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最終更新日:2025年05月16日 初回執筆日:2025年05月16日

将来の夢を見つけた留学2

留学テーマ・分野:
大学生:交換・認定留学(日本の大学に在籍しながら現地単位取得を伴う留学)
留学先(所属・専攻 / 国 / 都市):
  • ①テキサス大学McGovern医学校幹細胞&再生医療センター❷DIAGEST srl❸カーディフ大学医学部❹ペルージャ大学医学部
  • アメリカ合衆国・イギリス・イタリア
  • ヒューストン・ローマ・カーディフ・ペルージャ
留学期間:
3ヶ月1週(①3週間+❷1週間+❸4週間+❹5週間)
総費用:
- 円 ・ 奨学金あり
  • トビタテ!留学JAPAN「日本代表/新・日本代表プログラム」 370,000円
  • 大学独自のもの 364,000円

語学力:

言語 留学前 留学後
英語 授業や会議の内容が理解でき、必要な発言ができるレベル<英検1級、IELTS7.0> 授業や会議の内容が理解でき、必要な発言ができるレベル

留学内容

幹細胞の実験主義の獲得、海外病院実習、海外の医学生や医師との交流を3つの柱として留学をしました。今回の留学はさまざまなプログラムを組み合わせており、前半(①)に研究室留学、後半(❷❸❹)に病院実習を行いました。前半の研究室留学では、人iPS細胞を用いたオルガノイドに関する幹細胞の実験手技を目標に留学し、臨床留学では、糖尿病とその合併症(目[網膜]・腎[透析])、免疫、幹細胞の臨床実用化が進んでいる眼科・血液内科(造血幹細胞移植)を中心に学びました。詳細なスケジュールは以下の通りです。

    
【研究室留学】
①Center for Stem Cell & Regenerative Medicine/ Institute of Molecular
Medicine/McGovern Medical School/UTHealth(アメリカ・ヒューストン)(3週間)

【海外病院実習】
❷DIAGEST(イタリア・ローマ)(1週間)ー透析クリニック
❸ University Hospital of Wales(イギリス・カーディフ)(4週間)一免疫科、眼科
❹Ospedale Santa Maria della Misericordia(イタリア・ペルージャ)(5週間)一内科、糖尿病内科、血液内科

留学の動機

高校生の時に医学の多様性に驚き再び医学生として留学を夢見る中、本学免疫学研究室研修を通して「糖尿病」について学びました。根治の可能性を持つ人 iPS細胞を用いた膵島移植が世界で初めて米国で行われたことを知り幹細胞の実験手技獲得を目指し米国研究室研修と幹細胞の臨床実用化がいち早く進む科での実習に加えて、糖尿病やその合併症の治療について英語圏と非英語圏の両方の臨床現場で学びたいと思い留学しました。

成果

トビタテ高校2期生として参加した留学から9年が経ち、再びトビタテ大学15期生として、今度は医学生として研究室研修と病院実習に参加し、幹細胞の手技を学び、糖尿病や糖尿病の合併症について多面的に学ぶ機会を得ました。留学を通して、臨床と研究が密接に関わっていることを体感し、臨床と研究の両方の専門家になりたいという新たな将来の夢ができました。

ついた力

あきらめない力と瞬発力

大学生になったら再び留学したいと意気込んでいたものの、新型コロナウイルス感染症拡大下で留学から遠ざかる日が続き、いつ留学できるかわからない状況が続きました。そんな中で、今できることから準備を進める中で研究室研修と臨床実習の機会を得ることができ、あきらめない重要性を学び、留学中は思わぬハプニングにも冷静に判断する瞬発力がついたと思います。

今後の展望

今年度より初期研修と同時に大学院に進学し、トビタテや留学で得た経験を胸に、「3つのかく-恥をかく、汗をかく、絵をかく」をモットーに多くのことを吸収し、一期一会の出会いや繋がりと学びを大切にし、努力を重ねていきたいです。

留学スケジュール

2023年
7月~
2023年
8月

アメリカ合衆国(ヒューストン)

テキサス大学McGovern医学校幹細胞&再生医療センターで、人iPS細胞を用いた気管の臓器モデリングを行う研究室に所属し、Sarah Huang先生の下で、細胞培養や染色、FACSなどの幹細胞を用いた実験手技と研究用語を現場で学びました。マウスに対する幹細胞を用いた気管移植も見学しました。現地のSurgeryCenterの麻酔科で1日実習をし、テキサスメディカルセンター内のBaylor St.Luke's Medical CenterやTexas Children's Hospitalで病院見学を行いました。全米最大と言われるテキサスメディカルセンター内にはUTHealth、ベイラー医料大学、MDアンダーソンガンセンター、ライス大学などの多くの研究施設や病院があり、さまざまな施設に所属する現地の医学生や医師の方々とともに世界中 から集まる医学生や研修医の方々と交流しました。

費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

Sarah Huang先生(右)チーム
テキサスメディカルセンター
費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

2024年
4月~
2024年
5月

イギリス(カーディフ)

カーディフ大学の附属病院であるUniversity Hospital of Walesで、2週間ずつ免疫科と眼科を回りました。アレルギーや免疫不全を専門とする免疫科ではStephen Jolles教授にご指導いただき外来や免疫グロブリン療法、ミーティング、ラボに参加し、免疫不全症やアレルギーについて学びました。眼科では様々な分野で外来見学と手術見学を行いました。日によってそれぞれの分野の専門の先生につく形式で実習をし、白内障・緑内障・網膜疾患などについて、術前の外来・検査から手術、術後のフォローアップと一連の流れを学ぶと同時に、ぶどう膜外来や遺伝外来、小児眼科外来などの幅広い分野に触れる機会を得ました。遺伝外来では、Marcela Votruba教授の下で、Leber遺伝性視神経症、ミトコンドリア症の1つであるMERRFなどを学び、眼科疾患モデルマウスのラボミーティングや人工角膜ハイドロゲル移植についての講義に参加しました。

費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

免疫科Stephen Jolles教授(左)
眼科Marcela Votruba教授(左)
費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

2024年
5月~
2024年
6月

イタリア(ペルージャ)

ペルージャ大学の附属病院であるSanta Maria della Misericordia病院で5週間、血液内科、糖尿病内科、内科で病院実習をしました。血液内科ではAntonio Pierini教授の下で造血幹細胞移植とCAR-T療法を専門とするチームに所属し、従来の方法よりも患者さんの副作用、特に慢性GVHDが少ない最先端の造血幹細胞移植*1)*2)について学びました。糖尿病内分泌内科ではCarmine Fanelli教授とElisabetta Torlone教授の下で主に糖尿病、具体的に1型・2型糖尿病、妊娠糖尿病、若年発症生成人型糖尿病MODYについて外来を中心に学びました。内科ではPaolo Gresele教授のチームの下で主にITPについて学びました。

*1)Antonio Pierini, Loredana Ruggeri Alessandra Carotti, et al. Haploidentical age-adapted myeloablative transplant and regulatory and effector T cells for acute myeloid leukemia. Blood Adv. 2021 Mar 9;5(5):1199-1208. doi: 10.1182/bloodadvances.2020003739. PMID: 33646302; PMCID: PMC7948281.
doi:10.1182/bloodadvances.2020003739.
*2)造血幹細胞とは?(引用;国立がんセンターがん情報サービス)
https://ganjoho.jp/public/dia_tre/treatment/HSCT/hsct01.html#anchor2

費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

Antonio Pierini教授(右から2)血液内科チーム
Fanelli教授(左) Torlone教授(右)
Paolo Gresele教授(左写真)内科チーム
費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

スペシャルエピソード

笑いあり、涙あり!留学中にあった、すごいエピソード

一期一会という言葉がありますが、今回の留学を通してかけがえのない友人Emiliaとの出会いがありました。前半のアメリカでの研究室研修の際、イタリア・ローマから来た医学生Emiliaとルームメイトとして仲良くなり、一緒に観光をしたり、お互いの国の料理を作りあったり、医学生としても刺激を受け、最高の思い出となりました。約1年後、イタリアで臨床実習の機会を得て、ローマやペルージャで再び再会しました。経験や学びだけでなく、留学から留学へ、様々な出会いや人との繋がりも繋がっていくことを実感する留学となりました。

EmiliaとNASAセンターの観光/イタリアでの再会

感謝してもしきれない、お世話になった・大好きな人

感謝してもしきれないお世話になった方は安間太郎先生をはじめとする三重大学免疫学研究室の先生方です。研究室研修を通して、研究に興味を持ち、糖尿病やその合併症を日本と海外で学んでみたいと思い、今回の留学に至りました。日頃よりお世話になっております全ての先生方にこの場をお借りして心より感謝申し上げます。今後ともご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。このような貴重な機会をいただきましたこと深く御礼申し上げます。

免疫学研究室の先生方とともに

最後に

トビタテ留学JAPANや三重大学学生チャレンジ応援事業をはじめとして、先生方、事務の方々、家族、友人を含め、留学をサポートしてくださった全ての皆様に誠に感謝申し上げます。また海外の先生方や医療従事者の方々もその温かいサポートに深く感謝申し上げます。留学を通して得た経験や繋がりは、私の人生においてかけがえのない宝物です。皆様にご恩返しできるよう、今後の医療および研究活動に活かしていきたいと思います。

カルチャーマップの大切さ

  • 語学力 : その他の言語

非英語圏の留学先をイタリアに決めたのは、アメリカ留学中、初めてルームシェアをしてイタリアの文化に触れ、興味を持ったからでした。イタリアでの実習はイギリス英語で行われましたが、現地のスーパーでの買い物や現地の方との会話に苦戦し、イタリア語をもっと学んでいけばよかったなと思いました。しかし、実際に生活してみて、言語とともにカルチャーマップの重要性に気づいたので共有します。実はトビタテ留学JAPANの面接時に面接官の方から「カルチャーマップ」という本を教えていただきました。カルチャーマップとは、項目ごとに国ごとの特徴の分布がマップのようにまとめられたもので、例えば、コミュニケーションという観点では、アメリカやオーストラリアはローコンテクスト(直接的で簡潔な表現が多い)であるのに対して、日本はハイコンテクスト(多層的な表現)と言われます。実はイタリアはハイとローのちょうど真ん中あたりなのでイギリスよりも感覚が日本寄りで、実際そう感じました。留学前にこの本に出会えたことは本当に幸運で、アメリカでのルームシェア期間中にEmiliaからイタリアの食文化や生活を知ることができたことも相まって、イタリア留学はスムーズに進みました。イタリアの朝ごはんはクッキーなどの甘いものが基本で、ルームシェア中に普通の日本の朝ごはんを食べていて「それはランチ!!!」と驚かれたのも今では良い思い出です(笑)イタリアの実際の食生活を知った上で実習で食事栄養療法を学ぶことができたのも良かったです。
 初めて行く国に長期留学される方や現地のプログラムに参加する方は、言語だけでなくその国の文化やカルチャーマップの観点を持って臨むと現地でスムーズに馴染める気がします。

カルチャーマップの大切さ

  • 語学力 : その他の言語

非英語圏の留学先をイタリアに決めたのは、アメリカ留学中、初めてルームシェアをしてイタリアの文化に触れ、興味を持ったからでした。イタリアでの実習はイギリス英語で行われましたが、現地のスーパーでの買い物や現地の方との会話に苦戦し、イタリア語をもっと学んでいけばよかったなと思いました。しかし、実際に生活してみて、言語とともにカルチャーマップの重要性に気づいたので共有します。実はトビタテ留学JAPANの面接時に面接官の方から「カルチャーマップ」という本を教えていただきました。カルチャーマップとは、項目ごとに国ごとの特徴の分布がマップのようにまとめられたもので、例えば、コミュニケーションという観点では、アメリカやオーストラリアはローコンテクスト(直接的で簡潔な表現が多い)であるのに対して、日本はハイコンテクスト(多層的な表現)と言われます。実はイタリアはハイとローのちょうど真ん中あたりなのでイギリスよりも感覚が日本寄りで、実際そう感じました。留学前にこの本に出会えたことは本当に幸運で、アメリカでのルームシェア期間中にEmiliaからイタリアの食文化や生活を知ることができたことも相まって、イタリア留学はスムーズに進みました。イタリアの朝ごはんはクッキーなどの甘いものが基本で、ルームシェア中に普通の日本の朝ごはんを食べていて「それはランチ!!!」と驚かれたのも今では良い思い出です(笑)イタリアの実際の食生活を知った上で実習で食事栄養療法を学ぶことができたのも良かったです。
 初めて行く国に長期留学される方や現地のプログラムに参加する方は、言語だけでなくその国の文化やカルチャーマップの観点を持って臨むと現地でスムーズに馴染める気がします。

これから留学へ行く人へのメッセージ

留学はかけがえない経験や新しい世界に触れる機会です。想像していなかった出会いや学び、時には驚きとわくわくがたくさんあります。トビタテ高校生として「世界の流れを知るため20代で3回留学」「自分の夢とパッションを見つけること」「コンフォートゾーンから出ること」の大切さを学び、将来の夢を見つけました。留学やトビタテを通して得た出会いや経験は一生の宝物です。ぜひ留学を考えている方は挑戦してみてください!