留学大図鑑 留学大図鑑

Mayu

出身・在学高校:
私立東邦大学付属東邦高等学校
出身・在学校:
埼玉大学、台湾國立交通大學
出身・在学学部学科:
理工学研究科、理學院
在籍企業・組織:
メーカー


最終更新日:2025年02月25日 初回執筆日:2025年02月25日

レーザーと有機材料が開拓するものづくり

留学テーマ・分野:
大学院進学(修士号・博士号取得)
留学先(所属・専攻 / 国 / 都市):
  • 國立交通大學(現 國立陽明交通大學)、理學院、應用化學系
  • 台湾
  • 新竹市
留学期間:
17か月(帰国期間含む)
総費用:
- 円 ・ 奨学金あり
  • トビタテ!留学JAPAN「日本代表/新・日本代表プログラム」 1,300,000円
  • 台日青年科技人才交流計畫 400,000円

語学力:

言語 留学前 留学後
英語 挨拶など基本的な会話ができるレベル 専門的な研究や会議において、議論や調整ができるレベル

留学内容

本留学では、最先端レーザー技術を用いて、次世代の有機電気光学材料を創製し、ライフサイエンス・情報通信技術などの分野におけるイノベーション創発を目的とした。そのために、私は、①台湾国立交通大学(現国立陽明交通大学)と埼玉大学のダブルディグリープログラムにより、国際共同研究を推進すると共に、②企業・学生間の国際的研究者ネットワークを築いた。まず、研究活動については、レーザー技術を用いて革新的な有機電気光学結晶を創製することを目指した。次世代の超高速・大容量通信などに用いられる超高速電気信号は性能面において従来の結晶で制御できる限界を超え、より優れた有機材料が注目されているが、有機材料の結晶化制御は非常に困難で既に頭打ち状態である。そこで、最先端レーザー技術により溶液中の分子を直接的かつ強制的に配列させることで結晶化制御を試みた。これにより、従来法では達成できない大型かつ高品質な有機電気光学結晶を創製し、情報通信技術や環境・エネルギーなど様々な分野においてイノベーションを創発できるのではないかと考えた。次に、ネットワーク構築に関しては、TSMCなどに就職した国立交通大学の卒業生を招聘し、Exchange Meeting of Japanese Students and Taiwanese Careersと題した研究や産業に関する交流会を企画・開催した。本イベントは、日台間共同研究の持続的発展を目指した研究者ネットワーク構築を目的としており、今後はこのネットワークを拡大していきたいと考えている。

留学の動機

学部3年生の頃に研究室に在籍してから、私は産業発展に重要な役割を果たす機能性材料の開発に興味を持つようになり、研究を進めていく中でレーザートラッピング結晶化を知った。自身の研究をさらに発展させるために、そのパイオニアの研究室に所属したいと考え、ダブルディグリープログラムの学生として修士号取得の挑戦を決心した。

成果

レーザー技術により有機電気光学結晶を創製することに成功した。研究結果は、修士論文として発表し台湾国立交通大学の理学修士号を取得したほか、学会発表等にて講演奨励賞や優秀ポスター発表賞などを受賞した。また、交流会については台湾社会人・日本人学生等合わせて20名の方にご参加いただき交流を深めることができた。授業や研究に関する英語でのディスカッションなどを通して、技術者としてのスキルを高めることができた。

ついた力

まきこみ力

私は本留学を通じ、自分のやりたいことに対して自ら行動を起こし周囲に発信することで、周囲の協力を得ながら目標を達成する力を得た。本留学・交流会の開催・コロナ禍におけるダブルディグリープログラムの継続は、周囲の協力なしでは成しえなかった。挑戦したいという意思やそれに対する思いを伝えたからこそ達成することができたのだと思い、今後もその力を磨いていきたいと考えている。

今後の展望

海外の大学で研究に取り組み、修士論文を発表し修士号を取得したという経験は、自信を深めるきっかけとなり、今後の人生においても非常に大きな糧になると感じている。今後は、本留学で得た専門性をもとにグローバルに活躍できる人材になりたいと考えている。

留学スケジュール

2019年
8月~
2021年
1月

台湾(新竹市(台湾))

本留学では、ダブルディグリープログラムによる修士号の取得と台湾社会人と日本人学生との交流会の企画/開催を行った。日々の学校生活としては、研究活動だけでなく、専攻に関する授業に参加することで修士号取得に必要な単位を取得した。また、中国語の勉強のため、インド/ヨーロッパを出身とする学生と共に中国語の授業を受けた。放課後には、現地の方とバスケットボールをして過ごした。M1の11月には、台湾社会人と同大学に留学をしていた日本人学生と共に、研究内容や産業について議論するミーティングを企画開催した。M1の1月に日本へ一時帰国した際に、コロナ禍が始まり、以降台湾へは渡航できなくなる。現地の研究者からオンラインでサポートを貰いながら、日本にて研究設備を新たに立ち上げ、同一の研究を継続する。M2の1月には、修士論文発表会をオンライン開催し、プレゼンテーション30分・ディスカッション1時間を経て修士論文審査を通過することでき、修士号を取得した。

費用詳細

学費:納入総額

13,000 円

住居費:月額

38,000 円

生活費:月額

50,000 円

バスケコートは外だけでも最低5面はありました
国際的キャリアパス講演会時の様子
烤鴨(通い過ぎて、途中からは顔パスで買えるようになりました)
費用詳細

学費:納入総額

13,000 円

住居費:月額

38,000 円

生活費:月額

50,000 円

スペシャルエピソード

ココでしか得られなかった、貴重な学び

私が留学の中で最も印象的だったのは、現地の方と放課後にバスケットボールをしたときのことです。私以外は全員が中国語で会話し、私は中国語を話せないというプレー環境で、意思疎通が非常に困難でした。しかし、チームメンバーはジェスチャーなどにより一生懸命私とコミュニケーションをとってくれようとしました。また、試合中はメンバーの動きから意図を読み取ることに注力していました。お互いがコミュニケーションを取ろうとし、その結果意図が伝わりコンビネーションプレーが決まったときの感動は今でも忘れられません。私は、言葉だけが意思疎通の方法ではないということを体感し、どうにかして意図を伝えたい読み取りたいと行動することで、言葉の壁は簡単に超えられると学びました。

バスケコート

とにかく英語に触れる時間を増やす

  • 語学力 : 英語

私は留学前には英語を全く話せず、留学決断時にはすでに、2年後に英語で1.5hの修論発表会をすることを想像し声を震わせてしまうほどでした。そこで、留学中の日常生活では周囲の人と積極的にコミュニケーションをとることを意識したり、聞こえてくる単語を検索するなどして語彙力をつけていきました。また、報告会などでの資料作成では、英語版原稿を作成せず、話したいことを英語で口に出しながら英語版資料のみを作成するようにしました。そうすることで、慣れ親しんだ単語のみで構成された資料作成ができ、緊張なく報告できるようになりました。そのような取り組みを積み重ねていくことで、修論発表当日は、適度な緊張感の中で迎えることができ、無事に修了することができました。

これから留学へ行く人へのメッセージ

留学へ行ける機会は、残念ながら皆に平等に与えられているわけではないと思います。私は、コロナ禍になりそのことを改めて痛感しました。また、同じ国同じ場所に行ったとしても、個人個人の行動や熱量で全く異なる充実度の留学になると思います。留学に挑戦する方は、その留学をより有意義な時間にできるよう、積極性をもった行動を意識するとよいかと思います。