留学内容
先天性小児心疾患はその形態が複雑であるがゆえに、個々の症例は同じものとしてない。ゆえに多くの外科医がその治療戦略に頭を悩ませている。そして北米諸国に比べ日本では症例数は各病院に分散し、大規模な施設に集めることができていないことが治療戦略の発展を妨げている要因でもある。よって私は世界有数の大規模な小児病院であるThe Hospital for Sick Childrenの小児心臓外科チームで世界の手術技術、研究がいかなるものか、そして一つの大規模な施設で集中的に症例を集めるシステムはどのように成り立っているのかを学びに行くこととした。同病院ではカンファレンスの参加、手術見学、研究活動を行った。私は特にDecision-makingに重きを置いており、症例に対してどのような根拠で手術方法を選択し、実際に手術現場でどういう手技を駆使しているか詳細に観察した。また、よりよい手術結果を出すためのチームの取り組み方、膨大な症例数をどのように集めているかについても知見を得ることができた。そして何より世界で活躍する外科医の自身がもつ最高の結果を出すために実践している哲学についても話しを聞くことができ、私の心に響いた体験となった。