留学内容
現在、私の所属する研究室ではタンパク質の工学的応用を目指す研究の一環として、がん細胞とリンパ球を架橋させることで特異的な抗腫瘍効果を誘導する二重特異性抗体の研究を進めています。しかし、タンパク質をはじめとするバイオ医薬品は開発年月の長さや、製造が大きな問題となっています。これらの問題を解決する新しい展開を探すため、スウェーデンのルンド大学に留学してきました。そこでは、「分子インプリンティング」の習得を目指しました。分子インプリンティングとは、抗体という生体分子をポリマーで模倣できるという化学的手法です。この技術を用いることで、二重特異性抗体の様な分子が、より迅速に、かつより簡便に開発・製造できるのではと考えました。現地では、分子インプリンティング技術の基礎を学ぶとともに、実際に二重特異性抗体の模倣にも挑戦しました。その結果、現場でしか分からない分子インプリンティング技術の習得の難しさを痛感すると同時に、課題に対し自身の専門分野から見た目線も常に意識することで、多角的なアプローチから課題解決に取り組む姿勢を身につけることができました。