留学大図鑑 留学大図鑑

コットン

出身・在学高校:
筑紫高等学校
出身・在学校:
九州工業大学
出身・在学学部学科:
人間知能システム工学専攻
在籍企業・組織:


最終更新日:2019年10月29日 初回執筆日:2019年10月29日

材料を駆使して人間の脳を作製

留学テーマ・分野:
大学院生:交換・研究留学(日本の大学院に在籍しながら現地大学院内で学ぶ留学)
留学先(所属・専攻 / 国 / 都市):
  • University of California, Los Angeles
  • アメリカ合衆国
  • ロサンゼルス
留学期間:
7か月
総費用:
- 円 ・ 奨学金なし

語学力:

言語 留学前 留学後
英語 生活に困らない程度の日常会話ができるレベル 授業や会議の内容が理解でき、必要な発言ができるレベル

留学内容

従来のスーパーコンピュータの性能向上に関して限界がきている。特に消費電力が20MWと莫大な数値であり、淡路島の全世帯分を賄う電力と同等である。それに対して、脳はスーパーコンピュータとほぼ同等の性能を持ち、消費電力が約20Wと非常に優れている。この脳をコンピュータとして開発すればよいが、アメリカでしか研究が行われていないため技術とそのノウハウを学ぶため留学に行くことを決意した。本留学では、従来のコンピュータとは異なる脳を模倣した新しいデバイス、いわゆる脳型デバイスの作製する研究を行ってきた。具体的には、脳機能の一つである記憶回路をデバイス上で実現し、最低一つ試作品を作ることを目標として設定した。

留学の動機

人間の脳を実際に作製するという研究は日本では全く行われておらず、実際に研究するのに困難な状況にあった。そこで、同等の研究を行っているグループを探したところ、アメリカのカリフォルニア大学ロサンゼルス校で盛んに行われていることが分かった。実際にどこまで研究が進んでいるのかということと、その研究のノウハウを学ぶために今回の留学を決意した。

成果

試作品の開発は成功し、脳の記憶回路と同等の動きをデバイス上で再現することができた。成果発表としては論文と学会発表で行う予定である。論文は現在執筆中であり投稿まではまだ時間がかかる。学会発表に関しては、秋に開催された国際学会で実際に発表を行った。その時の評判は上々であり、他の知識人たちとのディスカッションにより新たな課題も見つかったのでこれから先は作製したデバイスをさらに発展させていく予定である。

ついた力

研究遂行力

研究に関して、一般的に日本ではテーマを与えられてそれに準じて進めていく流れであるが、アメリカでの研究はすべて自分で研究内容を構築して進めていくことが基本であり、最初はその違いに苦労した。また、英語でのディスカッションにおいても専門用語が多く含まれるので聞き取るのに相応の時間を要した。しかし、留学の中盤ごろには、研究内容を構築して、専門用語の英語でも聞き取れるようになった。

今後の展望

この留学を通して、世界の研究者のレベルを肌で感じることができた。自分自身は、英語を用いて研究を遂行していくことができて、研究者として改めて向いていると感じたので、これからも、自分がいま行っている脳を模したデバイスの開発研究を進めていきたいと思っている。そして、世界でも通用するような研究者として人工知能や半導体産業などの分野を発展させていきたいと考えている。

留学スケジュール

2018年
9月~
2019年
4月

アメリカ合衆国(ロサンゼルス)

留学の内容としては、7か月間で人間の脳を模倣したデバイスを作製することである。しかし、人間の脳自体まだわかっていない部分があるため、比較的解明されている記憶能力を模倣したデバイスを作製することを目的とした。最低でも試作品を一つは作製して動作テストを行うことを目標とし、余裕があれば学習機能などの脳の他の機能を模倣したデバイスを作製に挑戦する。デバイスの作製において、既存のものを改造して作製するのではなく、材料の原料から構築して、新しいものを作り出すことで脳型デバイスの作製を行った。

費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

実験風景(作製したデバイスの確認作業)
費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

スペシャルエピソード

戦い続けること

今回の留学では研究面だけでなく生活面でもきつい思いをした。特に、不動産とのやり取りにはとてつもなく体力を使った。今回の留学では宿は大学が準備するものではなく、自分で直接交渉してレンタルする形式であり、実際にシェアハウスで生活することを決めた。そこのルームメイトについて最初は特に悪いとは思わなかった。しかし、実際に生活してみると、夜中にパーティーを開きバカ騒ぎをするため、眠れない日々が続いていた。これに対して、いくら注しても改善されず不動産屋に問い合わせても解決することはなかった。そんなある日に、他のルームメイトがうるさいと注意していたところ、騒いでいたルームメイトと口論になり最終的には殴りありのけんかにまで発展した。もうこんなところには住めないと思い、不動産屋に他の物件に移らせろと相談をした。しかし、不動産屋はできないの一点張りであり、特に対応策をとることもなかった。そこで憤りを感じ、いまシェアハウスでどのようなことが起こっているのか、そのような惨状なのかを写真や動画を使って説明してそちらの管理不足であり、非がない自分は他の物件に移る権利があるはずと実際に直接会社に赴いて主張したところ、向こうが非を認め、他の物件に移り住むことができた。この経験から、自分が間違いと思ったことは徹底的に主張して相手に認めさせる、つまり戦い続けることが大切であると学んだ。

移った後の住居

VISA取得の厳しさ

  • 事前準備 : 渡航手配(VISA、保険、持ち物など)

基本的に日本と比べて海外は書類作業のスピードが遅い。事前準備において書類作業は必ず入ってくるものであり、一番不安に駆られる部分でもあると私は思っている。特にVISAは作製するための書類も多く、発行するにも時間が非常にかかる。基本的には3か月はかかるというめどでやるといい。私の場合は、アメリカVISAをとる必要があり、先方とも連絡を頻繁にとっていたがそれでも、なかなか進まず結局当初に予定していた出発日から1か月延ばすことになった。向こうとは時差の関係上メールとのやり取りも1日に2回出来ればいいほうであり、時々忘れられている場合があるので、連絡はしつこいくらいにしていたほうがよい。また、どんなに急かしたとしても、公的書類は必ず時間がかかるのでその書類の作成期間を考慮して留学計画を立てたほうが良い。

これから留学へ行く人へのメッセージ

留学ではいいことも悪いことも含め一味違った経験ができます。人間は経験を積むことで成長するものなので、そう意味では留学は非常に価値のあるものです。しかし、ただ行くだけでは時間を無駄にすることになるので明確な目標をもって計画を立ててください。特に、研究者や技術者を志している人は海外を経験することはとてもタメになるのでぜひとも行ってみてください。