留学大図鑑 留学大図鑑

のどか

出身・在学高校:
愛光高校
出身・在学校:
東京大学大学院
出身・在学学部学科:
総合文化研究科
在籍企業・組織:

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最終更新日:2024年03月15日 初回執筆日:2024年03月15日

ブラジルの俳句文化の実践&研究

留学テーマ・分野:
大学院生:交換・研究留学(日本の大学院に在籍しながら現地大学院内で学ぶ留学)
留学先(所属・専攻 / 国 / 都市):
  • サンパウロ大学哲学文学人間科学研究科
  • ブラジル
  • サンパウロ
留学期間:
6か月
総費用:
1,421,393円 ・ 奨学金あり
  • トビタテ!留学JAPAN「日本代表/新・日本代表プログラム」 970,000円
  • 佐々木泰樹育英会口語詩句奨学金 249,996円

語学力:

言語 留学前 留学後
ポルトガル語 生活に困らない程度の日常会話ができるレベル 生活に困らない程度の日常会話ができるレベル

留学内容

留学全体のテーマは、ブラジルにおける日系人とその文化と言えます。私は研究者の卵として頭で理解するだけでは頭でっかちになってしまうと思い、実践者として身体で理解することに取り組みました。身体を通じた理解として、渡航前に二つのボランティア活動を予定していました。まずはブラジルに渡った日本人移民の研究機関で資料整理のボランティア活動を行ないました。資料館で実際に本の背表紙や時には中身を読みながら、日本人移民が遺した資料についての理解を深めました。二つ目に、またブラジルの日系社会は各県人会を持っているのですが、なかでも愛媛県出身の愛媛県人会にコミットし、現地で設立七十周年の記念式典にスタッフとして参加しました。高齢化が叫ばれて久しいブラジルにおける日系社会の現在を、三世・四世の若手が積極的に参加する愛媛県人会という視点から伺い知ることができました。加えて、これは渡航前には予想もできなかったことですが、現地で縁があった二つの俳句グループに参加し、私自身も日本語とポルトガル語それぞれで俳句を作るという経験ができました。(※私の研究テーマはブラジルにおける俳句文化についてです)。頭での理解としては、具体的には修士論文の執筆を進めました。具体的には執筆内容の方向性が決め、月に一回日本のゼミに参加して進捗報告兼発表を行ない、ブラジルの大学の教授等にアドバイスや面談を依頼し、研究資料の収集に励みました。留学の結果としては、やはり現地で身体を使って、色々な場所に飛込んだことで、知識や経験や人との繋がりを得られました。

留学の動機

私の子供の頃に、世界の旅番組が好きでよく見ていました。いつからか留学は私のなかで「かっこいいこと」の一つになり、人生の目標になりました。留学に皆が前向きな外国語大学に進学したものの、学部時代の留学計画はパンデミックにより断念し、大学院留学でリベンジしました。留学自体をすることによるメリット(語学能力の向上、トラブル解決能力の向上、モラトリアム期間の延長)もありましたが、知的好奇心や憧れが主です。

成果

心から尊敬できる素晴らしい人と新たに出会えたことが一番大きいと思います。日系・非日系を問わず日本語・日本文化に関心のあるブラジル人の知人・友人が多く出来ました。これらの人脈は、修士論文提出に向けてもきっと力や励みになってくれると思います。

ついた力

行動力

ここでの行動力とは具体的には、自ら連絡をして、自ら赴く力です。また、依頼や誘いがあったときに、尻込みや遠慮や打算的にならず、フットワーク軽く(けれど責任感を持って)応じる力のことです。大学の先生に質問をしたり、現地の俳人にインタビューをしたり、ポルトガル語の俳句を日本語に翻訳する活動を行なったりする経験から身につきました。

今後の展望

留学を経て得られた人脈を財産として、特に詩に関連するプロジェクトに参加・推進していきたいです。まずは進行中のものをきちんと務め上げたいです。今後の展望としては、社会人として働く傍ら、アマチュアとして俳句実作者と俳句評論家としての活動の両立と発展を目指します。しかし俳句の世界全体でそのアマチュアリズムの良さを肯定しながら、俳句人口の裾野を広げていきたいです。

留学スケジュール

2023年
9月~
2024年
1月

ブラジル(サンパウロ)

サンパウロ人文科学研究所で、研究所の理事や奨学生の方々の助言や協力のもと、日本人移民の資料の整理を週に二回ほど実施し、数千冊の本の確認を達成できた。俳句評論のアイデアも一つ得て、執筆を開始した。活動最終月に成果報告会を行ない、ポルトガル語にてブラジル留学での学術的活動を総括し、発表をした。

費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

40,500 円

生活費:月額

50,000 円

データーベースと照会しながら一冊ずつ蔵書点検を行なった
沢山の方に送り出していただいた送別会
費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

40,500 円

生活費:月額

50,000 円

2023年
8月~
2024年
12月

ブラジル(サンパウロ)

サンパウロ大学で、週に三日ほど、授業を履修したり、図書館などの設備を利用し、修士論文の執筆を行なった。

費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

スペシャルエピソード

感謝してもしきれない、お世話になった・大好きな人

日本語を副専攻するVくんとシェアハウスで出会って仲良くなりました。沢山友人を紹介して私の交友関係を広げてくれたり、私の書いたポルトガル語の文章のネイティブチェックをしてくれました。更には体調不良で病院に行く際には医療通訳をしてくれたりと、沢山助けてもらいました。今年2024年からVくんが日本に留学することが決まったので、今度は私が力になりたいです。

シェアハウス全体で飼っていた猫マルコス

治安ってなんだ?:路上生活者の方との関わり方(無視から寄付までの変遷)

  • 生活 : 治安・安全

「ブラジルは治安が悪い」というのはよく言われることです。実施に例えば夜間の出歩きは特に危険で、できるだけ避け、複数人で移動し、ウーバーという配車アプリの使用が推奨されています。しかしそもそも治安とは何なのか、私はそれを路上生活者の方との関わり方から考えました。今振り返ると、私は路上生活者の方への強固な偏見という課題を抱えており、それを徐々に解決に向かって行動を変えていきました。路上生活者の方は、ただただ道に寝ていたり、通行人に寄付を依頼していたり、時にはひったくりや恐喝をしたりと様々です。私は最初、自衛として迂回や無視をしていました。しかしあるネイティブの同世代の友人は、「ごめんなさい、できません」等と言って、柔らかに断っていました。それを見て私も無視ではなく、まずは一言返すようにしました。すると、「はい、大丈夫です。神のご加護がありますように」等と返してくれ、ささやかなコミュニケーションが生まれました。しかしそんな風に毎回断る日々を過ごすなか、私も少し寄付したいと思うようになりました。ちょうど帰国の時期も迫っており、行動をしたいが怖いという葛藤がありました。ネイティブの友人に相談すると、「直接カネではなく、その人が必要としているモノ(食べ物や電車のチケット等)を代わりに買ってあげるべし」とのこと。何故ならお金を渡してしまうと、依存性のある違法ドラッグ等に使ってしまう可能性もあるからだそうです。その助言を貰ったあと、ある日駅のパン屋さんの前で、パンを買うように依頼をされました。私が買って渡すと、御礼も言ってもらいましたが、不服そうに「お金が欲しかった」と言われました。ここで笑顔で御礼を言ってもらえたら、綺麗な物語になったように思いますが、現実はそんな風にもいきませんでした。でもそのパンはきちんと食べてくれました!◎

現地の日本語学習者との言語交換

  • 語学力 : その他の言語

私はポルトガル語をマスターしないまま渡航してしまい、しかも現地の人々はあまり英語が出来ず、日常生活や授業参加において課題を抱えていました。しかし、私の交換留学先には幸運にも日本語学科がありました。慣れない留学生活では、あらゆる人に日々助けてもらって何とか留学を無事終えることができましたが、日本語学科の友人とは対等な関係を築けたことで、特に息の長い関係を築くことができました。彼らには、「ネイティブとして話し相手になってあげる」や「日本語の作文等のネイティブチェックをしてあげる」といった形でお返しができ、win-winで負担の少ない関係を築くことができています。勿論知らない人との交流はリスクがあるので気軽には勧められませんが、現地の日本語学習者との言語交換を通じて、楽しくポルトガル語の能力を向上させることができました。彼らの目から日本がどう映るのかといったことも聞くことができ、勉強になりました。

就活をしてから留学!

  • 帰国後の進路 : 就職(企業)

私は留学期間が一年間確保できなかったことを後悔していましたが、ブラジルの大学の新学期開始は8月であることを活かして、就職活動をしてから留学に行くことができました。留学活動そのものを「ガクチカ(学生時代に力を入れたこと)」にすることはできませんでしたが、奨学金獲得に向けての年月や努力についてお話し、内定をいただきました。

留学前にやっておけばよかったこと

大切な人には会っておくこと。すぐに帰国できるとは限らない。/現地の言葉をもっと勉強していけばよかった。/よく使う資料のデジタル化(文系大学院生限定かも?)/続いて、お金周り。ビザの期限や留学終了後の計画などをよく確認してから、飛行機の便を取ればよかった。取り直すことになり、更に費用が掛かった。/国際ブランドのクレジットカードとデビットカードで一枚ずつは持っていけばよかった。親に送金の手間を掛けた。

留学を勧める・勧めない理由

留学経験者のほぼ全員の意見かもしれませんが、私も留学をおススメします。何故なら留学は、学生の持っている「お金はないが時間はあること」と、「地位や肩書がないぶん自由に飛び込んでいける」ことが最大限活かせる場だからです。勿論留学は、必ずしも語学ができるようになり、就職活動が上手くいき、自己肯定感も他者評価もが上がるなどといった万能薬ではないですが、人生をかなり豊かにしてくれるものではあります。

これから留学へ行く人へのメッセージ

心身の健康と安全を第一に頑張ってください。可能であれば、複数のコミュニティに所属してください。どれだけ楽しい留学にも辛くなるときはきっと訪れます。そのときに一旦逃げ込める場所があることは、心の健康を恢復するうえで力になってくれるはずです。