留学内容
本留学では、最先端レーザー技術を用いて、次世代の有機電気光学材料を創製し、ライフサイエンス・情報通信技術などの分野におけるイノベーション創発を目的とした。そのために、私は、①台湾国立交通大学(現国立陽明交通大学)と埼玉大学のダブルディグリープログラムにより、国際共同研究を推進すると共に、②企業・学生間の国際的研究者ネットワークを築いた。まず、研究活動については、レーザー技術を用いて革新的な有機電気光学結晶を創製することを目指した。次世代の超高速・大容量通信などに用いられる超高速電気信号は性能面において従来の結晶で制御できる限界を超え、より優れた有機材料が注目されているが、有機材料の結晶化制御は非常に困難で既に頭打ち状態である。そこで、最先端レーザー技術により溶液中の分子を直接的かつ強制的に配列させることで結晶化制御を試みた。これにより、従来法では達成できない大型かつ高品質な有機電気光学結晶を創製し、情報通信技術や環境・エネルギーなど様々な分野においてイノベーションを創発できるのではないかと考えた。次に、ネットワーク構築に関しては、TSMCなどに就職した国立交通大学の卒業生を招聘し、Exchange Meeting of Japanese Students and Taiwanese Careersと題した研究や産業に関する交流会を企画・開催した。本イベントは、日台間共同研究の持続的発展を目指した研究者ネットワーク構築を目的としており、今後はこのネットワークを拡大していきたいと考えている。