留学大図鑑 留学大図鑑

しろ

出身・在学高校:
茨城県立竹園高校
出身・在学校:
神戸大学
出身・在学学部学科:
国際文化学部・国際文化学科
在籍企業・組織:


最終更新日:2017年11月17日 初回執筆日:2017年11月17日

原子力エネルギーを考えるフランス留学

留学テーマ・分野:
大学生:交換・認定留学(日本の大学に在籍しながら現地単位取得を伴う留学)
留学先(所属・専攻 / 国 / 都市):
  • リール第三大学、Association Ganbalo
  • フランス
  • リール・パリ・モンペリエ
留学期間:
12か月
総費用:
- 円 ・ 奨学金あり
  • トビタテ!留学JAPAN「日本代表/新・日本代表プログラム」 1,300,000円

語学力:

言語 留学前 留学後
フランス語 生活に困らない程度の日常会話ができるレベル<DELF B1レベル 合格> 授業や会議の内容が理解でき、必要な発言ができるレベル<DUEF B2レベル 合格>

留学内容

留学のキーワードとしては「原発」ですが、原発の技術的な側面ではなく、社会的な分野からのアプローチをしており、理系と文系の間、「まんなか系」の留学だと考えています。「原子力大国フランスで、原発、とりわけ福島第一原発事故について、どのように語られ、どのように考えられているのかを知ること」を目的として留学しました。
具体的な留学内容としては、
(1) 座学:リール第三大学で交換留学生として、科学史・科学哲学の授業を中心に履修
(2) 意識調査:フランス人学生へのインタビュー、311関連のイベントへの参加
(3) フィールドワーク:フランスの原発立地自治体、ウクライナのチェルノブイリ
(4) ボランティア:福島の子どもをフランスに招いて行う保養プログラム
これらの経験から、日仏の比較ができ、改めて日本が抱えている原発の問題に対して客観的な視点から考えることができました。また、原発の問題に対して、今後、自分がどのような形でかかわることができるのか、そのヒントを得ることができたと思います。

留学の動機

高校の時から漠然と留学に興味をもっていました。大学入学後すぐに、科学史、科学技術社会論という分野で、原発の問題を勉強する中で、福島第一原発事故後にドイツやイタリアが脱原発を決めた一方で、なぜフランスは今なお7割以上の電力を原子力でまかなっているのか、興味を持ち、フランスへの留学を決めました。

成果

もちろん個人によっても違いますが、日本とフランスでの原発に対する考え、また議論の環境の違いを知ることができました。原発のようなちょっと「重い」話題でも、フランスでは友達との日常会話のなかで、自分の意見をはっきりと述べ、議論することが当たり前だったのが興味深かったです。

ついた力

へこたれない力

留学中、日本ではありえない様々なトラブルがありました。寮のインターネット環境が整備されない、テストの登録が一向にされない、成績の結果が期日を数か月過ぎてもこない、etc...
数々のトラブルを乗り越えたことで、多少のことではへこたれない精神力がついたと思います。

今後の展望

原発の問題を通して、科学技術と人間・社会の関係はどうあるべきか、ということを学びました。今後の社会では、科学技術がめまぐるしい勢いで発展していき、科学技術と人間・社会をつなぐこと、つまり科学コミュニケーションがより一層重要になってくると思います。科学コミュニケーションの分野から、科学技術と人間・社会のより良い関係の構築することで、持続可能な社会の実現に貢献したいです。

留学スケジュール

2016年
9月~
2017年
6月

フランス(リール)

最初の10か月は、交換留学生としてリール第三大学で勉強した。
前期はフランス語力の向上に努め、語学の授業と、フランス文化、歴史、社会を学ぶ授業を履修した。また、福島第一原発事故についてのインタビュー調査をフランス人学生に行った。
後期は、現地の学部生にまじって、フランス語で、科学史・科学哲学の授業等を受けた。授業外でも、「震災と文学・アート」をテーマにしたカンファレンスや、311関連のドキュメンタリー映画の上映会等のイベントに積極的に参加した。
また、休暇を利用して、リールに一番近い原発のあるグラヴリーヌという町や、ウクライナのチェルノブイリでフィールドワークを行った。

費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

リール第三大学のキャンパス
リール第三大学構内
フィールドワーク:チェルノブイリ
費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

2017年
8月~
2017年
8月

フランス(パリ、モンペリエ)

交換留学が終了後、Assoiation GanbaloというパリのNPO団体がやっている保養プログラムのボランティアスタッフとして働いた。(保養プログラムは、放射能汚染の無い地域に一定期間滞在することで健康回復をはかる取り組み)
Association Ganbaloでは、2012年から毎年、夏に福島県出身の子どもをフランスに招く保養プログラムを行っており、今年は他のNPO団体と合同で8人の子どもを受け入れた。今回はパリを起点に、南仏で保養プログラムを実施し、百人一首等の日仏交流イベントや、南仏の文化的・歴史的名所を訪れ、フランスの文化を学ぶプログラムを展開した。
私はプログラムの準備段階から最後まで企画・運営にかかわり、現地の観光案内所との交渉、子どもたちのサポート、通訳・翻訳、会計などの仕事を行った。

費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

世界遺産ポン・デュ・ガールにて
プログラム中に滞在した南仏の小さな村からの景色
費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

スペシャルエピソード

留学中に、自分を勇気づけてくれたモノ・コト

留学中は決して楽しいことばかりではありませんでしたが、モチベーションを維持できたのは、大好きな旅行と、日本から私の留学を応援してくれる人々の存在でした。
フランス語での授業についていくのは正直本当に大変で、フランス語が嫌になり勉強が進まないことが多々ありました。そんな時は、「このテストが終わったら〇〇に行く!」「レポート書き終わったら○○旅行!」と、大好きな旅行を計画しながら、勉強のモチベーションを維持していました。
また、出発前にいろんな人から応援メッセージをもらったりしていたので、それを見ながら、何も成果を出せていないのにこのままじゃ帰れない、と自分を奮起させていました。「留学中、日本に帰りたくなったか?」とよく聞かれますが、私の場合は、帰りたい・帰りたくない云々というより「形に残る結果を出せていないのでこのままでは帰れない」という気持ちのほうが強かったです。

全部のテスト終了後に行ったモロッコ旅行

あなたにとって留学とは?

留学は、目的ではなく、手段だと思います。
大事なのは、留学をすることではなく、留学で何をするか。

海外の情報を手に入れたいだけなら、インターネットで調べればそれなりにでてきます。
外国人とかかわりたいだけなら、日本に来ている外国人と話せば済むでしょう。
外国の美しい景色を見て、おいしいものを食べたいだけなら、旅行で十分です。

なぜ、わざわざ時間とお金と手間をかけて、留学に行くのか。
そこまでして、やりたいこと、得たいものは何か。
留学を経て、留学経験をその先にどう活かしたいのか。

ヴィジョンがしっかりあれば、留学はとても刺激的でチャレンジングな環境だと思います。

帰国前の一枚

私のフランス語勉強法

  • 語学力 : その他の言語

私は大学から、第二外国語としてフランス語を勉強し始めました。
大学1年の時は、必修だったので履修したというぐらいで、成績は悪くはなかったですが良いとも言えず、テストのための勉強のみをしていました。
大学2年次以降は、フランス留学を視野に入れていたため、必修ではありませんでしたが、授業をとっていました。3年の秋から交換留学をするのならば、2年の秋のDELFでB1レベルを取得したほうが良いと先輩や先生からいわれていたので、自分で参考書や、DELFの対策本を買って勉強しました。無事に2年の秋にB1を取得し、その後も自分で勉強を続けていました。
実際に留学してみて、(分野にもよるとは思いますが)フランス語で授業を受けるのであればやはりB2レベルぐらいの語学力がないときついと思います。また、文法も大事ですが、リスニング能力と語彙力はきちんと磨いておくべきだと思いました。

参考までに、以下、私が使っていた参考書やサイトを記しておきます。
・DELF対策本:Didier社のもの
・TV5 monde (http://apprendre.tv5monde.com/ja)
・『即効!フランス語作文: 自己紹介・メール・レシピ・観光ガイド』足立和彦ほか、駿河台出版社、2015
・『清岡&レナ式 フランス語初級卒業講座 文法が好きになる1200問』清岡 智比古ほか、NHK出版、2012

意外と高くない!?フランス留学

  • 生活 : お金

フランス留学というと、いつもお金がかかるというイメージをもたれるのですが、パリ以外の都市であれば日本で生活するよりも安くすむと思います。(パリは家賃がかなり高く、物価も他の都市に比べ高めです。)
・フランスの大学の学費は年間で数万円(※語学学校はもう少しかかると思います)
・外国人でもCAFという住宅補助を受け取ることができる
・食料品が安い:フランスは農業大国。外食は高めですが、自炊をすればするほど安く抑えられる。
・様々なところで学割が使える:学生あるいは25歳以下に対しての割引が至る所であります。美術館、博物館、メトロなどの公共交通機関など、、、
・携帯電話の費用が安い:格安SIMがあります
・バスや飛行機が安い:LCCや格安バスが充実しています

私は日本でも一人暮らしをしていましたが、フランス留学中の生活費は日本の6~7割に抑えられていたと思います。

留学前にやっておけばよかったこと

やはり語学はもっとしっかりやっておけば良かったなと思います。特に語彙力がなくて苦労することが多かったです。
あとは、留学計画の見直し。なぜ留学したいのか、留学を通して何を得たいのか、それを達成するためには留学中に何をするのか。根本的なところですが、ここをしっかりやっておくことで、より充実した留学ができると思います。

留学を勧める・勧めない理由

やりたいことがあり、目的意識をもったうえでの留学であれば、勧めます。
むやみやたらに、なんとなく留学をしても、それは時間とお金と労力の無駄になるだけだと思います。
明確なヴィジョンをもっての留学は、刺激的な環境で、得られることもたくさんあると思うので、ぜひ自分がやりたいことを達成するための「手段」として留学をする人が増えればいいなと思います。

これから留学へ行く人へのメッセージ

一日一日、一瞬一瞬を大事にしてください。
私は1年の留学なんて長いと思っていましたが、一瞬にして過ぎ去りました。正直私は、途中で中だるみになってしまっていた時期があり、こういうこともやれたのではないか、と留学後に後悔しています。留学中にしかできないことは、たくさんあるはずです。後でああすればよかったと、私のように後悔しないように、時間を大切に過ごしてください。