその裏には、ホストファミリーの支えがあったからで、今一度彼らに「ありがとう」と伝えたい気持ちでいっぱいです。

ホストマザーへ 帰国一日前にプレゼント
毎日通った現地校にプレゼント

日本のことが、とても好きになった瞬間

ポートランドの行事スケジュールをネットであさりまくっていたある時、私はポートランド日本庭園でBon festivalと呼ばれる盆踊りが開催されることを知りました。私はアンバサダー活動の一つに、地元の『飯塚音頭』の曲を利用した盆踊りの普及を掲げていたため、これが絶好の機会だと確信し、ポートランドで盆踊りを教えていらっしゃるMs.Chrisさんに会場で直撃することになりました。勇気を出して、その旨を伝えたところ、とても歓迎され、後日『飯塚音頭』を教える機会を設けてくださることになりました。地元の「飯塚よかところ」という歌詞のある盆踊りの曲を教えられたことはもちろん、それを喜んで楽しそうに踊っていらっしゃるChris先生を見て本当に嬉しくなりました。また、その後狂言を披露したところ、真剣なお顔で聞き入られており、日本文化に本当に興味があるのだなと、私自身も日本を誇りに思えた出来事でした。

Ondo IizukaをChris先生と踊っている風景
日本庭園(右:自分 左:ハウスメイトのトビタテ生)
墨汁でオリジナル短冊づくり

この国のことが、とても好きになった瞬間

語学学校で一際主張の激しい服を着た男性を発見しました。服には、「I want to be a NIKE shoe designer」という文字、裾の方には彼のSNSのQRコードというように彼のオリジナルデザインが施されていました。彼が来てくるそのTシャツ以外のコーディネートは全てNikeの商品というように、それらは本当に彼のNike愛を物語っていました。
私がポートランドにあるNikeの本社を訪問したいということもあって彼にインタビューをしてみたところ、彼は「その本社でNikeのデザインをすることを夢見てポートランドにやって来た」というのです。そこで、私は後日彼にNIKEの本社を個人的にガイドして頂けることになりました。NIKE愛が強い彼は、細かく専門的な知識を交えながらの分かりやすいガイドをしてくれたりとお世話になりました。
ポートランドには「KEEP PORTLAND WEIRD」という言葉があるように、ポートランドには変わり者が多いとは知っていましたが、変わり者をも呼び寄せる魅力的なまちなんだなと感じました。

彼のオリジナルTシャツ
ポートランド人は変わり者であれ

一番は自分の身の安全!いつでもどこでも何事でも油断禁物!

  • 生活 : 治安・安全

ポートランドは「全米1 治安が良いまち」と言われ、心配性の家族も納得の上で今回のひとり渡米を決断した訳ですが、コロナウイルスの影響により、まちはかなり衰退した様子でした。その様子を見た時、自分が思い描いていたまちの理想像にヒビが入ったような感覚で、かなりショックでした。それはまちの中心部に行けば行くほど、ホームレスやドラッグの存在が目立ってきて、恐怖を感じました。その他、日本人が事件に巻き込まれたり、日本人の知人が買ったばかりの自転車を盗まれたりというように、すぐ身近でも影響が出ていました。実際、ホストファミリーやインタビューした人からも、「ダウンタウンは危険だ」という意見がありました。そのことから、まちのことをよく知る現地の人の意見を素直に受け止め、ダウンタウンに行く際は一人であまり行かないこと、常に貴重品を肌身離さないことを意識していました。治安が良いと言えども、まずは自分の身が一番であり、いつでもどこでも何事でも油断禁物だと気付かされました。

心臓バクバクの中華街通り

留学前にやっておけばよかったこと

上手く行かなかった時に備えた“リストアップ”です。事前準備の際は出来る限りのことは行ったものの、現地における先方のアポイント取りには繋がらないまま留学がスタートしました。限られた時間で理想のスケジューリング作成に何度も挫折を味わい、その時はとりあえず行動することに集中していたのですが、一旦落ち着いた帰国の際の飛行機では、「綿密にリストアップをしておけば時間の効率性が上がったのに」と反省しました。

留学を勧める・勧めない理由

留学をお勧めします!失敗や成功という表面的な結果に様々な感情を抱きがちですが、「留学に挑戦すること」は自分を変えます。ただ、単に留学を決断するのではなく、「その留学をして、自分はどういうミッションに挑むのか」という自分にしかないストーリー性があってこそ、留学生活は充実したものになると思います。きっと、友人や価値観、自己の確立や新しい挑戦心など、自分にとって「新しい何か」が得られると思います。

これから留学へ行く人へのメッセージ

失敗は失敗ではなく、 “行動”という成功のプロセスであり、成功はアプローチした中の一部のチャンスを掴んだに過ぎないと思います。とりあえず思ったその時に何かしら行動に移し、諦めないこと。失敗を前提に行動するくらいの勢いで良いと思います。また、現地にいるからこそ日に日に駆られる挑戦心を、日に日に巡り合う人々との出会いと結びつけ、出会いの素晴らしさを自分の身で感じてみてほしいです!留学頑張ってください!