留学大図鑑 留学大図鑑

NAKASHOW

出身・在学高校:
沖縄県立八重山高等学校
出身・在学校:
千葉大学
出身・在学学部学科:
融合理工学府 創生工学専攻 デザインコース
在籍企業・組織:


最終更新日:2019年11月19日 初回執筆日:2019年11月19日

デザインで人と人をつなぐ留学

留学テーマ・分野:
大学院生:交換・研究留学(日本の大学院に在籍しながら現地大学院内で学ぶ留学)
留学先(所属・専攻 / 国 / 都市):
  • ケルン応用科学大学 Integrated Design、ミラノ工科大学 Design&Engineering
  • イタリア・ドイツ
  • ケルン・ミラノ
留学期間:
11ヵ月
総費用:
2,200,000円 ・ 奨学金なし

語学力:

言語 留学前 留学後
英語 生活に困らない程度の日常会話ができるレベル 授業や会議の内容が理解でき、必要な発言ができるレベル

留学内容

将来、製品の「カタチ」だけでなく使う人の「体験」も考えられるデザイナーになるために、ドイツのケルン応用科学大学(Köln International School of Design)でサービスデザイン(人の体験を考えるデザイン)、イタリアのミラノ工科大学(Politecnico di Milano)でプロダクトデザイン(製品のカタチを考えるデザイン)を学んだ。前半のケルン応用科学大学では動物園を楽しくするための新たなサービスを提案するプロジェクトに参加し、デザインだけでなくエンジニアや経営学専攻の学生とチームを組み、ケルンの動物園でのリサーチ、飼育員や経営者、来園客へのインタビューなども行い、最終的にケルン動物園の経営陣にサービス提案のプレゼンテーションを行った。後半のミラノ工科大学ではプロダクトデザインのプロジェクトに参加し、デザインとエンジニアの学生でチームを組み、航空機内の荷物入れのデザインを行った。オンラインリサーチや空港でのリサーチを踏まえデザインのコンセプトを設定し、実際に製品を生産する際の素材やネジ一本に到るまでの構造、部品数を示す図面を作成し最終提案を行った。またドイツ・ミラノ共に、デザインの展示会や博物館への訪問、ミラノでは世界最大のデザイン見本市・ミラノデザインウィークでの展示補助を行った。

留学の動機

おもちゃのデザインを仕事にしたいと思いデザインを学び始めたが、大学でのワークショップなどを通して海外のデザイン学生と知り合う中で、自分が思っていた以上にデザインの世界はグローバルだと知り、自分の中にあった「なんとなく海外に行く経験をしてみたい」という思いが、「海外の大学に行ってデザインを学びたい」という気持ちに変わり、留学に行く決意をした。

成果

プロダクト・サービスデザインを学んだことはもちろんのこと、エンジニアの学生などと一緒に行うプロジェクトを通して、「実際にデザイナーと働く際の、他分野の人間とのコミュニケーション力」が鍛えられた。専門分野や文化背景の違いから生まれるミスコミュニケーションをどのような工夫で解消していくかや、プロジェクトチームをうまく動かすには自分がどのような働きをしたら良いかを留学前よりもよく考えるようになった。

ついた力

生き抜く力

プロジェクトでのグループワークが上手くいかなかったり、留学先で住居が見つからずホテルや短期滞在の家を転々としたりと、留学という「自分が知らない未知の世界でのトラブル続きの生活」を送る中で、忍耐強く、ポジティブに考えトラブルを楽しむことができるようになり、どんな状況でも「必死に生き抜くための力」がついた。

今後の展望

留学で学んだサービスデザインとプロダクトデザインの経験を統合し、更に磨きをかけ、手に取る人の心を動かすことができる製品・企画を提案できるデザイナーになりたいと考えている。また、留学中に苦労したグループワークの経験を踏まえ、異なる専門分野・文化背景を持ったメンバーで構成されたチームでも実力を発揮し、チーム全体の力をより引き出せるような人材になれるように精進したい。

留学スケジュール

2018年
9月~
2019年
2月

ドイツ(ケルン)

エンジニア、経済学専攻の学生とチームを組み、ケルン動物園にインターネットと連携したサービスの提案を行う「IoT in Zoo」という長期プロジェクトに参加した。ケルンの動物園を実際に訪れ、園長や飼育員、来園客へのインタビューなどのフィールドワークを実施し、「来園客にとって魅力的で、動物園側にとっても実現可能なサービス」を検討した。大学の教授や動物園の経営陣へ向けた最終発表では、全7チーム中2位に選ばれ表彰された。デザイナーだけで無く分野混合のチームで実現性のある提案を作れたこその結果だと思っており、コミュニケーションは簡単では無かったが、将来デザイナーとして働くことをイメージできる良い機会となった。また、ケルンの終盤には5日間のワークショップに参加し、最終発表では学生や先生を招待し多くの人に作品のプロトタイプを体験してもらい、彼らから作品に対するフィードバックなどをもらうことができた。

費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

47,000 円

生活費:月額

80,000 円

ケルン動物園でのインタビュー
ケルン動物園での最終発表
ワークショップで制作したプロトタイプの体験の様子
費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

47,000 円

生活費:月額

80,000 円

2019年
2月~
2019年
7月

イタリア(ミラノ)

デザイナーとエンジニアの混合チームで航空機内のプロダクトを提案するプロジェクトに参加した。リサーチでは航空業界のトレンドに関するデスクリサーチ、航空機利用に関するオンラインアンケート、空港での航空機利用客へのインタビューを行い、最終発表では、ネジ一本にまで至るプロダクトの構造、素材の種類や加工方法まで検討し、図面等を用いて工業製品として実現可能であるデザインを提案した。素材や加工方法の知識、図面の作成などは今までしっかりと学んだことがなかったので苦労したが、デザイナーとして自分に足りなかったことを学ぶことができた。また、世界最大のデザイン見本市・ミラノデザインウィークで日本人デザイナーの展示補助を行い、目の前で展示作品をきっかけに商談へとつながる様子を何度も目撃し、リアルな世界での出会いや繋がりがデザイナーの人脈を広げるためには重要であることを実感した。

費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

47,000 円

生活費:月額

100,000 円

空港でのインタビュー(チームメイト)
提案したプロダクトの構造を描いた図面
デザインウィークの展示設営で疲れている様子
費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

47,000 円

生活費:月額

100,000 円

スペシャルエピソード

人生で最も引越しを繰り返した季節

留学中は様々なトラブルに見舞われたが、特に思い入れが深いのは「ケルンで4回も引越した」ことである。ケルンでは住居を見つけることが非常に難しく、私も住居が決まらないまま留学へ出発した。出発の数時間前に友人とカラオケで過ごしていたのだが、心の底から「家が決まってないから留学に行きたくない」と言っていたのが懐かしい。ケルンに到着してからは3週間ほど安い宿を転々としながら半年間住める家を探していたがなかなか見つからず、10日間住める家を見つけ、ホテルに居続けるよりは便利だろうと思い引っ越した。その短期の家に滞在中に、改築前で3ヶ月だけなら住めるシェアハウスを紹介され引越し、ドイツ人2人、フランス人2人との共同生活を経験した。年末になりシェアハウスの退去日が近づき再び家を探し始めたが、1ヶ月間、2匹の猫の世話付きで安く住める家を紹介してもらい引越した。可愛らしい猫たちとケルンでの年越しを迎えた。ケルンでの最後の1ヶ月間は、猫との別れを惜しみながらマンションの小さな部屋で一人暮らしをしたが、契約の際に家主が海外におり、詐欺ではないかと不安になりながら代理人を通して契約をしたが普通に契約でき、後日直接会うことができた家主も良い人だった。知らない土地での度重なる引っ越しはかなり苦労したが、色々な場所に住むことでケルンという町を人一倍知ることができて良かったと思っている。

ケルンでの引っ越しヒストリー
2番目の家のシェアハウス。朝、同居人が新聞を読んでいた。
3番目の猫がいる家。留学中、最大の癒し。

異分野の人たちとのグループワークとコミュニケーション

  • 語学力 : 英語

ドイツでもイタリアでもプロジェクトは常にグループワークで、そこでのコミュニケーションにはかなり苦労した。ドイツでは英語を話し慣れていないという点での困難もあったが、一番の壁は「異分野の学生とのコミュニケーション」であった。エンジニアと経済学専攻の学生との共同プロジェクトに参加したが、学んできたことが違うことで思考回路も異なり、1つのアイデアに対してメンバーそれぞれが全く違う意見を持っていた。デザイナーでは思いつかないような意見をもらえる良い点もあるが、こちらの意見を伝えても「相手は違う分野の人間だから理解できない」、「全く異なる反応が返ってくる」、「話が噛み合わない」ということが多々あり、その反対に「相手が何を伝えたいのか分からない」こともよくあった。グループワーク中は常に「どうやったら伝わるか・理解できるか」を考え「伝え方の工夫」をしていた。私はデザイナーなのでイラストや図などの補助を入れて伝わるまで何度も説明を行ったり、エンジニアの学生にも専門用語ばかりの説明だけでなく、なるべく図解を付けてわかりやすい言葉で説明してもらうようにしていた。将来、デザイナーを仕事にするのであれば避けて通れない、エンジニアや経営分野とのコミュニーションの難しさを前もって実感することができ、良い経験となった。

グループワークの様子
言葉だけでなく図やイラストも使って伝える

留学前にやっておけばよかったこと

私は留学先の大学の授業は英語だったので現地の言葉(ドイツ語・イタリア語)の勉強にはあまり力を入れませんでしたが、余裕があれば勉強しておくと留学がより充実すると思います。よく行くカフェの店員さんとの会話や駅で困っていたら助けてくれたおじいさんとのやり取りなど、日常のちょっとした瞬間が相手の国の言葉を少しでも知っているだけで、より心に残る体験になると思います。

留学を勧める・勧めない理由

少しでも留学に興味があるなら絶対に行った方が良いです。自分の世界が変わります。実際に行ってみてそれが失敗尽くしだったとしても、未知の世界で必死に生き抜いた経験は一生の価値になると思います。お金の不安とかも有ると思いますが、トビタテのような奨学金制度を利用してお金をかき集めてでも挑戦した方が良いです。借りを作った気分になりますが、留学での経験をお金とは違う形で周りに還元すれば良いと思います。

これから留学へ行く人へのメッセージ

これから留学に向けて、色々不安に思っている人がほとんどだと思います。でも未知の世界で自分の計画通りに行かないことなんて当たり前です。そう考えると結構、気持ちが楽になります。失敗したって死ななければ大丈夫ですし、海外行きフライトの搭乗時間以外の世の中の大体の締め切りは破っても大丈夫です。(でもトビタテの書類の締め切りは守りましょう)そんな数々の困難を乗り越え、スゴイやつになってください!