留学大図鑑 留学大図鑑

かおり

出身・在学高校:
中央大学附属高等学校
出身・在学校:
東京農工大学大学院
出身・在学学部学科:
生物システム応用科学府生物機能システム科学専攻
在籍企業・組織:


最終更新日:2018年07月31日 初回執筆日:2018年07月31日

電気化学発祥の地で新規電池材料の開発

留学テーマ・分野:
大学院生:交換・研究留学(日本の大学院に在籍しながら現地大学院内で学ぶ留学)
留学先(所属・専攻 / 国 / 都市):
  • パドヴァ大学(Department of Chemical Sciences)
  • イタリア
  • パドヴァ
留学期間:
4か月
総費用:
990,000円 ・ 奨学金あり
  • トビタテ!留学JAPAN「日本代表/新・日本代表プログラム」 890,000円

語学力:

言語 留学前 留学後
英語 生活に困らない程度の日常会話ができるレベル 授業や会議の内容が理解でき、必要な発言ができるレベル

留学内容

パドヴァ大学のDi Noto研究室で新規固体電池材料の研究を行いました。固体高分子電解質(Solid Polymer Electrolytes, SPE)(膜状)は高分子と金属塩で構成される材料であり、その組み合わせは無限大にあるため、実用化に向けたSPEの系を模索しました。当初は3種類の高分子を使用する予定だったのですが、実験に失敗したため、高分子は1種類のみ使用する運びとなりました。その後、高分子膜、高分子+金属塩(今まで使用したことがないもの)の膜、さらにそこに可塑剤(2種類)を加えた計4種類の膜を作製し、8種類の測定を用いて、膜の中でのイオンの動きやすさや膜内での物質間の相互作用を評価致しました。今まで可塑剤を加えたことがなかったのですが、加えたことにより、イオンの動きやすさが向上し、可塑剤によっても違いがみられたため、非常に興味深い結果が得られました。残念ながら、実用化に達するほどイオンが動きやすくなかったのですが、天然高分子でしか用いられていなかった可塑剤を今回用いてみたため、今後のSPEの研究の一助になるのではないかと考えております。

留学の動機

自身の研究分野において著名な先生の一人である方の研究室で学びたいという思いがあったことと、論文が全部英語で書かれており、世界というフィールドで研究を行わなければならないと自覚したからです。

成果

研究のテクニックや知識及び論文を1報書ける研究成果は得られました。

ついた力

コミュニケーション力

留学前は、誰かと協力して何かを成し遂げることよりも、個人で成果を出すことに注力していました。ですが、留学先では家族もいない・友達もいない状況からスタートしたため、まずは周りの方々とコミュニケーションをとるということが第一ステップでした。結果的に、コミュニケーションをたくさんとり、仲良くなった方々が、日本文化発信イベントや研究を手伝って下さったので、コミュニケーションの重要さに気づきました。

今後の展望

留学先で培った研究の知識及び技術を活かし、人々の生活を支えるような新規材料を、周りの方々と協力しながら開発したいと考えています。

留学スケジュール

2017年
8月~
2017年
12月

イタリア(パドヴァ)

パドヴァ大学のDi Noto研究室で新規固体電池材料の研究を行いました。固体高分子電解質(Solid Polymer Electrolytes, SPE)(膜状)は高分子と金属塩で構成される材料であり、その組み合わせは無限大にあるため、実用化に向けたSPEの系を模索しました。当初は3種類の高分子を使用する予定だったのですが、実験に失敗したため、高分子は1種類のみ使用する運びとなりました。その後、高分子膜、高分子+金属塩(今まで使用したことがないもの)の膜、さらにそこに可塑剤(2種類)を加えた計4種類の膜を作製し、8種類の測定を用いて、膜の中でのイオンの動きやすさや膜内での物質間の相互作用を評価致しました。

費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

研究室で実験を行っている様子
費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

スペシャルエピソード

ココでしか得られなかった、貴重な学び

私が最も成長した経験は博士後期課程・ポスドク・研究員の方々と日々実験・ディスカッションを共にしたことです。それによって、私は「研究の進め方やテクニック」と「当事者意識を常に持つこと」を学びました。人生経験も私より豊富であり、実験に関するノウハウをも持っていらっしゃった方々に囲まれた研究生活であったので、教えてもらうことが多く、論文を出すことを前提にした研究の進め方や膜を上手に作製するためのテクニック、得られた結果をどのように解析するかなど研究に関する様々なことを彼らから学びました。そんなある日、実験の方針を決めるディスカッションを行っている時に、私が指導教員の意見を伝えていたら、1人のポスドクに「香織は何がしたいの?これは香織の留学で、この実験の主導者は香織だよ、僕たちは先生の意見じゃなくて香織の意見が聞きたい」と言われた際に、私は言葉に詰まってしまいました。それと同時に私は知識の豊富な彼らに頼っていたこと、指導教員の意見を重視していた自分がいたことに気づき、すごく悔しい思いをしました。そしてこの経験から、上司や教員からの指示を受けて行うことに対しても、受動的になりすぎず、また上の方々の指示を聞きすぎずに、当事者意識を持って臨んでいこうと決意しました。

お世話になった研究室メンバー

警察で2時間口論して、勝ち取った滞在許可証

  • 語学力 : その他の言語

イタリアに3ヶ月以上留学する際には、ビザや滞在許可証の取得が必要となります。滞在許可証を取得するために、現地の警察に行ったのですが、日本の大使館のハンコが押印された書類であるにも関わらず、有効でないからもう一度来いと言われ、口論しました。イタリア語は挨拶程度の言葉しかしゃべれなかったので、基本的には英語で口論しましたが、途中途中知っている数少ないイタリア語を織り交ぜてしゃべると、警察官の態度が変わりました。そして、結果的にはその場で滞在許可証を取得することができました。留学前に、語学学習の時間を十分に取ることは難しいかもしれないですが、少しだけでも現地の言葉は学んでいった方が良いと思います!

留学を勧める・勧めない理由

私は、色々な気づきを得られるので留学を勧めます。私は、日本の研究室では先生には常にエースと言われ、学会賞2つ、卒論発表賞もとり、学科で3冠王と称されていた自分が、イタリアの研究室では、ディスカッションでも全然発言できず、周りのレベルに圧倒され、自分のレベルの低さに気づきました。このように、良い面も悪い面も含めて自分の価値観、考え、レベルなど色々なことに気づけることが留学の魅力だと思います。

これから留学へ行く人へのメッセージ

留学に行っている間は、”郷には入れば郷に従え”ではないですが、現地の習慣や文化に溶け込んできてください!