最終更新日:2026年03月09日 初回執筆日:2026年03月09日

フィンランドと日本の教育問題のリアル

留学テーマ・分野:
短期留学(3か月以内、語学・ボランティアなど各種研修含む)・教育視察、授業実践、インタビュー調査
留学先(所属・専攻 / 国 / 都市):
  • Home Language International ,Global Teacher Program in Finland
  • フィンランド
  • ヘルシンキ、イーサルミ、コウボラ
留学期間:
2週間
総費用:
1,200,000円 ・ 奨学金あり
  • トビタテ!留学JAPAN「日本代表/新・日本代表プログラム」 510,000円

語学力:

言語 留学前 留学後
英語 授業や会議の内容が理解でき、必要な発言ができるレベル<英検2級> 授業や会議の内容が理解でき、必要な発言ができるレベル

留学内容

①問1:フィンランドと日本の教育問題の相違点および共通点
教師宅でのホームステイでは、ホストマザーへのインタビュー、街頭調査、小学校訪問、そして教師へのインタビューを行った。
「フィンランドにはどのような教育問題があるか」という質問に対して、ホストマザーは主に教育格差と移民を取り巻く教育問題を挙げてくださった。教育格差については、学校間の格差があるという。以前はこのような問題はほとんどなかった、あるいは問題視されていなかったが、移民の増加や電子機器の普及など社会の変化によって格差が生まれているそうだ。
例えば、フィンランド語を話せない移民の生徒が授業についていけないことや、幼少期に読書をしてこなかった移民の生徒とフィンランドの生徒の間で読解力の差が生じることが挙げられる。フィンランドでは0歳頃から読書をすることが一般的であるため、その習慣の違いが学力差につながっているという。現在では、フィンランド語を話せない生徒が5割を占める学校もあるそうだ。
また男女間にも差があり、ホストマザーは女子のほうが優秀な生徒が多いと話していた。さらに、家庭でどれほど教育が重視されているか、つまり親がどれだけ勉強を促すかによっても格差は生じるという。フィンランドの家庭では一般的に教育を重んじる傾向があり、幼少期から読書習慣を大切にする家庭も多い。一方で、移民家庭の中には教育に対する価値観や生活環境の違いから、家庭で十分に学習を支援することが難しい場合もあり、そのような違いが学力差につながることもあると説明された。
次に、私立の小学校を訪問し、教師2名にインタビューを行った。そこで大きな問題として挙げられたのが、政府による教育費の削減である。特に私立学校は公立学校よりも支給される資金が少ないという。実際に音楽の授業では、生徒全員分の教科書がなく、教師が一つの教科書をモニターに映して授業を行っていた。また、電子機器の利用によって生徒のエネルギーが低下しているとして、SNSの拡大も問題視されていた。移民の言語問題や家庭教育の重要性についても触れられ、子どものウェルビーイングが十分に大切にされていない場面もあるとのことだった。生徒に問題がある場合には心理カウンセラーが対応している。
日本では生徒の不登校が深刻な問題となっているが、高校の先生は「フィンランドでは高校までが義務教育であり、学校に来るよう生徒に伝える責任がある」と話していた。また、フィンランドでも生徒が勉強に対してプレッシャーを感じることはあり、主に高校卒業試験や大学入試がその要因となっているそうだ。
これらの教育問題がある一方で、私が留学前に耳にしていたフィンランドの学力低下(PISAの結果など)については、現地では一切言及されなかった。フィンランドでは結果よりも過程を重視する傾向があり、学校生活の中でも他人と比較する場面が少ないと感じた。
最後に、日本では教師の長時間労働が大きな問題となっているが、フィンランドでは最近教師の労働問題も話題になっているものの、日本ほど深刻ではないと感じた。残業文化や部活動がないため、教師は午後4時頃には帰宅する。また、勤務時間が終わると仕事のメールを見ることもない。日本のように空気を読んだり罪悪感を感じたりする様子はなく、時間になれば帰宅するというメリハリがはっきりしていた。一方で、日本の学校では進路指導などにおいて教師が生徒一人ひとりに対して行うサポートが比較的手厚いと感じた。
②問2:フィンランドの幸福度の高さと教育の関係
フィンランドの幸福度の高さは、自分の存在そのものを肯定する自尊心の高さと、国からの手厚いサポートが関係しているのではないかと考えた。
まず、自尊心は家庭や学校などの環境の中で育まれる。私が訪問した小学校では、5年生の授業で「Emotional Skills」という授業を見学した。そこでは、生徒同士が互いの良いところをプリントに書き合ったり、「あなたはありのままでいい」といった言葉を自分自身にかけたりしていた。
小学5年生が自然にそのような言葉を自分にかけられるのは、日頃から家庭や学校で親や教師が子どもを肯定する言葉をかけているからではないかと感じた。また、日本で見られる謙遜文化があまり見られないことも関係しているのではないかと思い、この点については今後さらに追求したいと考えている。
さらに、「できないこと」よりも「できたこと」に焦点を当てる教育は、幼児教育や小学校教育において重要であると感じた。
また、医療・福祉・教育・子育て・失業など、さまざまな面で国からの手厚いサポートがあることも大きい。日本と比べて国民が政府とのつながりを強く感じており、それが精神的な安心感につながっているのではないかと思った。
③問3:フィンランドにおける人生の学びとそれを取り巻く環境
フィンランドでは、人生を通して学び続ける環境が整っていると感じた。挑戦する機会が多く、金銭面のハードルも比較的低いため、年齢に関係なく何かを学ぶことができる。
人口が少ないため、国としても金銭的なサポートを行いやすいのではないかと考える。特にキャリアの変更が比較的容易であり、大学での学び直しも可能である。このような制度や環境が、生涯にわたる学びを支えているのだと感じた。

留学の動機

小学生の頃から海外留学に憧れを抱いていた。日本の教育問題に興味を持った私は、日本とは異なる形で教育が行われているフィンランドに関心を持った。かつては学力の高さで世界的に注目されていたフィンランドだが、近年では学力低下が指摘されており、日本と同様にさまざまな教育問題を抱えていることを知った。そこで、それらの問題に対してどのような対策が取られているのかを調査したいと考えた。

成果

フィンランドで出会った人々や、共に探究活動を行った日本の参加者と多方面から追究する中で、日本で得られる情報はほんの一部に過ぎないこと、そしてさまざまな人と対話することの大切さを実感した。また、限られた情報によって、自分が無意識のうちに偏見を抱いていたことにも気づいた。さらに、さまざまな社会問題の解決に挑戦する志を持つトビタテ生と出会い、その姿に強い刺激を受けた。

ついた力

多角的に物事を捉える力

私の探究テーマは「教育」だが、教育と一言で言っても、学力、宗教、文化、学校制度、家庭環境、授業方法、さらには国家の社会保障制度まで、多くの要素が絡み合っている。留学前は日本とフィンランドの教育の間に優劣があると考えていたが、何を基準に教育を捉えるかで大きく変わると思う。教育だけではなく全てにおいて多面的に物事を捉えることは大切だと実感した。

今後の展望

事前研修や事後研修を通して、自分自身の価値観について深く考える機会が増えた。今後もその気づきを大切にしながら、自分らしさを軸に、自身の興味や関心を主体的に追究していきたい。

留学スケジュール

2024年
8月~
2024年
8月

フィンランド(ヘルシンキ)

フィンランドの移民学校の教師をしているホストマザーの家でホームステイをしながら、フィンランド語の学習、フィンランドの文化体験、小学校訪問、幼稚園訪問、移民学校への訪問、インタビュー調査、該頭調査を行なった。

費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

ホストファミリーとヴィーガンフードを食べる
ホストファミリーの小学校訪問、授業視察
フィンランド語の勉強
費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

2024年
8月~
2024年
9月

フィンランド(ヘルシンキ・イーサルミ・コウボラ)

教育プログラムであるフィンランドGTPに参加して、街頭調査、授業実践、学校訪問(小学校、中学校、高校、専門学校、ユースセンター)を通じて探究活動を行なった。

費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

小学校のEmotional Skillsという授業
折り紙を一緒に折ったよ
小学生が綺麗な湖を案内してくれたよ
費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

スペシャルエピソード

留学中に手に入れた、今でも大事にしているもの

フィンランドGTPでの活動中に訪問した小学校は、イーサルミという小さな町にありました。そこで出会った小学生たちは、日本から来た私たちにとても親しみを持って接してくれました。たくさん話しかけてくれ、一生懸命英語で伝えようとしてくれた姿が印象に残っています。休み時間には一緒に遊び、楽しい時間を過ごしました。小学校には2日間訪問しましたが、別れの際には手作りのブレスレットや折り紙、そしてお手紙をプレゼントしてくれました。今でもそれらは大切に保管しています。

愛おしい小学生たち

文化祭直前の留学

  • 周囲の説得 : 恋人・友人

私は当初、夏休みに留学する予定でしたが、受け入れ先の変更やホームステイ先の都合により、夏休み後に留学することになりました。ちょうどその頃から文化祭の準備が始まり、私は文化祭直前という大切な時期に、部活動やクラスの出し物の準備に参加できない状況になってしまいました。特に部活動では、バンドの仲間たちに大きな迷惑をかけてしまったと感じています。
それでも部活のメンバーは私の留学を応援してくれ、文化祭直前の練習では、私のために何度もスタジオ練習に付き合ってくれました。今でも、あの大切な時期に留学に行ってよかったのだろうかと考えることがあります。しかしこの経験を通して、何かを得るためには、時には何かを諦めなければならないこともあるのだと学びました。

留学を勧める・勧めない理由

私は留学を強く勧めます。私自身、受け入れ先がギリギリまで決まらず、本当に留学できるのかと不安な日々を過ごし、何度も諦めそうになりました。応募準備や事前・事後研修の準備も大変でしたが、実際に留学してみると、その苦労を乗り越えてよかったと思えるほど貴重でかけがえのない体験になりました。だからこそ、簡単に諦めず最後までやり遂げてほしいと思います。

これから留学へ行く人へのメッセージ

探究活動が思うように進まなかったり、留学先での生活がつらく感じたりすることもあると思います。私自身も何度も壁にぶつかりました。しかし、その壁を乗り越えた先には、必ず新しい気づきや成長があります。つらいときこそ自分を信じて、最後まで諦めずに挑戦してほしいです。ただし、命の危険を感じたときは無理をせず、迷わずその場を離れてください。皆さんの挑戦を心から応援しています。