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藤田えりか

出身・在学高校:
出身・在学校:
出身・在学学部学科:
リハビリテーション学研究科
在籍企業・組織:


最終更新日:2025年09月29日 初回執筆日:2025年09月29日

スイスで神経回路形成の仕組みを探求!

留学テーマ・分野:
大学院生:交換・研究留学(日本の大学院に在籍しながら現地大学院内で学ぶ留学)
留学先(所属・専攻 / 国 / 都市):
  • チューリッヒ大学 分子生命科学研究科
  • スイス
  • チューリッヒ
留学期間:
12か月
総費用:
- 円 ・ 奨学金あり
  • トビタテ!留学JAPAN「日本代表/新・日本代表プログラム」 1,920,000円

語学力:

言語 留学前 留学後
英語 授業や会議の内容が理解でき、必要な発言ができるレベル<TOEFL 81> 専門的な研究や会議において、議論や調整ができるレベル

留学内容

神経回路が形成される仕組みを分子レベルで学び、日本の大学院で取り組んでいる研究に貢献できる知識と技術を吸収することを目的に、チューリッヒ大学分子生命科学研究科で1年間の研究生活を送りました。
所属していたチューリッヒ大学の研究室では、神経難病を引き起こす遺伝子に関するプロジェクト遂行を通して留学目的の達成に努めるとともに、スイスの研究室文化を肌で感じることもできました。非常に迅速に進んでいく研究のスピード感に当初は戸惑いましたが、研究室メンバーに助けてもらいながら、プレゼン発表や活発な議論を重ね、最終的にはスイスの学会で研究成果を発表するに至りました。

留学の動機

医療分野で世界中に貢献したいという目標達成に向けて、短期留学だけではなく長期間海外に身を置いて医療分野に携わる経験がまずは必要だと感じていました。
病院実習や卒業研究、国家試験勉強と、精神的・時間的に厳しい状況の中、長期留学に向けて実際に行動に移すことには大きな勇気とエネルギーが必要でしたが、トビタテ留学から帰国後の尊敬する先輩に背中を押していただき、トビタテの応募と長期留学を決断できました。

成果

平日は毎日終日研究室で過ごし、2カ月に一度は皆の前で研究進捗や最新の論文情報を発表しました。研究力はもちろんですが、言語の壁を感じずに研究を進められるようになったことが一番の収穫です。
研究以外にも、チューリッヒ大学の学生オーケストラに所属したり、住んでいた寮で日本の曲をバイオリンで演奏したりと趣味活動も充実していました。音楽を通して様々な国籍の友達を一気に増やすことができました。

ついた力

主体的に日常を充実させる力

留学中は “How was your day?” とよく友達に聞かれました。これは単なる挨拶以上に会話を広げ、仲を深める大切な質問でした。初めは一言で答えていましたが、皆の回答内容から刺激を受け、次第に「私も友達に紹介したくなるような有意義な日を送りたい」と思うようになりました。会話を盛り上げたい気持ちから、何事も目的をもって充実した日々を送りたい気持ちにつながり、習慣づけることができました。

今後の展望

まずはスイスで学んだことを日本の研究に生かし、博士号取得に向けて尽力したいです。そのうえで、自身の研究成果を含め世界中の最新の研究報告が、1日でも早く医療現場で実用化されるように、世界的に影響を及ぼすような人材になりたいです。
病院実習で患者さんからいただいた「研究で私のような患者を救ってほしい」という言葉を原動力に、研究と医療現場を繋げ、世界中の患者さんに希望を届ける存在になりたいです。

留学スケジュール

2024年
3月~
2025年
3月

スイス(チューリッヒ)

神経発生学や神経回路形成を専門とするチューリッヒ大学の教授の研究室に1年間留学しました。教授をはじめ秘書の方、Lab Manager、Technical Staff、そしてスイスだけではなく様々な国から来た研究室メンバーには、研究の基礎から応用、さらには生活面まで手厚くサポートしてもらいました。研究室では留学の全期間をかけて、神経難病を引き起こす遺伝子に関するプロジェクトに取り組みました。
チューリッヒ大学では、自分よりも若い学部生や修士課程の学生が博士課程の学生と対等に研究の話で盛り上がっていたり、英語でまくし立てるように質問をしていたりする光景が日常的であり、その雰囲気についていけず落ち込むこともありました。しかしプライドや恥を捨て、「分からないから教えてほしい」と思いきって何度も発信したことで、皆が喜んで豊富な知識を共有してくれ、そのおかげで徐々に自信をつけていくことができました。最終的にはスイスで行われた学会で筆頭者として研究成果を発表するまでに成長しました。

また、チューリッヒでの住まい探しには大変苦労しました。留学前から準備を進めていたものの、最初の1か月は住む場所が無く、古いアパートのようなホテルで一人暮らしをしていました。その間に、チューリッヒ大学やチューリッヒ工科大学の学生が暮らす大人気の学生寮から、「もうすぐ空き部屋が出る」と連絡をもらえたのは、留学中最大の奇跡でした。留学開始2か月目からその寮に入居でき、ヨーロッパ各地から集まった勉強熱心な学生と毎日交流し、留学を終える頃にはまるで兄弟姉妹のように仲良くなりました。

費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

日本からの着物とチューリッヒ大学のコラボ
「これで頑張りなさい」と研究室の教授が貸してくれたテキスト
スイスの学会で発表した際の会場の写真
費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

スペシャルエピソード

感謝してもしきれない、お世話になった・大好きな人

留学中に心から大好きになったのは、やはり研究室メンバーの皆さんです。
どれだけ初歩的な研究の質問をしても決して馬鹿にせず、「役に立てて嬉しいよ」と笑顔で助けてくれる方ばかりでした。その優しさのおかげで、失敗を恐れず、好奇心を忘れず、ありのままの自分で研究生活を送ることができました。
そんな方々からの忘れられないサプライズがあります。私が研究活動と並行して週に一回夜に参加していたオーケストラでは、大きな演奏会が開催されました。開催前、研究室にも演奏会のチラシを配ってほしいと頼まれ、「私の趣味活動なんて誰も興味ないだろう」と考えながら、研究室で配布しました。案の上、興味を示す人は少なく、「忙しいから行けないけど楽しんでね」と数人が言ってくれる程度でした。
ところが演奏会当日、日本から駆けつけてくれた母も見守る中、無事に演奏し終えて客席を見渡すと、私に手を振る集団がいました。なんと研究室メンバーの皆さんでした。実は私に内緒で演奏会に行こうと約束してくれていたのです。その瞬間、いつも助けてもらってばかりの自分を研究室の一員として大切に思ってくれているのだと感じ、胸がいっぱいになりました。「わざと知らん顔して演技をしていただけ!ずっと前から演奏会にみんなで行こうねってこっそり計画してたんだよ」「あなたの新たな一面を見ることができて嬉しかったよ」と笑いながら口をそろえて言ってくれました。

チューリッヒの有名なホールで大曲を演奏し終えたときの写真

トリリンガルでなくてもあきらめない!言語以外のコミュニケーション法

  • 語学力 : その他の言語

留学先では、自身の特技である「出会った人すべての名前と顔、話した内容を覚える」ことを活かし、友好関係を広げていきました。しかし留学先の寮では入居当初、友達作りに悩まされました。その要因は、スイス、ドイツ、フランス、イタリア、スペインなど主にヨーロッパ出身の学生たちが、話せる言語ごとにグループ化されていたことです。英語グループは無く、ドイツ語グループ、スペイン語グループ、フランス語グループ、イタリア語グループ等です。私のみが全く異なる文化的背景を持つ日本人で、しかも日本語と英語しか話せない(4つの公用語があるスイスでは自己紹介で “How many languages do you speak?” と聞かれました。ほとんどの人が3~4か国語を話せることが多く、たった2か国語しか話せない私は自信を失いました…)、彼らにとって私は、いわば “教養のない不思議な外国人” でした。
私一人だけのために、会話の言語を英語に切り替えてくれる人は少なく、言語の壁は厚く感じました。それでも諦めず、自分から英語で皆が興味を持ちそうな話題を振ったり、日本のお菓子を配ったりしながら、何とか彼らの会話の輪にしがみつきました。時間はかかりましたが、やがてドイツ語もフランス語もほとんど話せない私にも、「週末ピクニックに行こうよ」「今日一緒にボードゲームをしない?」と誘ってくれる人が増えていきました。そこから急速に仲が深まり、皆が自然に英語で話してくれるようになりました。
留学後半は、より仲を深めながら日本に興味を持ってもらえるよう、おにぎりパーティーを開催したり、日本の曲を演奏したりしました。その結果、「日本に行きたい」という声をよく聞くようになり、嬉しく思いました。留学後の現在でも連絡を取り合う友達は多く、日本に旅行に来た友達を案内する機会も増えてきました。

寮の庭でボードゲームをした時の様子
寮のキッチンでクリスマスクッキーを焼いた時の様子

これから留学へ行く人へのメッセージ

留学は、皆さんの大きな勇気はもちろんですが、たくさんの方々のサポートがあってこそ実現するものです。留学に行くと決断するとき、留学準備を進めるとき、留学中困難に直面したとき、あなたを助けてくれる誰かに出会います。ぜひその方々への感謝の気持ちを忘れずに、そして出会う方々とのご縁を大切に、素敵な留学生活を経験してきてください!
私にとって留学は人生を変えた財産です。応援しています。