留学大図鑑 留学大図鑑

横瀬健斗

出身・在学高校:
山梨県立甲府南高校
出身・在学校:
京都工芸繊維大学
出身・在学学部学科:
工芸科学研究科デザイン学専攻
在籍企業・組織:


最終更新日:2021年01月12日 初回執筆日:2021年01月12日

フィンランドと分野横断型デザイン

留学テーマ・分野:
大学院生:交換・研究留学(日本の大学院に在籍しながら現地大学院内で学ぶ留学)
留学先(所属・専攻 / 国 / 都市):
  • アールト大学
  • フィンランド
  • エスポー・ヘルシンキ
留学期間:
10ヶ月
総費用:
- 円 ・ 奨学金あり
  • トビタテ!留学JAPAN「日本代表/新・日本代表プログラム」 1,600,000円

語学力:

言語 留学前 留学後
英語 生活に困らない程度の日常会話ができるレベル<TOEIC805> 授業や会議の内容が理解でき、必要な発言ができるレベル

留学内容

建築/デザイン業界の縦割りの分野構造に対する疑問と違和感から、より自由で横断的なデザイン手法を学ぶべくフィンランドのアールト大学にて交換留学を行った。大学では異分野・多国籍の学生たちとチームを組み、現地の企業や大学のギフトショップと共にデザインプロジェクトを行った。その他にも、専門外の写真やサウンドのワークショップに参加をし、最終成果物をオンラインで発表(web展示会)したりサウンドパフォーマンスを行ったりもした。また、大学が休みの期間には国内に点在するアールトの建築や市内の展示会を訪れ、フィンランドの人々の芸術への視点や根本にある思想、そして美意識を五感を使って学ぶことができたと感じる。
フィンランドでの多様なプロジェクトを通じて、ものづくりのプロセスにおける分野横断の可能性を探ることができたその一方で、日本人としての自分の中に潜在している美的感覚や独自性にも改めて気づくことができたとも思う。

留学の動機

建築学科に所属をしていたときに感じた閉塞感と縦割りの分野構造に違和感を覚え、もっと自由にものづくりができる環境とその手法を求めて海外留学を計画した。絶対的にフィンランドでなければならなかった訳では無かったけれど、フィンランドには個々人の多様な思想を受け入れるオープンな社会構造と市民意識があったため、海外からの留学生にはとても好ましい環境だったと思う。

成果

留学の成果は必ずしも計画していたことばかりではなく、思わぬところから得られることがある。もちろん留学生とのデザインプロジェクトも多くの学びに溢れていて、「理解できないこともある」という事実を理解することはひとつの学びだったが、それ以上に自分の内面と正直に向かい合う時間はとても尊いものだった。無意識の中に潜むバイアスを見直し、捨てていくこと。そうすることで多様な他者に寛容になれると感じられた。

ついた力

感受力

違和感を感じること、心地よさを感じること、美しさを感じること。空間デザインの本質は人々に多様な情動を与えることで、逆に言えば、作り手にとって最も大事なスキルは空間から何らかの情動を感じとることだと思う。そういう意味では、フィンランドの教育・都市・自然は良いインスピレーションに溢れていて、結果として「感受力」を鍛えることができたような気がする。

今後の展望

卒業後の所属先はまだ未定だけれど、変わらず芸術の分野でものづくりと携わり続けたいと思っている。ただ、今よりもう少し縦割りの分野構造が柔らかく横につながり、多様なプロセスからものづくりができればとも思っている。

留学スケジュール

2019年
9月~
2020年
7月

フィンランド(ヘルシンキ・エスポー)

2019/09- フィンランドのS-Groupという小売系企業と共にデザインプロジェクトを行う。4人のチームとなり企業訪問やインタビュー、ディスカッションからポスターのデザインまでを一貫して行った。
2019/12- サウンドのワークショップに参加。市内の図書館や教会で数十分間目を瞑りながら「無音」を聞く体験をしたり、「沈黙」をテーマとした作品を個人で制作してパフォーマンス・プレゼンテーションを行った。
2020/1- 3Dプリンタの特性を生かして造形をするワークショップに参加。波の形をコンピュータでシュミレーションし、ガラスのお皿を設計した。(コロナの影響で完成することはできなかった)
2020/3- 都市と写真に関するワークショップに参加。コロナ禍における都市の写真を撮影・編集し、採取的にはオンラインでの展示会にて発表。

費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

アールト大学 | 自然が豊かで学びに適した環境
費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

スペシャルエピソード

この国のことが、とても好きになった瞬間

日本の四季は美しい。しかし、フィンランドの静かで暗い冬もまた美しいと感じた。
高緯度のフィンランドの冬は非常に暗く天気も悪いため、一般的にはあまり好まれないのだが、自分にとってはとても魅力的で尊い時間だったように感じる。というのも、一面に雪が積もると音さえも吸収してしまうため、まるで宇宙にいるかのような幻想的な空間を体験することができる。加えて、海辺では都市の雑音から離れて心地よい波の音を楽しむことができ、森へ行けば雨のリズムと風のざわめきを全身で感じることができる。このように、フィンランドでは数千年前の人々も味わっていたであろう原始的な光や音を追体験することができるため、散歩をすることすらひとつの芸術体験となり得る。

北欧の静寂の夜
日没後の青い海景
雨の日の森

慣れるも良し、慣れないも良し。

  • 生活 : 食事

正直に言うと、フィンランドの食事は全く口に合わなかった。もちろん個人差はあるのだろうけれど、一般的には日本人からすると単層的でうまみがないと言われている。多少我慢してでも留学先の文化や風習に慣れること、慣れようと努力することは大切だと思うけれど、食事に関しては無理に慣れようとしなくてもいいなと感じた。というのも、慣れない土地での留学において心身の健康はとても重要で、毎日の食事それらに大きく影響する。自分の場合、最初の1ヶ月くらいはヨーロッパの食文化にシフトしようと色々試してみたものの、やっぱり日本食(お米)が恋しくなり、無理に食文化に慣れようとすることを諦めた。結果的にも、現地で調達した日本食のおかげで食へのストレスは減らすことができたし、自炊をすることでお金を節約することもできた。現地の文化に慣れることももちろん良いことだけれど、それに縛られすぎて必要以上にストレスを溜め込まない方が良いとも感じた。

市内の寿司レストラン。味も値段もそこそこで◎!

これから留学へ行く人へのメッセージ

まだまだ未熟で拙い10代20代だからこそ、そして今だからこそ留学に行く価値があるのだと思います。今だから感じる違和感や何かに対する純粋な興味を大切に、ただ迷わず飛び込めばいいのだと思います。きっと10年後20年後にはその感情すら忘れてしまうので。