留学内容
セネガルでは、食の簡便化の観点から、比較的調理が容易なコメ食が急速に進展しています。しかし、急増するコメ消費の大部分は輸入によって賄われており、国際市場におけるコメ価格が高騰した2008年には、コメの供給不足が深刻化しました。
そのため、国産米の生産強化ならびに消費拡大により自給率を向上させ、食料安全保障を強化する取り組みが急務となっています。
そこで筆者は、セネガルのコメ生産地に近い都市(サン・ルイ市)に滞在し、アフリカ稲センターでのインターンシップ制度を活用して、コメの消費者選好調査や稲作農家の生産及び営農調査を実施し、その調査結果をもとに自給率向上の可能性について評価することを試みました。
現地滞在中には、2019年9月・10月に消費者選好調査、2020年1月から2020年8月にかけて農家調査を実施しました。その結果、消費者は国産米の品質を問題視しており、比較的品質の高い輸入米を好んで消費していることが分かりました。その一方で、消費者には国産志向が根強く定着しており、仮に品質が輸入米と同程度になった場合には、輸入米よりも高い金額を支払ってでも国産米を購入する意思が把握されました。
また、高品質な国産米の生産には、コメ農家の努力だけでなく、精米業者や輸送業者の技術向上も必要不可欠であり、コメのバリューチェーン全体の整備の必要性が農家調査より評価されました。