留学内容
本留学では、ドイツ、マックス・プランク石炭研究所(Max-Planck-Institut für Kohlenforschung)のList研究室において、半年間「安全かつ環境に優しい触媒」として世界的に注目されている有機触媒の合成技術を習得し、その応用研究を行うことを目的とした。特に、有機触媒は金属触媒に比べて環境負荷が小さく、また持続可能な化学の実現に直結する分野であるため、今後の研究活動における重要な知識基盤となることが期待された。
留学初期(2024年10月~12月)には、まず有機合成に必要な基本的な操作や安全管理を身につけることを重視した。研究室所属のテクニシャンとともに練習実験を行い、触媒の合成手順や反応条件の最適化を体験することで、基礎的なスキルを確実に習得することができた。また、実験以外にも、研究室メンバーと共にクリスマスマーケットへ出かけたり、研究室内でのクリスマスパーティーに参加したりすることで、国際的な研究環境の中での交流や親睦を深める機会があった。これらの活動は、異なる文化背景をもつ研究者との関係構築やコミュニケーション力の向上につながった。
2025年に入ってからは、実際に研究室で進行中の研究プロジェクトに本格的に参画する機会を得た。これにより、単なる実験技術の習得にとどまらず、触媒設計の発想や実際の研究課題の進め方を理解することができた。さらに、定期的なディスカッションを通じて、研究テーマの背景、目標設定、実験結果の考察方法など、研究の進め方に関する多角的な視点を養うことができた。
このように、留学期間を通じて基礎から応用まで段階的に経験を積むことができたことは、今後、自身が新しい研究を展開する上で大きな財産となった。