留学内容
本留学では、バイオマテリアル研究の専門家であるカリフォルニア大学リバーサイド校のDavid Kisailus教授の下で、新規バイオマテリアルの物性解析技術を修得することを目的とする。Kisailus教授はScience誌に研究論文を発表するなど、バイオマテリアル分野で世界をリードする研究者である。現在私は、指導教官である田中教授とKisailus教授の共同研究の中で、シリカから成る珪藻の細胞壁(珪殻)上における酸化チタン結晶の合成を研究している。珪殻は表面積が大きく、化学的・物理的に安定であることから、ナノ触媒材料の支持体として利用でき、幅広い産業応用が期待されている。本留学では、この新規バイオマテリアルである珪殻-酸化チタン複合体の機能や物性の詳細な解析を目指し、サブオングストロームレベルの分解能を有する超高電圧電子顕微鏡(FEI Titan 300)を用いた酸化チタン結晶の構造決定、元素分析、結晶性解析を駆使した表面解析技術を学んだ。これらの技術を用いたことで、新たな知見を得ることができ、現在学術論文を執筆中である。そして、この研究では私の専門である生命工学の他に、材料工学的知見を修得してきた。Kisailus博士が得意とする学際的な研究を推進しており間近でその推進方法を現在も学んでいる。