東ティモール(ディリ)
第一回カンタ!ティモールの上映会は8月11日に実施しました。この日はエゴの家族とエゴがリーダーを務める団体のpermatilのスタッフ数名合計15名と一緒に映画を観ました。ここでは3人から感想をもらうことが出来ました。1人目はpermatilのスタッフからです。彼はこの映画で初めて日本がインドネシアを支援したことを知って、悲しい気持ちにはなったけれど、日本は東ティモールの再建にも協力してくれたという事実もあるので、これからも共存していくべきと言ってくださいました。また、エゴの妻のヤンティさんはこの映画をもっとたくさんの東ティモールの人に見てもらいたいと言ってくれました。今の東ティモールは昔のことを振り返る機会が少なくなっているから、この映画をきっかけにこれからの世界を考えるようにしたいと言っていました。また、映画で、辛いシーンが多い中、子どもたちの笑顔がせめてもの救いだった、子供達も生活は厳しいのに、笑顔でいるとすごく希望を感じると言っていました。この映画はたまたま向こうで会ったJICAの日本人の方数名にも見てもらいました。そのうちの1人は子供の笑顔と歌声が1番印象に残っていて、こういう笑いの絶えない世界が東ティモールのこれからの在り方だったり、世界の姿に繋がっていくといいなと言っていました。でも日本の場合、こどもが同じように大声で騒いで笑うと問題になります。この映画を見てそれはおかしいことなんだと気づけたと言っていました。日本も東ティモールのような子供がどれだけ騒いでも怒らないそんなあかり国になって欲しいと思いました。
2回目の上映会はその次の日に行ったマリアナというヤンティさんの実家の村で行いました。ヤンティさんが1回目の上映会でもっとたくさんの人にこの映画を見てもらいたいと言ってくれ、マリアナの方に毎日夜になるとパーティーをする広場があるので、そのタイミングで映画の上映会ができることになりました。ここは合計で100人くらいの人がいました。しかし、ちゃんと見ていた人はそのうちの半分もいなかったと思います。その理由としてスマートフォンの普及があると思います。今回東ティモールについた時、私は映画の中の東ティモールとのギャップにとても驚きました。観光客が増えて、1人一台スマホを持ち、大きいショッピングモールができて、街はゴミで溢れていました。東ティモールだけは映画の中のような時間の流れを気にすることもなく、利益も気にしない、そんな国でいて欲しいという勝手な思いがありました。なので私は変わった姿の東ティモールを見て、遂に東ティモールも発展する道へと進んでいっているのかとショックを受けました。しかし、東ティモールで2週間暮らしていく中で、やっぱり、トイレとかシャワーはもっと使いやすくなればいいのになと思ったり、発展してほしくない気持ちと発展して欲しい気持ちがありました。しかし、上映会の時ほとんどの人がスマホを使っていて、映画を見てないのを見て、身勝手ながらすごく悲しくなりました。なのでこの2回目での上映会では、発展することのメリット、デメリットについて深く考えることができました。
3回目の上映会は映画の主人公のアレックスの家族の家でみんなで見ました。アレックスは残念ながら数年前に独立戦争の時の拷問の後遺症で亡くなってしまいました。なのでアレックスの家族は妻のサンドラと子供たちの計7人で暮らしています。行く前は、すごく可哀想だなと思っていたのですが、実際に行ってみると周りは親戚だらけでみんなで助け合いながら暮らしていてちっとも可哀想なんかじゃありませんでした。長女のエイシャは私と同じ歳で、来年から大学生です。彼女は医学部に通いたいそうなのですが、医学部に通うにはとてもお金がかかるため、入れそうにはないそうです。東ティモールに行く前に上映会を日本でやった時に同世代の高校生たちから募金で集めたお金のうち日本円で一万円ほどをアレックスの家族に寄付しました。わずかなお金ですが、少しでも助けになればと思いました。
3箇所での上映会を通じて、東ティモールでの独立戦争はみんなにとって過去の話になりつつあり、記憶が薄れているように感じましたが、日本から来た私がこの映画の上映会をしたことによって東ティモールの人達と平和について考えるいい機会になったのではと思います。
次にエゴへのインタビューについて紹介します。
彼の活動は大きく3つに分けることが出来ます。一つ目は水を植え、コミュニティを育てるという活動です。この活動は簡単に言うと水を循環して使うということです。今まで枯渇していた水源を修復したり、水が不足している地域には溜池を作ったりして、今までの段階で300以上の水田を回復し、同時に400以上の村を助けています。
二つ目の活動は小学校での家庭菜園です。学校の庭で季節に合わせた食物を育てることでその生徒及び家族の生活を支えています。全部で254の学校がこの活動を導入していています。この活動は東ティモール教育省に認められ、現在では国のカリキュラムに組み込まれているそうです。
3つ目の活動はこれらの活動を将来につなげる活動です。キャンプを開催し、若い人をこれからの主導者として育てる活動です。2008年から活動を始め、今の時点で東ティモール内の6000人以上の若者がエゴの活動に対して、理解を示し、活動をしています。現在、多くの若者のリーダーが台頭し、新しいパーマユース・アソシエーションを結成しています。今年には、世界中から若者の代表が集まる国際パーマユース・コンバージェンスを開催し、このプログラムを世界中に展開させる予定だそうです。
エゴは昨年アジアのノーベル賞と言われているマグサイサイ賞を受賞し国際的に彼らの活動が認められ、仲間が増えていっています。
彼へインタビューをして、私が予想していたより規模が大きくて本当に驚きました。彼がそもそもこの活動を始めたのは、これからの世界、いつか資源がなくなり、自給自足をせざるを得なくった時、これらの活動が絶対に必要になると考えたからです。私がその意図を知った時、素直に未来のことを考えて対策をしていることに驚きました。私は今までそんな未来のことを考えたことがなかったからです。彼はカンタ!ティモールの中にも登場するのですが、そこで今の世の中を変えるつもりが無いなら、子供は産まず、自分たちの世代で終わらせるべきだと言っていました。インタビューの話も踏まえ、エゴの活動はこれからも続けていくべきだなと思いました。