留学内容
私は人為交配の繰り返しにより花が「美しい姿」を獲得するプロセスを生物学的な観点から研究しています.特に美術史に登場するような花がどのように生まれたのかに関心があり,今はモネの『睡蓮』に描かれているスイレンの花のかたちを研究しています.トビタテのプロジェクトでは,スイレンの形の変遷過程を明らかにするためのデータ取得と解析手法の開発を行うため,Latour-marliac社とフランス国立農学研究所(INRA)に滞在しました.Latour-Marliac社(LM社)はベルエポック期に画家モネの庭園にスイレンの苗を提供したナーセリ(種苗取扱業社)であり,フランスのTemple-sur-Lotに現存しています.ここではモネが描いた品種を含めたくさんの花の画像データを取得することができました.また,現地で開催された国際睡蓮協会のシンポジウムに招待され発表を行いました.モンペリエのフランス国立農学研究所ではスイレンの三次元花形態を解析するためのプラットフォームを開発しました.ここではコンピュータモデリングを駆使し植物器官の形態を表現・解析する新規モデルの提案を行い,現在論文および国際学会での発表を目指して研究を継続しています.