留学大図鑑 留学大図鑑

佐藤 千江

出身・在学高校:
豊田工業高等専門学校
出身・在学校:
名古屋大学大学院
出身・在学学部学科:
環境学研究科
在籍企業・組織:


最終更新日:2025年12月08日 初回執筆日:2025年12月08日

ニュージーランドから学ぶ脱炭素まちづくり

留学テーマ・分野:
大学院生:交換・研究留学(日本の大学院に在籍しながら現地大学院内で学ぶ留学)
留学先(所属・専攻 / 国 / 都市):
  • ワイカト大学
  • ニュージーランド
  • ハミルトン
留学期間:
12か月
総費用:
- 円 ・ 奨学金あり
  • トビタテ!留学JAPAN「日本代表/新・日本代表プログラム」 1,790,000円
  • 大学独自のもの 500,000円

語学力:

言語 留学前 留学後
英語 生活に困らない程度の日常会話ができるレベル 授業や会議の内容が理解でき、必要な発言ができるレベル

留学内容

ニュージーランドではどのように都市の脱炭素化を進めているのかを学ぶため、ハミルトンにあるワイカト大学へ研究留学しました。週1~2回の先生とのミーティングに加え、政府の公開文書や既往研究等の文献調査を通して、ニュージーランドの都市計画・気候変動対策に関する政策の歴史と動向を学びました。また、計画・文献からは把握できない行政の具体的な取組内容については、行政職員へのヒアリング調査によって明らかにしました。さらに、ヒアリング調査の前後には研究対象地を訪れ、地域が抱える課題や進行中のプロジェクトを自分の目で確かめました。

留学の動機

日本の自治体は、都市・交通分野における脱炭素施策をどのように進めるべきかわからないという課題を抱えています。そこで、環境法に都市計画が包含されているという、日本とは異なる法体系を持つニュージーランドの取組を学ぶことが、日本の課題解決に繋がると考え、研究留学を決意しました。また、10年前に語学留学したニュージーランドで、今度は大学で専門分野を学びたいという気持ちも強くありました。

成果

ニュージーランドにおける都市・交通分野での気候変動対策、行政が直面する課題、進行中の法改正が都市政策に及ぼす影響、中央政府と地方行政の方針の乖離といった実態を明らかにすることができました。また、得られた知見を論文にまとめ、国際ジャーナルへ投稿し、台湾で開催された国際会議でも発表しました。

ついた力

開き直る力

留学前の私は、相手がどう思ったかを考えすぎてしまうことが多くありました。留学を経て、「怒られてもいい」「どう思われてもいいから言ってみよう」と、気持ちを吹っ切れるようになりました。何も言わないほうが恥ずかしい場面に多く直面したことや、私の意見を引き出して肯定してくれる先生のおかげで、成長することができたと思います。

今後の展望

今後も、ニュージーランドで築いたつながりを大切にしていきたいです。大学の先生方とは引き続き一緒に研究する機会を持つことを、毎週遊んだ友人やホストマザー、現地のことを沢山教えてくれた日本人の皆さんとは、日本やニュージーランドで再会できることを楽しみにしています。

留学スケジュール

2024年
9月~
2025年
9月

ニュージーランド(ハミルトン)

ニュージーランド北島のハミルトンにあるワイカト大学で1年間、日本とニュージーランドの都市計画に精通する先生のもとで共同研究を実施しました。
研究スケジュール:
・9~11月:ヒアリング調査実施に向けた研究計画・倫理申請書類の作成
・11~3月:文献調査、ヒアリング調査参加者との日程調整、フィールド調査
・4月:ヒアリング調査実施(中央政府、オークランド、クイーンズタウン)
・5~6月:調査結果の分析、論文執筆、参加者へのフィードバック
・7~8月:フィールド調査
・8月:学会発表(台湾)
・9月:データ整理、今後の研究計画の共有

留学中は、ハミルトン出身の女性(オーナー)と2人でシェアハウスをして暮らしました。掃除やごみ捨ては分担し、消耗品は彼女が揃えてくれました。光熱費・消耗品代が家賃に含まれていたため、安心して生活することができました。
大学へは、基本的に毎日通っていました。週末の半日~1日は、友人と買い物や観光、散歩をして過ごしました。2月~5月は、共同研究者の先生の授業に参加し、地域コミュニティや参加者個人の意思を尊重した研究の進め方を学びました。最終講義では、みんなでお菓子を持ち寄るティーパーティーの時間があり、先生や学生と共に学ぶことの楽しさを実感することができました。

費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

70,000 円

生活費:月額

- 円

自然豊かなキャンパス
共同研究者のRita先生
費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

70,000 円

生活費:月額

- 円

スペシャルエピソード

感謝してもしきれない、お世話になった・大好きな人

私は高校3年生の時に、南島のクライストチャーチに語学留学しました。今回の留学で、当時お世話になったホストマザーと再会することができました。彼女は、10年経った今でも「私はあなたのニュージーランドのママ」「自分の家と思って過ごしてね」と言って迎えてくれました。美味しい料理とふかふかのベッドを用意してくれる姿に、家族の温かさを感じ、胸がいっぱいになりました。私の住む北島にも遊びに来てくれ、海がきれいな街を一緒に旅したり、私が彼女に会いにクライストチャーチに行ったときは、彼女のお気に入りのカフェでブランチを楽しんだり、OP Shop(セカンドハンドショップ)巡りをしたり、とても充実した時間を過ごすことができました。「ニュージーランドに来てよかった」と心から思える、大切な人との再会でした。

大好きなホストマザーと北島旅行
クリスマスにホストマザーが作ってくれた伝統菓子「パブロバ」

申請ビザの特定に苦戦

  • 事前準備 : 渡航手配(VISA、保険、持ち物など)

渡航予定日の半年以上前に留学先から受入承諾書を受け取ることができたものの、その後のニュージーランドビザの申請には思いのほか苦労しました。私の場合、受入先の大学に入学せず、日本の大学に在籍したまま研究留学する形であったため、学生ビザの対象外でした。在籍大学の留学支援室、留学先の大学の留学生支援担当課や日本事務局に相談しても、「前例がないのでわからない」「あなたは入学するわけではないので、何もアドバイスができない」と言われ、どのビザを申請すべきか特定できない状態が続きました。その後、ビザ申請代行会社に問い合わせたところ、初回相談で申請すべきビザの種類は判明したものの、代行料金は約18万円と知り、驚きました。18万円を支払うべきか1~2か月悩んでいた時期に、幸運にも、私と同じ種類のビザを申請した先生の体験談がネットに掲載されました。申請方法や苦戦した点がまとめられた記事のおかげで、私も自力でビザ申請を進めることができ、約3000円の申請費用だけでビザを取得することができました。必要以上の出費を抑えることができ、その後も安心して留学準備を進めることができました。何事も早めに行動すること、根気強く解決策を探すことが大切であると実感しました。

これから留学へ行く人へのメッセージ

現地に行かないとわからないこと、行ったからこそ出来たことが想像以上に多くありました。ネットや本・論文を読めば理解できると思っていたことでも、現地の大学に通って生活し、学内外の人たちと関わり、文化に触れることで見えてくるものが沢山ありました。留学先では後悔がないよう、行きたいところへ行き、やりたいことに挑戦し、思う存分楽しんでください!