留学大図鑑 留学大図鑑

前田 龍成

出身・在学高校:
青雲高等学校
出身・在学校:
熊本大学大学院
出身・在学学部学科:
医学教育部
在籍企業・組織:


最終更新日:2025年11月07日 初回執筆日:2025年11月07日

生殖工学技術で繋ぐ、世界との基礎医学研究

留学テーマ・分野:
大学院生:交換・研究留学(日本の大学院に在籍しながら現地大学院内で学ぶ留学)
留学先(所属・専攻 / 国 / 都市):
  • リオデジャネイロ連邦大学
  • ブラジル・イギリス
  • リオデジャネイロ・イギリス
留学期間:
4カ月
総費用:
- 円 ・ 奨学金あり
  • トビタテ!留学JAPAN「日本代表/新・日本代表プログラム」 910,000円

語学力:

言語 留学前 留学後
英語 授業や会議の内容が理解でき、必要な発言ができるレベル 専門的な研究や会議において、議論や調整ができるレベル

留学内容

「遺伝子改変マウスを通した医学基礎研究ネットワーク」を構築するために、リオデジャネイロ連邦大学とMRC Harwellに研究留学を行いました。
目的は、➀人間の病気を再現したマウス(病態モデルマウス)の情報を世界で共有しやすくする技術(マウス生殖工学)を現地に導入すること、➁この生殖工学技術を用いて、遺伝子を操作したマウス精子や受精卵を凍結保存し、日本とブラジル間で安全に輸送するテストを行うこと、➂この技術と輸送試験を通じて、日本との新しい共同研究をスタートさせること、の3点です。
現地では、ゼロからの研究環境の整備、技術導入、試験データの獲得などに取り組み、共同研究のプロジェクトを構築していく経験ができました
研究活動は世界共通ですが、ルールや文化など現場には多様な“違い”があります。この”違い”に苦しみ、時に新しい発見を感じながら目標を持ってプロジェクトを遂行した経験は、日本では得難いものでした

留学の動機

大学院で研究する「生殖工学技術」の価値を、自分の手で世界に広げたいと強く思い、留学を決意しました。 ブラジルは、この技術を用いた研究が進んでおらず、自分が中心となってゼロから環境とプロジェクトを作る経験ができる絶好の機会でした。イギリスは世界的に有名な研究所でしたが技術的な課題があり、それを解決することで、技術を通じた共同研究を立ち上げられるチャンスだと考えました。

成果

技術を利用した研究ができる環境の整備、研究者への技術トレーニングやトラブルシューティング、現地での研究基礎データの構築を主に行いました。帰国した後も、継続的なサポートや共同プロジェクトの運用を行っています。特にブラジルでは、導入した技術が実際に使われ、生殖工学技術を利用した研究マウスの輸送や保存が始まった報告を受けた時は、本当に嬉しかったです

ついた力

待ち勝ち力

文化や習慣が異なる環境でも、目標達成に向けて柔軟に計画を修正し、周囲を巻き込みながらプロジェクトを遂行する力です。 ブラジルでは、時間感覚や報告のルールが日本の常識と大きく異なりました。そこで、まず地道な信頼構築と発言しやすい環境づくりを戦略的に実施。自分一人が焦る気持ちを抑え、現地の状況に合わせて実行予定を適宜修正することで、最終的に目標を達成しました。

今後の展望

留学を機に始まった共同研究を続け、一時的ではない、長く続く信頼関係を築けるよう努めています。 さらに、留学で得た「ゼロから何かを作り上げる経験」を活かし、新しい国際共同研究にも挑戦したいです。研究を通じて世界と繋がり、まだ体験していない苦しさと楽しさを味わいながら、医療の土台となる医学基礎研究を1mmでも前進させることに貢献していきたいです。

留学スケジュール

2025年
1月~
2025年
3月

ブラジル(リオデジャネイロ)

リオデジャネイロ連邦大学の、生殖研究を行う研究室に留学しました。
【取り組んだこと】 現地の指導教員や学生たちと共に、➀研究ができる環境づくり、➁マウスの受精卵などを扱う生殖工学技術のトレーニング、➂新しい共同研究プロジェクトの立ち上げ、の3つに取り組みました。
【思い出に残っていること】 メンバー全員が未経験からのスタートだったため、試薬や器具を揃えることから、実験計画の作成、プロジェクト全体の設計まで、ゼロから物事を進める必要がありました。 初期は、言語や文化の違いに苦労し、上手くいかずモヤモヤする毎日でした。 しかし、研究室での活動はもちろん、休日も一緒に沢山遊ぶなど、時間を共にするうちに少しずつチームとして歯車が回り始めました。異国の土地で、「ゼロからチームが出来上がっていく過程」を体験できたことは、最終的に何物にも代えがたい貴重な経験となりました

費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

リオデジャネイロ連邦大学の研究室メンバー
費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

2025年
3月~
2025年
4月

イギリス(ジドコット)

イギリスのジドコットにある「MRC Harwell」という世界トップクラスの研究機関へ留学しました。

【取り組んだこと】 多様な研究者たちと働き、最先端のシステムを学びながら、現地が抱える技術的な問題を解決し、共同研究プロジェクトを立ち上げを模索しました。長い歴史を持ちながらも常に進化を続ける組織では、日本では味わえない大きな学びがあるとともに、日本の強みも感じられました

【思い出に残っていること】 1日にティータイムが2回あり、研究チームメンバーが集まって談笑する習慣は、これぞ”The UK”だと感じました。この時間が単なる談笑でなく、信頼構築に繋がっているのも感じました。 また、朝7時始業の日が多く、冬は気温0℃の冷たい空気の中、大草原から昇る朝日を見ながら通勤していました。その光景は、今でも忘れられないほど心が洗われるものでした。

費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

MRC Harwell の研究チームメンバー
費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

スペシャルエピソード

感謝してもしきれない、お世話になった・大好きな人

些細な良かったことを、「良かったね!」と声に出して共有することです。
特にブラジルの留学中は想定外のことが重なり、上手くいないことにストレスが日々積み重なっていました。上手くいかない日が続いた日の朝に、「今日は晴れている!良い日だね!」って背中を叩かれながら挨拶されました。空を見ると本当に晴天で綺麗な空で、曇り雨になっていた気持ちが晴れたことを強く覚えています。毎日、些細なことでもみんなで共有し合って楽しむことを、最初は少し鬱陶しくも感じ、理解できませんでした。でも、目の前の一日一瞬を楽しみ続けることを忘れない姿勢、毎朝笑顔で挨拶してくれる日々は、最後に振り返ったときに私の大きな支えになっていました。
イギリスでも、誰かの祝い事をみんなで祝ったり、小さくても良かったことをみんなで話し合う文化があり、1日1日が楽しい時間を過ごすことができました。

自分が元気であり続けること。そして、周囲のみんなも元気であり続けること。これらが前提として、仕事環境や人生の時間が豊かになって行く。そんな当たり前の大事なことを気づかせてくれる留学の日々でした。

「全員黒色のTシャツじゃん!良い日だね!」って写真を撮る
「MTGの写真を日本に送ろうぜ!」って、みんなで撮影

ルールを決めて、毎日危機感を持ち続ける

  • 生活 : 治安・安全

リオデジャネイロは、世界でTOP10にも入るほど治安が悪く、領事館から邦人被害の通知が度々メールできていました。大学までバス通学や、夜間に移動する必要など、ありました。そのため、現地メンバーと「バスや道で襲われた時はどうするか?」「〇〇時の〇〇路線バスには乗らない」「毎日の移動報告をする」などして、最小限のリスクを事前に抑えていくルール決めを最初にしました。生活に慣れていくと緊張感がなくなり、どうしてもルーズになってしまいます。だからこそ、現地の誰かと日々アップデート続けることで、危機感を持ち続け、楽しい留学生活を維持し続けることに努めました。

世界最大規模のサッカースタジアム”マラカナン”

これから留学へ行く人へのメッセージ

「思い通りいかない瞬間でさえ、楽しむ」を忘れないでほしいです。何かにチャレンジをすればするほど、留学中は想定外の連続に出会う日々が続いていくかと思います。何か思いつめた時に、綺麗な青空を見上げて、「日本では、こんな瞬間味わえない!ラッキー!」って心の中で叫ぶことをオススメします!