留学大図鑑 留学大図鑑

広瀬由子

出身・在学高校:
女子美術大学付属高等学校
出身・在学校:
出身・在学学部学科:
在籍企業・組織:


最終更新日:2018年03月12日 初回執筆日:2018年03月12日

アメリカにおける日本美術展示を考える

留学テーマ・分野:
短期留学(3か月以内、語学・ボランティアなど各種研修含む)・専門留学(スポーツ、芸術、調理、技術等)
留学先(所属・専攻 / 国 / 都市):
  • ボストン大学芸術学部高校生向け夏季プログラム(Boston University Visual Arts Summer Institute) とボストン大学全学部主催高校生向け夏季プログラム(Boston University Summer Challenge Program)
  • アメリカ合衆国
  • ボストン
留学期間:
6週間
総費用:
- 円 ・ 奨学金あり
  • トビタテ!留学JAPAN「日本代表/新・日本代表プログラム」  - 円

語学力:

言語 留学前 留学後
英語 授業や会議の内容が理解でき、必要な発言ができるレベル<英検2級> 専門的な研究や会議において、議論や調整ができるレベル<英検準1級、TOEFL64点>

留学内容

高校2年生の夏、6月の終わりから8月の始めにかけて、ボストン大学芸術学部の高校生プログラムで美術の授業を、その後、ボストン大学全学部による高校生向けプログラムで、美術とコミュニケーションの2つの授業を受けた。そして、授業外の時間にボストン大学の芸術学部の先生のご協力のもと、ボストン美術館で学芸員の方と交渉し、日本美術展示室内で、来館者34人に日本美術展示の手法についてのアンケート調査を行った。

留学の動機

中学3年生のころ、「作品がつくられた当時と同じ環境で現代の美術館でも展示するべきだ」と思うようになり、日本の美術館よりも海外の美術館の方が、作品を当時を再現した空間で展示していることに気づいた。アメリカでも屈指の日本美術コレクションを持つ、ボストン美術館では、仏像を法隆寺を再現した空間があることを知り、来館者が蝋燭の明かりを模した展示についてどう思うのかについて調べてみたいと思った。

成果

3度目の交渉で、美術館の学芸員の方から少人数であれば、展示室の中でアンケート調査をしてもよいという異例の許可を頂いた。結果、34人の来館者に対してアンケート調査を行い、約8割が蝋燭の明かりによる日本画展示に賛成した。これらの結果をまとめ、第20回調べる学習コンクールに応募し、文部科学大臣賞を受賞、また中国、上海で行われたアジアライティングカンファレンスでは高校生初となるポスター発表を行った。

ついた力

自分で課題を発見し、解決し、発表する力

日本の美術館に作品と同じ環境を再現した展示が少ないことに気づき、視野を世界に広げて、ボストンに短期留学するという道を選ぶことが出来たこと、また多くの先生方、学芸員の方とのご協力のもと自分でアンケート調査を成功したこと、そして日本のコンクールにとどまらず、国際的な学会の場で自分のアンケート調査を発表し、結果を実績として残せたことから、自分で課題を発見し、解決し、発表する力をつけることが出来た。

今後の展望

ボストンの色々な美術館で日本美術がどのように展示されているのかを見ると、いくつかの美術館では屏風を額縁に入れ平面的に展示したり、生け花が洋風にアメリカの感性で展示されていたりなど、日本の伝統文化の「日本らしさ」が正確に伝えられてないのではと思った。将来は海外で活躍できる展示プランナーとなって、海外の美術館にいながら、日本にいるかのように錯覚させるような展示を発信していきたい。

留学スケジュール

2016年
6月~
2016年
8月

アメリカ合衆国(ボストン)

6月26日から7月22日まで、ボストン大学芸術学部主催の高校生プログラムに参加しました。このプログラムのなかで4週間、絵を描く技術、彫刻などのクラスや、ボストン美術館の鑑賞ワークショップに参加する授業を受けました。その後7月24日から8月5日まで、同じくボストン大学の全学部向け高校生向けプログラムに参加し、美術の授業とコミュニケーションの授業を受けました。このプログラム中にボストン美術館で3度にわたって、ボストン大学芸術学部の先生と学芸員の方々と交渉、打ち合わせを行い、アンケート調査を実施しました。

費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

同じボストン大学芸術学部のプログラムを受けていた友人たちと。
自分のスタジオで先生からアドバイスをもらっているとき。
ボストン美術館でのアンケート調査を終えて。
費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

スペシャルエピソード

留学から繋がるストーリー “今、これやってます”

2017年10月自己推薦入試を利用し、筑波大学の人文・文化学群比較文化学類に合格した。同じ10月に学芸員の方のご協力のもと、友人と共に長野県の「日本のあかり博物館」にて、浮世絵を蝋燭を模した照明で鑑賞する「むかしのあかりでみる浮世絵」を開催。台風にもかかわらず幅広い年代層の36人の来館者から「蝋燭による日本画展示」に7割の支持を得た。この結果を2018年3月6日から開催される、照明学会主催のLUXPACIFICAでポスター発表で発表した。日本でもアメリカでも、当時の空間を再現した展示空間が来館者から求められていることが、今回のワークショップで立証されたと思う。

友人が作ってくれたワークショップのポスター。
ろうそくを再現した明るさで鑑賞する参加者。
ワークショップで来館者に友人が説明をしている場面。

留学で確信した、“私はこれを目指す!”

2017年8月に中国上海の同済大学で行われた、Asia Lighting Conferenceで、ボストン美術館で実施したアンケート調査結果をポスターで報告した。初めての学会参加で、英語を使ったプレゼンテーションをすることになり、緊張したが落ち着いて話すことが出来た。日本・中国・韓国の照明学会の方々や、カナダやインドの照明の専門家に美術館の照明の提案ができた。特に中国の参加者からは、文化圏が似ているので、蝋燭による日本画展示に対して肯定的な意見を得ることが出来た。日本にとどまらず、世界に向けて自分の意見を発表することの大切さを学んだ。筑波大学に進学してからも、世界にむけて自分の意見を発信するようにしたい。

中国の学生に自分の研究成果をポスターで説明した。
自分のポスターの前でプレゼンする様子。

留学から繋がるストーリー “今、これやってます”

2018年3月6日から8日まで東海大学高輪キャンパスで行われたLUX PACIFICA(環太平洋照明会議)に参加し、友人と実施した日本のあかり博物館でのワークショップでの結果をポスター発表で報告した。日本だけでなく、環太平洋地域の国々の照明の専門家の声を聴き、より客観的に自分たちのワークショップを振り返る機会になったと思う。アンケート調査方法についてや、実験の詳細な設定についての課題を発見することができた。筑波大学でも日本文化と海外の文化の比較を照明の側面から研究活動を続け、日本のあかりの伝統文化を海外に発信し、また国内でその価値観を継承していくにはどうすればいいかを考えていきたいと思った。

LUX PACIFICAで発表したポスター。
LUX PACIFICAでのポスター発表の様子。
いろいろな国の大学教授の話を伺うことができた。

ボストン大学のカフェテリアで生まれた茶の湯の絆!

  • 住まい探し : 学生寮

トビタテ生として、留学中やらなければいけない「日本文化を発信する」というタスク。茶道部の私は御茶会を友人たちに開きたいと思っていたのですが、準備から実施まで一人で出来るか不安でした。そこで偶然学生寮の2つとなりの部屋に同じプログラムに参加していたトビタテ生の子がいたので、彼女と一緒に協力して学生寮のカフェテリアで食事中の学生の皆さんに抹茶を振る舞いました。学生からは突然の抹茶のサプライズに「これ無料なの!」という当然の反応や「本当の抹茶ってこんなに苦いものなんだ!でも美味しい」という声を頂き、楽しかったです。お茶の飲み方を覚えたアメリカ人の友人が他の子に飲み方を教えていて、茶道のチカラを感じました。

食堂からお湯を借りて抹茶を点てました!

留学前にやっておけばよかったこと

特に後悔はありません!

留学を勧める・勧めない理由

留学を高校2年生の夏にしたことで、進路の視野が広がり、自分が将来やりたいことが明確になりました!トビタテが無かったら、今の私はありませんでした。

これから留学へ行く人へのメッセージ

英語のスキルを磨きたいという理由で行く語学留学とは違い、「〇〇をしたいから留学をする!」という自分の専門分野を研究する留学の方が、英語も学べる上に自分の専門分野の知識もグローバルに習得できると思います!頑張ってください!