カナダ(トロント)
2024年10月から2025年8月にかけて、北米最大級の研究・医療施設である University Health Network / University of Toronto において、脊髄損傷患者のリハビリテーションに有効となる「運動 × 電気刺激併用治療」に関する基礎研究を行いました。
所属した研究室には、さまざまなバックグラウンドを持つポスドク、大学院生、summer student(学部生)など10名以上が在籍し、リハビリテーション分野の多様な研究に取り組んでいました。医学的知識に加えてプログラミング技術やデータ解析技術を活用し、脳波測定、神経興奮性評価、立位姿勢評価など幅広い測定が可能な、非常に充実した研究環境でした。この環境下での活動を通して、もともと持っていた医学的・リハビリテーションの知識をより深めるとともに、新たに工学的な知識・スキルも磨くことができたと感じています。
私個人の研究テーマは「運動と電気刺激を組み合わせた治療法に関する基礎研究」であり、留学期間を通して継続的に実験を実施しました。その結果、実験を無事に完遂し、国際学会での発表や国際誌への論文投稿につながる十分なデータを取得することができました。また、この研究活動を通して、自分自身の現在地も明確になったと感じています。研究者としての自分の強みは、継続性と、ハードワークであると感じた一方で、積極性の不足や、多様な視点を持った考察が課題であると実感しました。留学で得た貴重な経験を踏まえ、今後は研究者としてさらに成長していきたいと考えています。
生活面では、トロント中心部のシェアハウスで3人と共同生活を送っていました。近くにはアジアンスーパーが複数あり、馴染みのある調味料や日本食材も容易に手に入りました。また、多民族都市であるトロントには世界各国のレストランが立ち並んでおり、研究室メンバーとの食事会や週末のレストラン巡りを通して、多様な食文化に触れることができました。
ただ、冬の気候には苦労しました。日本(関東)では経験したことのない雪や厳しい寒さ(最低気温 -15℃)は大変でした。逆に、夏は湿度が低く最高気温25℃ほどであり、とても快適に過ごすことができました。トロントの文化や気候を経験したことは、すべて良い思い出として心に残っています。