留学大図鑑 留学大図鑑

ひがぽん

出身・在学高校:
神奈川県立横浜国際高等学校
出身・在学校:
筑波大学
出身・在学学部学科:
教育学類
在籍企業・組織:

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最終更新日:2019年10月09日 初回執筆日:2019年10月09日

「外国語を学ぶ価値」の再考と探求

留学テーマ・分野:
専門留学(スポーツ、芸術、調理、技術等)
留学先(所属・専攻 / 国 / 都市):
  • リュブリャナ大学文学部アジア研究科
  • スロベニア
  • リュブリャナ
留学期間:
10ヵ月
総費用:
1,500,000円 ・ 奨学金あり
  • トビタテ!留学JAPAN「日本代表/新・日本代表プログラム」 1,450,000円
  • スロベニア政府奨学金 400,000円

語学力:

言語 留学前 留学後
英語 専門的な研究や会議において、議論や調整ができるレベル<TOEIC 960,TOEFL 100> 専門的な研究や会議において、議論や調整ができるレベル<TOEIC 960, TOEFL 100>

留学内容

[留学のテーマ]: 「外国語教育の価値」再考と探求
「学校で英語を学んでも,ちっとも使えるようにならない。これだから学校の英語教育はだめだ」
この言説に裏付けられるように,一般的には,語学学習のゴール=それが使えるようになること,という認識があるようです。しかし,「使えるようになる」というスキルの側面以外にも,もっといろんな価値を外国語教育はもたらしてくれるのではないか,と考えています。その「もっといろんな価値」の部分を探求し,「使えるようになる」至上主義の現状を再考することをテーマに留学しました。
[留学内容]:
必ずしも「使えるようになる」ことを至上命題として語学学習を行っているわけではない場に教師として留学し,学習者と交流し,どんな価値があるのかを体感するーこれが上記の目的を達成するのに最も良い方法だと思いました。そこで,「ヨーロッパの日本語教育」をフィールドとして選択し,主にスロベニアのリュブリャナ大学にて日本語教師をしていました。理由は,ヨーロッパで日本語を勉強している人の中で,実用的・経済的な動機を主要な目的としている学習者が少ないため,「もっといろんな価値」の部分にたくさん触れることができると思ったからです。

留学の動機

「外国語を学ぶ価値って,それが使えるようになることだけなのか?」
中学生になり英語の勉強を始めてから,常にそのような疑問が頭に付きまとってました。
大学に入り外国語の教育に関して専門的に研究していく中で,「研究者としてだけではなく,教師としても外国語を学ぶ価値について再考してみたい」と思うようになり,今回の留学に至りました。

成果

ヨーロッパで日本語を勉強している人に,「どうして日本語を勉強してるんですか?」と質問すると,8割方(※私の肌感)「アニメ,マンガの影響」を理由の一つにあげます。しかし,その他にも,「日本語の音が好きだから」や,「伝統芸能にあこがれて」など,様々なきっかけや理由で日本語を勉強している人に数多く出会いました。必ずしも実用的・経済的な動機・目的に回収されない,多様なことばの学び方があることを知れました。

ついた力

工夫する力

授業をなるべく楽しく,学びが最大限効果的になるように,授業で使う教材や,授業の進め方,話し方などを工夫する力が格段に伸びました。
毎日同じような授業の繰り返しの中で,ちょっと楽しい要素があったりすると,ただ座って授業を聞いているよりは楽しく学ぶことができます。そのうえで,どうしたら効果的に学びを促進できるか,ということを日々考え実践していました。

今後の展望

留学テーマの性質的に,短期間で目に見える成果が出るようなものではありませんでした。だからこそ,もっと長いスパンで見て,この分野に携わり続けたいと思っています。「もっといろんな価値を外国語学習に」をテーマに,研究者としても,実践者(教師)としても,いろんな価値を示しもたらし実践し続けていきたいと思っています。

留学スケジュール

2018年
10月~
2019年
7月

スロベニア(リュブリャナ)

主に3つの機関で日本語や日本文化を教えていました。
1.リュブリャナ大学文学部アジア研究科
2.日本語学習センター「元気センター」
3.市内の小学校
1では,週4~5コマ程度,授業を担当していました。1年生向けの文法,会話,2年生向けのライティング(こちらはTAとして参加),3年生向けの文法,漢字の授業です。大学のカリキュラムに沿って,授業を行いました。
2では,日本語を勉強している様々な年齢(下は高校生,上は社会人),様々なレベルの学習者を対象に,日本文化を教えていました。すでに基本的な背景知識のある学習者ばかりだったので,「日本の卒業式文化」「天皇制と平成史」など,日本の言語・文化・社会に関してやや専門的な授業を行いました。
3では,小学校3~9年生(日本の小学校3年生~中学校3年生に相当)を対象に,日本語・日本文化のワークショップを実施しました。

費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

50,000 円

項目:学会参加のための交通費,その他研究や教材費

400,000 円

「元気センター」での授業の様子
小学校でのワークショップの様子
費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

50,000 円

項目:学会参加のための交通費,その他研究や教材費

400,000 円

スペシャルエピソード

感謝してもしきれない、お世話になった・大好きな人

言わずもがな,学生たちです。
特に,自分を外国人として,日本人として,教師としてではなく,ひとりの友達として接してくれた学生たちには,大きく救われました。
「日本人ネイティブ教師」という(一応の)肩書があると,学生のほうはやはり教師ー学生としての距離感,ネイティブー学習者の距離感を保ちながら,初めのほうは私に接していました(私たちが高校などでALTの先生にどう接していたかを想像すれば,わかりやすいと思います)。
しかし,何回か飲みに行って仲良くなり,ひとりの「友達」として接し始めると,授業に関して率直に意見を言ってくれたり,教師ー学生という関係性では有り得なかったような深い話ができたりと,留学生活がとても豊かなものになりました。
ただ,大体人生相談とかの深い話をするときは日本語ではなく英語でしていたので,学生にとってはあまりよくなかったかもしれませんが(笑),かけがえのない友達を持てたと思っています。(いまでは,「あなたとは(英語で話すのに慣れすぎて)日本語で話せない」と言われてしまっています。これに関しては日本語教師失格です(笑))

学生たちに飲み会に引きずりだされた時の写真

留学前後での、自分の変化

キャリア観が大きく変わりました。
留学前は,キャリア上の成功のために合理的なことだけを選択して生きる,みたいな生活をしていました。案の定,友達もできず,文字通り寝食を惜しんでまで勉強したり仕事したりというような生活をしていました。
しかし,留学中に,ヨーロッパ中のいろんな学生に会う中で,特に人生の勝ち負けとかを気にせず人生を楽しんでいるような人にたくさん出会いました。明日試験があってもパーティー。働きたくないから10年以上大学に居続ける。夜は勉強仕事せず飲んで楽しく過ごす。そういう,キャリア上の成功にとっては一見非合理的なことであっても,そこでできた友達が後々自分の人生にとって重要な意味を持ったりすることもあるし,そもそも「成功」だけが至上命題ではない,ということに気付けました。
帰国後は,あまり無理せずに,「楽しいかどうか」「この後死んでも後悔しないかどうか」ということをひとつの基準として生活しています。

留学中にやってしまった、私の失敗談

大学で担当していたある授業では,毎週小テストを実施していて,その作成と採点も担当していました。
ある小テストで,内容を難しくしすぎて,平均点が50点満点中19点という,衝撃的な難しさにしてしまいました(ふつうは大体35±5点くらいが平均点)。
先生方は「まあそういうこともあるよね(笑)」的な感じで流してくれたんですが,学生のほうはプンプンで,信用?を取り戻すのに大変でした(笑)
その時までには,学生と飲みに行くくらい仲良くなっていたので,学生のほうも冗談にして笑ったりしてましたが,テストがあるたびに学生から恐れられていました…

ルームメイトとのトラブル

  • 住まい探し : 学生寮

ヨーロッパや北米では,学生寮にシングルルームがないことが珍しくないという話をよく聞きます。私が留学したスロベニアも例外ではありませんでした。
ルームメイトとのトラブルがあると,特に精神的なストレスが大きな問題になります。もし合わないなと思った場合や,何かトラブルがあった場合は,【遠慮せず】【すぐに】本人に直接言うなり,友達に相談するなり,寮の管理人に相談するなりしましょう。
誰がルームメイトになるかは自分がコントロールできないしょうがないことなので,何かあった場合は,できる限りのことをすることをお勧めします。
私も実際,ルームメイトの喫煙トラブルで1度部屋を変えています。部屋を変えた後のルームメイトもヘビースモーカーで,何度も注意したにもかかわらず部屋の中での喫煙をやめなかったため,管理人に相談し寮を出て行ってもらいました(私の寮は全面禁煙だったため,これが可能でした)。
入寮するときには,寮の規則をしっかり確認しましょう(自分がトラブルメーカーにならないためにも)。

奨学金が取れないと留学に行けない方へ

  • 費用 : 費用準備

私はありがたいことに,計3つの奨学金に合格し留学を実現することができました(どれか1つでも欠けていたら,留学することができませんでした)。
0からすべて自分でお金を準備しないといけない方へのアドバイスです。
まず,留学先国の政府などが出してる奨学金情報をしっかり調べましょう。https://ryugaku-shogakukin.jasso.go.jp/scholarship_abroad/page?action=swfglsearchjasso←このページで検索できます。
所属大学が独自で奨学金を出してることもあるので,大学のHPで調べたり担当者に問い合わせたりするのがいいです。
また,民間の奨学金は意外と穴場だったりするので,しっかり調べておきましょう。トビタテ以外にも利用できる奨学金が,多くはないですがあります(例えば経団連の奨学金など)。
奨学金は,応募時期や準備書類の関係で,綿密な準備が必要なので,【留学することを考え始めたのと同時に】奨学金に関して調べておくことをお勧めします。

留学前にやっておけばよかったこと

留学のテーマに関連する分野の勉強や,現地語の勉強はできるだけしておくことに越したことはありません。
でも,留学に行ってから「もっとやっとけばよかった~」と99.9%思うと思うので,できる限りのことはしておく,くらいの心持ちでいいとおもいます。

これから留学へ行く人へのメッセージ

思う存分,失敗してきてください。
失敗した瞬間だけ切り取ってみると,かなりつらかったり恥ずかしかったりするかもしれません。しかし,限られた留学期間の中で,その時間をなあなあに過ごすのではなく,チャレンジをたくさんしていってほしいです。