東野春菜

出身・在学高校:
国際基督教大学高等学校
出身・在学校:
名古屋大学、長崎大学大学院
出身・在学学部学科:
医学部保健学科、熱帯医学・グローバルヘルス研究科
在籍企業・組織:


最終更新日:2026年10月06日 初回執筆日:2026年10月06日

誰もが健康に生まれ育つ仕組みづくり

留学テーマ・分野:
海外インターンシップ
留学先(所属・専攻 / 国 / 都市):
  • NPO法人HANDSケニア事務所
  • ケニア
  • ケリチョ・キスム
留学期間:
8か月
総費用:
1,850,000円 ・ 奨学金あり
  • トビタテ!留学JAPAN「日本代表/新・日本代表プログラム」 1,310,000円

語学力:

言語 留学前 留学後
英語 専門的な研究や会議において、議論や調整ができるレベル → 専門的な研究や会議において、議論や調整ができるレベル

留学内容

誰もが健康に生まれ育つ社会の仕組みづくりを学ぶため、ケニアにてインターンシップとフィールド調査活動を行った。国際NGOにて行ったインターンシップでは、主に子どもの栄養改善事業に従事し、地域の方々が主体となって子どもの栄養改善に取り組めるよう、教材の作成や地域健康推進員への講義を行った。フィールド調査活動では、学校で働く看護師「スクールナース」の方々を対象に、インタビューと参与観察を実施した。学校に通う子ども達の健康管理に貢献するスクールナースの実態調査を行うことで、現場のニーズを把握し、改善できる点を明らかにした。

留学の動機

将来、世界中の様々な地域で健康課題の改善に貢献し、「誰もが健康に生まれ育つ社会の仕組みをつくりたい」という思いから、まずは経験を積むべく、初訪問の地で地域の健康課題の解明と解決方法を提案するスキルを身につけることを目的に留学を決意した。

成果

「保健医療の仕組みづくりと人づくり」をモットーに掲げる国際NGO HANDSでのインターンシップでは、子ども達への栄養教育の教材・教案作成や、地域の健康推進員への講義、スタッフの広報スキル向上研修などを行った。自身の調査活動ではケニアの3地域においてスクールナースの現状を明らかにし、帰国後修士論文にまとめた。今後、国際学会での発表および国際誌への投稿を行う予定である。

ついた力

視点を変える力

留学前半に行ったJICAの草の根技術協力事業でのインターンシップでは、地域の様々な立場の人の話から、現場レベルでの課題とその背景要因や、地域の生活や文化に根差した解決方法を考える力が身についた。後半に行った調査活動では、学校の中での保健システムがどのように機能しているかを、スクールナースの語りや実際の業務内容から明らかにし、政策や組織レベルでどのような改善策が必要かを検討する力が身についた。

今後の展望

ケニアでの8か月により圧倒的に広がった視野と、大学院で培った調査・分析力を生かして、まずは国際社会での「日本人」としての身の振り方を学び、その後、現場の声を政策に反映させられるアカデミアの道に進みたい。いずれは世界中の学校に保健室をつくるプロジェクトを牽引し、国際学校保健学という分野を確立させるのが私の人生の目標である。

留学スケジュール

2025年
10月~
2026年
1月

ケニア(ケリチョ)

保健医療の人づくりと仕組みづくりを担う国際NGO法人HANDSのケニア事務所にて、5歳未満児の栄養改善事業および、アドミン業務にてインターンシップを行った。
栄養改善事業が行う5つのプラグラムの繋がりや、それぞれがどのように設計されているのかを学び、イベント内で地域保健推進員への講義や、子ども達への教育セッションの計画・運営を担当した。長期的に活用できる成果物としては、教案および教材を作成した。その教案と教材に沿って講義を行えば、誰でも同じ学びを提供できるのが強みだと考える。
アドミン業務では、NGOの活動に欠かせないドライバーの調整力向上のためのドライバー研修を行うとともに、資金調達や広報、現地のステークホルダーとの関係構築などの業務を学び、アドミンがNGO運営に欠かせない縁の下の力持ちであることを痛感した。
成果として、インターン終了後に受入機関に提出したレポート、および、学科に提出したインターンシップ総括してのレポートがある。受入機関には、ホームページにレポートを公開していただき、学科に提出したものではAAの成績を取得した。さらに、ケニア滞在中に行った日本人向けのオンラインイベントで、どのような活動をしているのかを発信した。

費用詳細

学費:納入総額

85,000 円

住居費:月額

26,400 円

生活費:月額

80,000 円

地域の健康推進員さん達を対象にした講義
作成した教材を農業局員が使用して講義する様子
費用詳細

学費:納入総額

85,000 円

住居費:月額

26,400 円

生活費:月額

80,000 円

2026年
2月~
2026年
5月

ケニア(キスム(ケリチョ・ホマベイ・ナイロビ))

キスムにあるマセノ大学のDr.Doreen教授(Public Health)の指導を受けながら、ケニア国内の3地域(ケリチョ、ホマベイ、ナイロビ)にて、それぞれ概ね1か月ずつ、スクールナースの現状調査を行った。この調査はSchool Nurses' Perspectives on Their Roles, Tasks, and Challenges in Kenya: An Exploratory Qualitative Studyという私の修士論文執筆に必要なデータ収集の位置づけである。各地域で、調査に必要な教育省からの許可を取得して実施した。協力校を探すにあたっては、現地でリサーチアシスタントを雇い、挨拶まわりおよび研究の説明に同行してもらった。スクールナースには、30~60分のインタビューを実施し、実際の業務内容の観察も行うことで、より細やかな実態把握を心がけた。収集したインタビューデータおよび、観察によるフィールドノートは、質的分析ソフトを用いて分析を行い、帰国後の修士論文の執筆に繋げた。

費用詳細

学費:納入総額

56,000 円

住居費:月額

130,000 円

生活費:月額

80,000 円

項目:交通費

110,000 円

スクールナースにインタビュー
調査先の学校の薬品庫の様子
調査内容を修士論文にまとめて発表
費用詳細

学費:納入総額

56,000 円

住居費:月額

130,000 円

生活費:月額

80,000 円

項目:交通費

110,000 円

スペシャルエピソード

ココでしか得られなかった、貴重な学び

留学中に最も私を成長させてくれたのは、スクールナースの現状調査を行った経験である。そこに至るまでに必要なリサーチライセンスの取得や、教育省からの許可取得、そして、各学校の校長や理事長への挨拶と研究内容の説明を自ら行うことで、異国で調査を行うのに必要なプロセスを身をもって体感することができた。各学校への挨拶回りの際に、調査を断られた学校が何校かあり、自分がいつでも歓迎される立場ではないことも痛感した。そして、現地に精通した人の協力を得ることや、自身が現地語を話すこと、また、自分の立ち位置と研究日に行いたいことを分かりやすく説明することで、まずは信頼関係を築くことの大切さを学んだ。
さらに、学校で生徒のストライキがあり調査ができなかったり、公共バスやタクシー運転手のストライキがあり外出ができなかったりと、ケニアならではの要因によるスケジュール調整も経験。この言葉が適切なのかは分からないが「まだまだ途上国」であることを実感した。日本とはあまりにも違う環境や予測不可能なイベントの発生にも臆することなく調査を完遂できたことは、私の誇りである。

悪路による脱輪の危機を乗り越えて到着した調査先

日本のことが、とても好きになった瞬間

留学を経て、日本はとんでもなく恵まれている国であると気づいた。ケニアでは、当たり前を何度も覆され、安定しないインフラやそこら中ですれ違う牛・ロバ・羊・ヤギ、ストライキの情報など、これまでの人生で全く想像もしなかったことを話題にしている自分に気づいた。陽気なケニア人や平気で遅刻してくる役人などにイライラしたり救われたりしながら、そもそも日本みたいに時刻通りに動いている交通機関なんてないのだから、時間を守る文化が根付かないのも納得かもしれない、と一歩引いたところから「なぜそうなっているのか」を分析することができるようになった。
私がケニアで生まれ育っていたら、どんな大人になっていただろうかと、少し考えた。私が今手にしているもの全て、ケニアでは手に入っていなかったかもしれないと想像すると、自分があまりにも恵まれた環境で生まれ育ったことを実感し感謝した。そしてやはり、生まれる国によって機会に差があるという現状を打開したいとの思いが強くなった。

ビクトリア湖とヤギ
舗装されていないメインロード

二言目には「結婚しよう」

  • 生活 : 治安・安全

アフリカあるあるかもしれないが、肌の色が違う私たちは、道を歩いているだけでもとても目立つ。見知らぬ人に話しかけられた際「どこから来たのか」「ケニアで何をしているのか」を話すのはまだいいが、その後、かなりの確率で「パートナーはいるのか?」と聞かれる。「いない」と答えると、「日本人と結婚したい」とか「息子の嫁にならないか」とか「牛を日本に持って行くにはどうしたらいいか?」(ケニアでは結婚すると、男が女の家族に牛を贈る風習がある)と言われる。
断ると「なぜ?」攻撃に遭う。私はそれがとても面倒くさく、いつしか'I'm married'と答えるようになった。それでも「ケニア人の夫もつくったらいいよ」と言われることもあった。無視をするとしつこくされるだけなので、とにかく'NO'。自分の心を守ることが一番大事。

留学前にやっておけばよかったこと

スワヒリ語の勉強をちょっとでもしていけばよかった。ケニアでは基本的に英語が通じるが、日常会話はスワヒリ語で行われることが多い。スワヒリ語の基礎だけでも学んでから行けば、もっと現地の人と仲良くなれたかもと思う。

これから留学へ行く人へのメッセージ

どこの国に行っても、あなたは外国人です。旅行で訪れるのではなく、現地に住み、生活することで「外国人としての暮らし」を実感することになります。ずっと日本にいると考えも及ばないような「当たり前を覆される感覚」を何度も味わってください。
様々な国の人と交流すると、日本のことをたくさん聞かれます。ぜひ、日本の政治、歴史、文化、気候、産業のことを、他国と比較して討論できるくらい学んでください。