2018.04.26
キヤノン株式会社
人事本部 人事統括センター
人材開発部長 狩野尚徳様
グローバル要員管理部長 兼 採用部長 倉橋啓様
採用部 担当課長 山林美紀様
不退転の覚悟と実行力を持って、地球規模で活躍できる人材を目指す
改めまして、「トビタテ!留学JAPAN日本代表プログラム」への御支援をありがとうございます。御社では1950年代の早い時期から海外市場への進出を視野に事業を展開していらっしゃいます。1996年からは「グローバル優良企業グループ構想」のもとで戦略的にグローバル化を進められていますが、それぞれの段階で求める人材像も変化してきていますか?
狩野:キヤノンが海外展開を開始した1950年代は、カメラは高級品で国内の需要も限られていましたので、まずアメリカに市場を求めて進出し、その後ヨーロッパにも広げていきました。「キヤノンのカメラを広く世界に紹介したい」という強い思いで飛び込んでいったわけですが、当時赴任した社員たちは必ずしも語学に堪能だったわけではなく、不退転の覚悟と実行力を持った人たちが、半ば気合で海外市場を開拓してきました。
弊社は、早くから「国際人主義」を行動指針の中のひとつとして掲げています。日本人が海外に出て仕事をする上での心構えを示すもので、具体的には日本のことをよく理解した上で、それぞれ赴いた国や地域の歴史・文化を理解し、それを受容し、相互に利益のある関係を築けるような人材を目指してほしいというものです。
弊社の長期経営計画「グローバル優良企業グループ構想」は、現在フェーズⅣまで至っていますが、キヤノンが真のグローバルエクセレントカンパニーとなるためには、人材育成が重要との認識の下、すべてのフェーズにおいて、重要課題の一つに揚げられています。会社が求める人材像は、フェーズごとに変わるわけではなく、首尾一貫して「高い見識と広い視野を持ち、地球規模で活躍できるエクセレントパーソン」ということです。
(写真左から、山林様・狩野様・倉橋様)
留学で、”世の中”を学べ
トビタテの制度で留学してくる学生は、海外での生活を経験し、現地の情報を収集してくるわけですが、採用の際にそういった経験は考慮されますか?
狩野:留学をしたかどうかという事実よりも、どういうプロセスを踏んで何を得たかに注目します。「勇気を持って未知の世界に飛び込み、自ら何かを実行する」ということが重要であって、グローバル化の進展とともに、日々変化する社会や状況に対応していくためには、様々な知識の習得と同時に、多くの経験を積むことも重要です。そういった意味で、海外留学することは、異なる価値観や多様な文化・習慣に直接触れることもできるため、自分自身に磨きをかけるためには、非常によいことだと思います。
倉橋:当社では語学が得意というだけで採用することはありません。また、学生が海外で得た情報を求めて採用するわけでもなく、いかにその国に関心を持って世の中の仕組みを学んできたかという点を見ます。社会に対する関心の度合いが高く、興味の幅が広い学生は、後々、大きく能力を伸ばすことができます。
チームが困難に直面した時、あなたの人間力がみんなを救う
最近、決められたレールに乗っていないと不安で、思い切って一歩踏み出すことができない学生が多いように感じます。
倉橋:確かにそのような強迫観念を持っている学生が多いという話はよく聞きます。TOEICの得点や資格を取ることばかりに集中している学生も見られます。大学でもキャリアを意識したスキルを身につけさせることに力を入れています。スキルも大事ですが、もっと重要なのが人間力です。文系だけでなく理系の人材でも、いちばん大切なのはコミュニケーション能力だと考えています。例えば製品開発の場面でも、人を巻き込み、困難に直面してもチームを盛り上げて成果を挙げるには、優れたコミュニケーション力が不可欠なのです。多様な経験をすることにより、コミュニケーション能力や人間力が高まるのであれば、留学も非常に有効だと思います。
最後に、学生へのメッセージをお願いします。
山林:明確な目的と信念を持って留学をした経験は、必ずその人の力になります。留学を通じて語学力だけでなく柔軟な思考力とコミュニケーション力を備えた方は、社会に出て十分に活躍しうる人材だと思います。みなさんのチャレンジを、企業としても積極的に支援していきたいと考えています。
注目のグローバル関連制度
技術者海外留学制度:
研究開発を中心として、グローバルに活躍できる人材を育成することを目的とした制度。常時20人くらいの社員を海外の大学や研究所に派遣することを目指しており、これまでに約90人がこの制度の下で海外に赴任。
海外トレーニー制度:
入社5年目前後の若い社員が主に選抜され、派遣される。1年~1年半の短期間の海外派遣で、語学力の習得と当該国のビジネス慣習などを学ぶことが主な目的。将来的な海外勤務候補生を育成することも視野に入れており、欧米に加え、中国、タイ、インドなど新興国へも派遣
全ニュース一覧へ >