留学大図鑑 留学大図鑑

佐藤雅

出身・在学高校:
独立行政法人国立高等専門学校機構 長岡工業高等専門学校
出身・在学校:
長岡技術科学大学大学院
出身・在学学部学科:
機械創造工学専攻
在籍企業・組織:
同上、未卒業。機械工業系に就職予定。

ロボットについて研究していましたが、専門的なことよりは留学してどうだったかの方が答えられることは多いと思います。Facebookに連絡いただければ早く反応できると思います!


最終更新日:2020年11月04日 初回執筆日:2020年11月04日

機械工業最先端国ドイツでロボット開発!

留学テーマ・分野:
大学院生:交換・研究留学(日本の大学院に在籍しながら現地大学院内で学ぶ留学)
留学先(所属・専攻 / 国 / 都市):
  • ニュルンベルク工科大学情報処理研究室
  • ドイツ
  • ニュルンベルク
留学期間:
7か月
総費用:
1,400,000円 ・ 奨学金なし

語学力:

言語 留学前 留学後
英語 授業や会議の内容が理解でき、必要な発言ができるレベル<TOEIC800点> 専門的な研究や会議において、議論や調整ができるレベル

留学内容

ロボットの開発において人それぞれの思考、くせ、の影響がどの程度現れるのかについて大きな興味があったため、ドイツのロボット開発においてはどうなのかについて調査するため、ドイツ、ニュルンベルク市の工科大学でロボット開発に携わる留学を行いました。
7か月間研究室に所属してその研究室のメンバーとレスキューロボットと呼ばれる災害救助用のロボットを開発、改良する。開発の過程で日本での開発との相違点を発見し、記録します。
結果として、ロボットの改良に成功し、ドイツにおけるロボット開発の特徴についても知見を得ることができました。

留学の動機

長岡高専にいたころ、短期留学などで外国の学生と協力してプロジェクトにあたることが多く、そのたびに想像もしなかったアイデアが生まれることがとても楽しいと感じていました。時は移り、2018年に東京で開催されたWRSにおいてドイツのレスキューロボット開発チームと出会い、彼らに留学したいと考えていることを伝えたところ、彼らを通じて彼らの研究室に留学することになりました。

成果

留学を通して本来の目的であったロボット開発における日独の違いについて知ることができました。また、ドイツでの暮らしの日本との違い、どんな生活を人々が送っているか等、今後の人生の目標をみつけることができました。海外に滞在しなければわからないことを知ることができたことが大きな成果です。

ついた力

休む力

日本にいたとき、高専でロボコンをしていたこと、専攻科でアントレ的な活動をしていたことも相まってとても忙しく、「休日に活動することは当たり前、趣味と睡眠は削れるだけ削る」、というような生活を送り、結果として「休むと罪悪感を感じる」という状態になってい、ました。ドイツに渡って相変わらず自分を多忙に追い込もうとしたが、友達の暮らしぶりを見て「人はある程度休んでもいいんだ」と気づきました。

今後の展望

留学を通して広い人脈を構築できたので、彼らの国を訪れてよりたくさんの世界を見て回りたいと考えています。また、自身の経験を元により多くの留学生を増やすような取り組みを行っていこうと思います。

留学スケジュール

2019年
9月~
2020年
3月

ドイツ(ニュルンベルク)

ニュルンベルク市の工科大学の研究室に在籍し、ロボットの開発を行った。研究室の学生、先生、授業のクラスメイト、寮の友達と生活を楽しんだ。日本にいたころに研究とロボカップに追われて自国のような日々だと感じていた反動もあり、天国にいるかのように感じた7カ月間だった。日本で生活していた時と比べてかなり休憩が多かったと感じたが、それでも成果が出ていたことから、仕事には適度な休憩が必須で、余裕をもって生活することが最終的に幸せにつながると感じた。

費用詳細

学費:納入総額

20,000 円

住居費:月額

60,000 円

生活費:月額

60,000 円

項目:留学準備、交通費

1,400,000 円

ハロウィンで友達が施してくれた仮装。ちょうど総髪だった。
ローテンブルグのドア
老後はここに住もうと決意した場所
費用詳細

学費:納入総額

20,000 円

住居費:月額

60,000 円

生活費:月額

60,000 円

項目:留学準備、交通費

1,400,000 円

スペシャルエピソード

些細な夢を叶えていくこと

私には人が聞いたらくだらないと思うような小さな夢がたくさんあります。例えば、週末におしゃれなカフェで友達とチェスが打ちたい、暖炉の火で本が読みたい、フランスでフレンチが食べてみたい、ルーヴル美術館で絵を一日見たい、イギリスでハギスが食べたい、ストーンヘンジで本当に力を感じるか試したい、ロンドンの博物館で階差機関が見たい、ドイツで美味しいビールが飲みたい、AIが世界を征服するのを助けたい、。思ったより食欲ばかりです。これらは言ってしまえば「やりたいこと」程度だと思う人もいるでしょう。しかし、夢と思えばワクワクしてくるし、そのために明日まで生きようという気になってきます。留学期間中はそのような小さな夢を日々叶えては新たな夢ができるような日々でした。言霊とは不思議なもので、友達と話しているときに「~~行きたいんだよね」と何気なく口にした場所に数週間後にいたり、いつのまにか実現可能になっていることがあります。バカになれる自分と、一緒にバカをしてくれる仲間がいれば、上に揚げた程度のことは大抵叶うものでした。帰国してからも今までと一見同じ生活の中に新しさを見出し、楽しく暮らしています。キャンプでのんびり後輩が川で遊ぶのを見守ったり、釣りで初めて大物を釣れたり。留学がきっかけで、毎日設計と研究に追われて蛋白質製の機械のようになってしまっていた自分が夢を見るアンドロイド程度には人間に戻れました。

毎週恒例になったいきつけのカフェでのチェス
ふ〇ぎ発見の影響でずっとなりたかったミステリーハンターに

留学後の自宅検疫での体調不良について

  • 生活 : 治安・安全

同じ状況になったときに自分と同じ精神状態にならないようにするための方法がみつかることを祈って記します。
ご存知の通り、私と同時期に留学していた学生の多くが留学期間中に帰国を余儀なくされ、留学を中断し諸手続きに追われ大変な思いをして日本に帰ってくることとなりました。
私は4月1日に帰国予定だったため、幸いにも留学計画に大きな変更はありませんでしたが、役所で手続きをしなければならないのにもかかわらず役所が閉鎖されていたり、学校との連絡が取りにくくなったり、飛行機があるのか不確定だったりと困難がありました。また、ドイツにいたころに夕食や昼飯をほとんど友達と食べて居たり、研究も同僚と行っていた影響で、孤独に対する耐性が低くなっていました。また、渡独するときに、研究とロボカップで死にそうだった生活から解放される!という気持ちでいた上に、日本から良い情報がないと感じていたため、日本に帰ること自体に対する負の印象がありました。
そのような状況で帰国、2週間の自宅検疫を行い、16日間窓から山と田んぼしか見えない自分のアパートの部屋で一人で過ごしていました。そのときの日記を見返すと、初日から体内時計の乱れによる不眠に苦しみ、5日目にはいるはずのない人がドアを閉めるとその向こうにいるかのように、また、世界にもう誰もいないんじゃないかと感じていました。
私はとても消耗しました。
そんなときに自分の健康を保ってくれたのが友達が買ってきてくれた菓子と友達との通話でした。砂糖の効果は想像以上で、やはり生物としての根幹の幸せを感じることが不幸に対する最も優秀な対処法なのだと思いました。また、友達と話すことで自分を取り戻すような感覚がありました。一度体調が戻ると、有意義な生活をしようと映画を見てドイツ語を勉強して、目が疲れたら窓の外を眺めるという優雅な生活ができました。

留学前にやっておけばよかったこと

ドイツ語をもう少し勉強しておけばよかったと思います。

留学を勧める・勧めない理由

留学をすると自分が今までいた環境と大きく違う環境に置かれるというだけで気づけることが多く、そこで生活しているだけで面白いことがあるので身構えずにちょっと行ってみようという気持ちで行けたらいいと思います。世間ではセミナーなどで「コンフォートゾーンを出る」という言葉をよく聞きますが、海外に留学して快適な環境を作り、その環境でのびのびと自分がしたいことをするのが良いと思います。

これから留学へ行く人へのメッセージ

留学して一番大切なのは現地に仲間を作ることと、美味しいものを食べることです。片方でも見つけられればその留学は楽しいものになりますし、両方見つかればだれにも負けない土産話ができるでしょう。トビタテ留学を含めて、今後留学に行く人が無事に帰ってこれるように、健康を祈っています。
ルーヴル美術館を全部一日で回ろうとすることは無謀です。