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おかもと

出身・在学高校:
東海高校
出身・在学校:
名古屋大学
出身・在学学部学科:
医学部医学科
在籍企業・組織:


最終更新日:2020年07月15日 初回執筆日:2020年07月15日

アメリカ臨床留学

留学テーマ・分野:
専門留学(スポーツ、芸術、調理、技術等)
留学先(所属・専攻 / 国 / 都市):
  • ジョンズホプキンス大学医学部附属病院
  • アメリカ合衆国
  • ボルチモア
留学期間:
9週間
総費用:
1,350,000円 ・ 奨学金あり
  • トビタテ!留学JAPAN「日本代表/新・日本代表プログラム」 670,000円

語学力:

言語 留学前 留学後
英語 授業や会議の内容が理解でき、必要な発言ができるレベル<TOEFL-iBT 100, IELTS 7.5> 専門的な研究や会議において、議論や調整ができるレベル

留学内容

Johns Hopkins Hospitalの腫瘍内科で4週間半、内分泌内科で4週間半の合計9週間臨床実習した。また、その後Harvard Universityの系列病院であるMassachusetts Eye and Ear Infirmaryでobserverとして3週間眼科を見学した。

留学の動機

自分の大学の臨床実習中、アメリカでは承認されている一方、日本で未承認の薬剤について学ぶ機会があり、抗癌剤についてアメリカで勉強したいと思うようになった。ジョンズホプキンス大学は2017年-18年の病院ランキングで全米3位という成績を収めており、腫瘍内科にはアメリカ国内だけでなく世界中から骨髄移植の専門家が来るという、学生にとって非常に恵まれた環境であり、留学を決めた。

成果

留学中にアメリカと日本の様々な違いを理解し、自分の中で客観的に比較することができた。
例えば、アメリカでは各職業の分業が進められていた。ナースプラクティショナーという資格が存在し、医師免許は持っていないものの、骨髄生検などの手技を行っていた。医師の仕事は、患者さんの診察を行い、情報を把握して処置や検査のオーダー、指示を行うことであり、実際のライン確保や薬剤投与は看護師によって行われていた。

ついた力

尽くす力

自分の医学的知識不足を補うため、毎日の外来診察の前日には患者さん全員のカルテをチェックしてどのような疾患、経緯の患者さんなのかを予習した。また、アメリカのシステムについて様々な質問をし、日本とアメリカの違いについて様々なことを学ぶ努力をした。
自分の実力不足を受け入れながらも、常に最善の努力をすることでいろいろなことが見えてくると思う。

今後の展望

留学に行く前はアメリカのほうが進んでいるイメージがあったが、実際に行ってみると日本の医療のレベルの高さや、日本人の勤勉さ、モラルの高さを実感し、日本人として生まれ、日本の教育を受けて育った自分に誇りを持てるようになった。将来的には、自分の専門分野の臨床や研究をやっていく以外に、日本のシステムの短所の改善や、日本の医療の長所を世界に発信していく仕事ができればいいなと思うようになった。

留学スケジュール

2018年
4月~
2018年
5月

アメリカ合衆国(ボルチモア)

腫瘍内科の実習は病棟中心で、常時約二人の患者さんを担当し、毎日データやカルテをチェックして患者さんを診察し、総回診でのプレゼンを行った。腫瘍内科は壮絶な病棟で、非常に重篤な状態の患者さんが多くいた。内分泌内科の外来では、attendingの本診察の前に患者さんの問診と身体診察を行い、カルテ記載を行い、attendingと患者さんの前でプレゼンを行った。初診の患者さんの診察は、送られてきたfaxの重要な情報を判断し、時系列順にまとめ、患者さんの話と総合して身体所見とともにカルテに記載した。毎日私を担当してくれているattendingの外来に来る患者さんのカルテを全員分チェックしてどのような疾患、経緯の患者さんなのかを予習した。

費用詳細

学費:納入総額

450,000 円

住居費:月額

170,000 円

生活費:月額

- 円

内分泌内科のフェローと
費用詳細

学費:納入総額

450,000 円

住居費:月額

170,000 円

生活費:月額

- 円

スペシャルエピソード

ココでしか得られなかった、貴重な学び

留学中、様々な患者さんを診た。
進行食道癌に化学療法をおこなっていた患者さんで、シスプラチンによる強烈な吐き気が生じ、一晩に20〜30回吐く人がいた。
PD1阻害薬のPembrolizumabによる副作用で慢性膵炎を生じた別の患者さんは、opioid系鎮痛薬の効きが悪くなり、10段階中10の強烈な痛みが何日も続いていた。
自分の無力さを感じ、患者さんの症状、訴えを正確に把握できるように患者さんとしっかり会話した。現地の医者の悪いニュースの伝え方を間近に見ることで、重篤な状態の患者さんに対する話し方を学んだ。
また、residencyやfellowshipと呼ばれる医師教育プログラムについて現地医師や学生から話を聞いた。各プログラムには同じ病院の同じ科でも異なる責任者がおり、プログラムの内容は第三者期間の定期的評価を受け、質が維持されるそうだ。また、residentやfellowが、必要な症例の種類と数を満たせるように、attendingが積極的に症例を経験させていた。日本では統一したプログラムがないため、後期研修の内容や質は病院によって差が出てしまうと感じた。

現地学生と実習中に

留学に必要な英語力

  • 語学力 : 英語

当然ですが、留学ではかなりのレベルの英語力が必要になります。日本にいるうちに少しでも自分の英語力を上げておいたほうが良いです。私の場合、スピーキングは、レアジョブというオンライン英会話で毎日練習しました。他にもDMM英会話なども評判が良いです。また、リスニングはNetflixやAmazonプライムで映画やドラマを英語で見るとよいと思います。日本の映画やアニメの英語吹き替え版も視聴できるので、良いリスニングの練習になります。
さらに、自分の専門分野の英語力をつけることが必要です。医学部の場合は、アメリカの医師国家試験であるUSMLEの問題集を解くのが非常に有効でした。参考書であるFirst Aid、問題集であるUWorld, Kaplan, Rxに加えて、Ankiと呼ばれるフラッシュカードを使った演習が効果的です。ただし、アメリカの医師国家試験と日本の医師国家試験では、同じ疾患でも問われるポイントが違います。アメリカの医師国家試験では結節性多発動脈炎のHBV感染合併例がよく出題されますが、日本の医師国家試験では出題されません。なぜなら、欧米と違って、日本の結節性動脈炎患者で、HBV感染例が報告されていないからです。このように、同じ疾患でも、国によって違いがあることに注意して勉強してください。そのため、USMLEの問題集は、日本の医師国家試験対策にも使えるイヤーノートも参照しながら勉強したほうが良いと思います。また、USMLE対策に入れ込みすぎて日本のマッチングや医師国家試験対策をおろそかにすると、それらに不合格になりかねませんので、注意してください。

これから留学へ行く人へのメッセージ

留学は本当に楽しく、一生の思い出になるイベントです。辛いこともありますが、それ以上に刺激的で楽しいことが多くあります。留学中は積極的に動いて、精一杯楽しんでください。
悩んだ時こそ、成長のチャンスです。頑張ってください。