留学内容
日本では、新しい医療材料の基礎研究を行っています。簡単に言えば、薬を必要なだけ必要な時に、患部だけにのみ運ぶためのナノ・マイクロサイズのカプセルを操ろう、というドラッグデリバリーシステム分野の研究です。実は、私たちの体の中には必要な時に特定のタンパク質や分子を細胞内や細胞間で運ぶための精密なシステムが隠れています。しかし、そのシステムは複雑で未解明な部分がほとんどです。私は、生体内の仕組みを学ぶことで、何か工学的な研究に役立てられないか、アイディアを盗めないか、と考え、思いきって「新しい技術を構築しよう」という工学的分野から、「生体内の現象を解明しよう」という理学的分野に飛び込んできました。
正直、留学初期は基礎の基礎からのスタートで面白くないなと思うこともありましたが、理解が進むと、結局、研究にのめり込みました。他の研究分野の人となって前の研究分野を眺めてみるというのは、とても新鮮です。そして、帰国後また元の研究に立ち返るのも面白いです。