留学内容
悪性腫瘍、俗にいう癌という疾患に2人に1人がかかるという今日、その最終診断をつけ、治療方針に大きな影響を与える病理診断医の役割はより重要になってきています。この病理診断で用いられる技術のひとつに、穿刺吸引細胞診(Fine needle aspiration cytology, FNA-C)があります。この技術は、細い注射針を用いて腫瘍細胞を採取し、形態学や分子病理学の検査を用いて腫瘍の迅速な診断を目指すものです。小手術を行って腫瘍組織を採取する生検と比べて、患者さんへの負担が少なく、またスピーディに治療へアプローチできることから、欧米では旧来からこの手法は腫瘍診療の中心にありました。残念ながら、世界有数の医療大国である日本において、病理診断学は段違いに遅れをとっており、とくに細胞診についてはほとんど手が回っていないような状況にあります。私はスイスにいるFNA-Cのエキスパートの元を訪れ、ヨーロッパの最先端の病理診断学を学んできました。