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森の日記

出身・在学高校:
福岡県立明善高校
出身・在学校:
九州大学、京都大学大学院
出身・在学学部学科:
農学研究科
在籍企業・組織:


最終更新日:2024年09月11日 初回執筆日:2024年09月11日

オランダでアニマルウェルフェアを学ぶ

留学テーマ・分野:
大学院生:交換・研究留学(日本の大学院に在籍しながら現地大学院内で学ぶ留学)
留学先(所属・専攻 / 国 / 都市):
  • Wageningen 大学
  • オランダ
  • ワーゲニンゲン
留学期間:
10か月
総費用:
- 円 ・ 奨学金あり
  • トビタテ!留学JAPAN「日本代表/新・日本代表プログラム」 1,800,000円

語学力:

言語 留学前 留学後
英語 授業や会議の内容が理解でき、必要な発言ができるレベル 専門的な研究や会議において、議論や調整ができるレベル

留学内容

私の留学全体のテーマは「日本を農業大国にするため、オランダでアニマルウェルフェアの成功要因を探る」です。計画は、世界的にも農業分野トップレベルのオランダのワーゲニンゲン大学に留学し、関連の授業を受けながら消費者へのインタビュー調査、農場でのボランティア活動を行うというものでした。この計画を考えた背景としては、日本で家畜のアニマルウェルフェア(家畜福祉)が十分に浸透していないという問題意識からでした。家畜のアニマルウェルフェアとは、家畜動物が本来の自然な行動などを含む5つの自由を守ることであり、具体的には、飼育環境や条件を見直すことにあります。私の留学先であるオランダは政策や消費者の意識にアニマルウェルフェアが浸透しており、その成功要因を探るために留学先で調査を行いました。
オランダに住んでみて、スーパーマーケットでもアニマルウェルフェアの表示がある製品やベジタリアンやビーガンのための製品が多く存在し、消費者にとって身近であることが分かりました。そして、そのような小売業者の形態には動物福祉団体の働きかけが密接にかかわっていることが分かりました。留学先の大学の教授にいろいろな農家や団体を教えてもらい、修士論文の執筆に必要なネットワークが得られたことも今回の留学の成果だといえます。つなげてもらったネットワークを下に、帰国後も調査を続け、日本との比較研究を行いたいと思っています。

留学の動機

留学は幼いころから海外への憧れがあったので絶対に行きたいと思っていました。学部生時代に短期留学や海外旅行を経験して、日本の良いものを世界に広めたいという夢が芽生え、農学分野での留学を志しました。新型コロナウイルスの影響で学部時代の留学は叶いませんでしたが、大学院に進学し、より専門性のある留学ができることになりました。

成果

留学では、交換留学先の授業、農場でのボランティア活動、インタビュー活動を行いました。授業では、アニマルウェルフェアを含んだ食品に関するEUの政策や国際法を、ヨーロッパの視点から学ぶことができました。農場のボランティアでは、農家の立場からの畜産の状況、アニマルウェルフェアの状況いついて実際に自分も働きながら学び、インタビュー調査では、実際にオランダで暮らす消費者の調査を行いました。

ついた力

アウェーな環境でも生き抜く力

大学では私が想像していたよりも日本人が少なく、初めてマイノリティになる経験をしました。授業ではアジア人が私一人という経験もたくさんしました。そんな中、オランダの学生の輪に入っていくのは緊張することでしたが、勇気を出して話しかけ、友人をつくった経験は日本ではできない貴重な経験だったと思っています。

今後の展望

留学前から日本の農業を強くしたい、そして自分は日本と世界をむすぶ懸け橋になりたいと思っていました。この留学を通して、オランダ、EUの政策の動き、そして日本がどのように見られているのか日本から離れて見ることができました。世界の動向をいち早く察知しながら日本の農家や企業の海外進出を助ける仕事がしたいと思っています。

留学スケジュール

2023年
9月~
2024年
7月

オランダ(ワーゲニンゲン)

交換留学の授業の受講、農家でのボランティア、消費者調査を行いました。
交換留学先の大学は環境・農業分野で世界トップクラスの大学であり、授業の内容だけでなく大学のシステム全体がサステナビリティにつながる面白い大学でした。大学生が多い町だったので、町にもサステナビリティが浸透しており、例えば、毎週水曜と土曜日に行われているファーマーズマーケットに友達と行っていました。授業では、周囲のヨーロッパの学生に比べて英語がうまくできず、ネガティブに落ち込んでしまったこともありましたが、なんとかグループワークで役に立ちたいと必死に勉強したことは今となっては良い思い出ですし、現在の自分の自信にもつながっています。
農家でのボランティアは、想像以上に重労働だったり、オランダ語がわからないことから孤独を感じたりとめげそうになったこともありました。しかし、コミュニケーションを諦めずに取り続け、ボランティア期間後も寿司パーティーをするほど仲が良くなれました。言語能力はもちろんあるに越したことはないですが、言語がわからないからこそお互いをより分かろうとする、より努力しようとする、だからこそこの姿勢が両者の緊張をといてより仲良くなれた面もあったのかなと思います。
留学計画外のことでもいろんなイベントに積極的に参加しました。例えば、町で週に一度行われている市民農園に参加したり、オランダで開催された日本祭りのボランティアを行ったり、、。せっかくの海外居住経験なので専門外のことでもいろいろと経験することをお勧めします。

費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

80,000 円

生活費:月額

50,000 円

大学の文化紹介イベントで折り紙を教えているところ
オランダで開催された日本祭りのボランティア
費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

80,000 円

生活費:月額

50,000 円

スペシャルエピソード

日本のことが、とても好きになった瞬間

農家でのボランティア期間中に、ホストしてくれた家族が近所の人たちも招いての寿司パーティーを企画してくれました。私の写真をのせたチラシまで作ってくれて、総計15人ほどの人が来てくれました。今まで友達に巻きずしを作ってあげたことはあっても10人越えの人のために料理をしたことがなかったので緊張しましたが、成功させることができました。来てくれた人たちは日本食に興味津々で、本格的なワサビの作り方を知っている人などもいました。
海外に来て、お寿司の人気の高さと柔軟性に驚きました。オランダのスーパーならどこに行っても日本食の材料やお寿司のコーナーがありました。また、ビーガンの方が多いオランダでは、お寿司にキュウリや他の野菜を入れることで多様な人にふるまうことが出来ました。
大学でも友達にお寿司が食べたい!!!と言ってもらえることが多く、そのことが最初の友達作りやコミュニケーションに本当に助けられました。

寿司パーティーで用意したお寿司たち

忘れ物がないのか不安!!

  • 事前準備 : 渡航手配(VISA、保険、持ち物など)

留学に行く前が最も不安でストレスが大きかったと思っています。今まで海外に行くときは、例えば修学旅行など、持ち物リストがあったり、旅行だったらパスポートさえあれば大丈夫、という認識でした。今回が初めての長期留学で居住許可証なども必要だったので、忘れ物がないのか不安でしたし、それを確認しようがないことが一番ストレスでした。
片っ端から「オランダ 留学」で検索してnote で持ち物を公開している人の記事を調べたり、以前留学されていた先輩に聞いたりとしました。同じ時期に同じ場所に行く人がいない人は直前に慌てないように、前もって知り合いの伝手をたどって先輩を探しておいたり、調べておいたりすることをおすすめします!!

留学前にやっておけばよかったこと

日本食を練習しておくことをおすすめします。地域によっても違うかもしれませんが、特に学生はお金がないので一緒に自炊して食べる、というコミュニケーション方法が多いと思います。そのとき必ず日本食が食べたい!!と言われると思うので、普段自炊しない方は練習してみてください。

留学を勧める・勧めない理由

私が留学をお勧めする理由の一つは「マイノリティになる経験ができるから」です。語学などは日本でも勉強できると思いますが、少数派になるという経験はなかなかないと思います。そこで自分がどのように周りの人に助けられたのか、どのように自分から行動したのかという点が現在の自分の人間的な成長に役に立っていると思います。

これから留学へ行く人へのメッセージ

この記事を見ているということは少なからず留学に興味があるのだと思います。留学はお金もかかるし時間もかかるし申請系は多いしと困難が多いですが、それゆえに得られることも大きいです。ぜひ一歩飛び出してください。