2019.02.19
就職活動を行う中で自分の中に違和感を抱き、留学に挑戦することを決意した松永圭世さん。「リカレント教育」をテーマに渡ったアメリカ・デンマーク・スウェーデンで学んだこととは...
就活をやめ、留学に挑戦することを決意
大学3年生、就活をしながら、どこか引っかかっているものがずっとありました。本当に今就活でいいのか、後悔しないのか。就活はいつでもできる、でも留学はどんどんハードルが上がっていく。悩みに悩んで、決まりかけていた就職をやめて留学を決意した3年の冬。遅すぎる決断で、ほとんどの奨学金制度は締切を過ぎていました。そんな中、私を救ってくれたのがトビタテ!留学JAPANでした。変わり者と思われるかもしれませんが、私は勉強が好きです。新しい知識を得て、点と点がつながる瞬間が好きです。でも、日本では一度就職したら学校に戻ることは容易くなく、学問との境界は年々深まってしまう現実があります。そうでない国はないのか、もっと学問と社会の知の循環が行われているような事例はないのか。そうして大人の学び直し「リカレント教育」に思い至り、留学を決意しました。
留学先はアメリカとデンマーク、スウェーデン。アメリカでは「コミュニティカレッジ」という短大のような学校で、多世代の学び合いと、学び直しの現状について調査しました。そして、北欧のデンマークとスウェーデンでは「フォルケホイスコーレ」(FS)という長期の林間学校のような場所で若者のキャリア選択について調査しました。
北欧と米国の現場で見出した、「学ぶ」の新しい意味
まず米国シアトルのコミュニティカレッジで約6ヶ月を過ごしました。幼児教育という教育の入口から、ビジネスの出口までを学びながら、深い理解のためには社会状況や宗教といった背景が大切だと考えて、校外での活動にも参加しました。商工会の朝食会、女性起業家の食事会、クリスマスのボランティア、キリスト教やユダヤ教の礼拝などの場にも足を運びました。その中で「なぜ、米国では学び直しが盛んなのか」という問いが生まれたのです。その背景には多様な人々が共生する環境にあるのではないか、と。日本人は学習指導要領に則った教育を受けており、一言で言えば均質的です。ところが、米国には様々な国から多様な背景を持つ人々が集まっており、一律のものさしで能力を見ることが難しい。そのため、学校での単位取得や資格取得が昇格の条件となっていることも多いそうです。
その後は約3週間を北欧で過ごしました。まずはデンマークで、最古のFSと日本人の方が立ち上げたFSも見学し、その後スウェーデンでもFSに訪れました。デンマークでは基本的に学費は無料ですが、FSは有料です。また、学位がもらえるわけでも資格が取れるわけでもありません。それでもなぜ他の選択肢もある中でお金と時間をそこに費やすのか。その謎を解き明かすカギは、先生たちの「職業ではなく人生を選んだ」と言う言葉にありました。生徒に寄り添い、彼ら彼女らは何者なのか、何がしたいのかを探すことに寄り添うことが自分たちの仕事であり生き方なんだと。実際、学生の多くは、「何がしたいか、自分の得意不得意は何なのか分からない、だから来た」と言うのです。目的があったほうが学びは促進されるといいます。でも、目的のない学び、偶発的に内面からうまれる学習欲や好奇心に従う学びも同じくらい大切なものなのです。資格も取れず、お金もかかるのになぜ?その疑問自体が無意味だったのだと気づかされました。
「あたりまえ」の枠を超えるトビタテ生
はじめは自分で留学プランを組み立てられるという点に魅力を感じて応募したトビタテ!留学JAPANでしたが、その魅力はあくまで氷山の一角でした。日本から飛び立って世界に出た時、地元から飛び立って東京に出た時、トビタテを通して知り合った仲間たち、大人たちに多くの場面で支えられました。「あたりまえ」と言われる枠を越えて挑戦する人が集まるトビタテ生。それまで確からしい正解を探しつづけていた私にとって、ありのままの自分でいられる場所がどれだけ心強かったことか。同じように未来への希望と不安を抱える後輩たちにも、トビタテ生として世界へ挑戦していってほしいと節に願います。ぜひ若者の夢に、日本の将来にお力を貸していただけませんか。
ご支援者向け留学体験談~世界に羽ばたく若き挑戦者たち~について
この記事はトビタテ!留学JAPAN事務局が企画・編集を行なったものです。今後もトビタテ!留学JAPAN日本代表プログラムに選抜され、世界を舞台に活躍する奨学生をご紹介してまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
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