留学大図鑑 留学大図鑑

めぐさん

出身・在学高校:
熊本県立熊本高等学校
出身・在学校:
宮崎大学
出身・在学学部学科:
農学部
在籍企業・組織:
一般社団法人プロダクティブ・エイジング研究機構


最終更新日:2020年11月04日 初回執筆日:2020年11月04日

老化研究のスペシャリストを目指して

留学テーマ・分野:
研究留学
留学先(所属・専攻 / 国 / 都市):
  • Washington University in St.Louis
  • アメリカ合衆国
  • ミズーリ州
留学期間:
12ヶ月
総費用:
2,500,000円 ・ 奨学金なし

語学力:

言語 留学前 留学後
英語 挨拶など基本的な会話ができるレベル<TOEIC 555点> 専門的な研究や会議において、議論や調整ができるレベル

留学内容

 老化研究のスペシャリストを目指してというテーマで世界の老化研究を牽引するセントルイス大学のラボで1年間研究留学を行った。この留学を通して改めて己と向き合い、夢を叶える足掛かりを得た。
留学に行く前、健全な生活を犠牲にしても、実験が思うように進まず自信を無くし、心身共に疲弊していた。それでも夢を諦めきれず、自分の可能性を試す最後の機会と思い、留学に臨んだ。留学先のラボでは皆onとoffの切り替えが上手く、無理なく研究が日常生活に溶け込んでいる様だった。また、皆の活発な議論についていくためには良質な睡眠が必要で、成果を出すためには健康が何よりも大切だと身をもって気づかされた。そして本留学で私が最も成長したのは研究デザイン能力だと思う。きっかけは、初めて自分で計画し実行した3ヶ月にも渡る実験で成果をあげられなかった事だった。日本にいた頃なら失敗したと単に諦めるところを、研究室の今井教授に『自分の時間と労力をかけて出した結果なのだから、もっと注意深く評価すべき』と言われた。その言葉に感銘を受け、丁寧に慎重に、得られたデータを解析し直したところ、新規仮説を提唱することが出来た。その経験は自信に繋がり、またデータの大切さや重みを理解した事でより効率の良い研究デザインを行うことが出来るようになった。帰国してからは日本のラボでリサーチアシスタントをしながら経験を積んでいるところだ。

留学の動機

元々修士課程で老化をテーマに研究を行っていたが、なかなか結果が出せなかった。新規の手法を試みる度に、参考にした論文の著者と直接話ができればと思っていた。そんな折、今井先生の講演会動画をたまたま見つけ、研究に対する姿勢やその進め方に感銘を受けた。朝から夜遅くまで研究し続けるスタイルに心身ともに疲れていた私は、短時間でも結果を残すアメリカの研究スタイルにあこがれ逃げるように日本を飛び出した。

成果

留学前は研究に対する自身の能力の低さを痛感し、研究者になるという夢をあきらめかけていた。しかし、最高の研究環境や活発に議論が飛び交う環境に触発され、仮説を立てて1つずつ検証していくことにやりがいと喜びを覚えるようになった。規則正しい生活で健康も取り戻し、再び夢に向かう活力を得た。

ついた力

自分力

自分力とは、自分が自分のまま困難を打破する力と勝手に定義したい。留学前は何事も背伸びをして自分の限界を見誤った結果、体調を壊しがちだった。しかしNo.1ではなくonly 1を尊重する環境で過ごすうち、肩の力を抜き自分にできることを精一杯考えるようになった。その結果、体に鞭を打って頑張らなくても自分の今の能力でどうすれば困難を打破できるか考え、不足分は他人の力も借りつつ課題をこなせるようになった。

今後の展望

今後は研究経験を積みつつ、博士課程進学を目指したい。ゆくゆくはこれぞという研究テーマを見つけて、自分のラボを持ちたい。また、研究デザインや時間のやりくりに苦労し心身ともに疲労した修士時代に、研究に付随する諸々の悩みを相談できる人がいればと思ったことから、研究者のメンタルケア活動にも挑みたい。

留学スケジュール

2019年
3月~
2020年
2月

アメリカ合衆国(セントルイス)

 世界の老化研究を牽引するセントルイス大学medical campusの今井ラボで、研究留学を行った。最初の4か月はメンターのもとで、研究の進め方や新規の実験手技を習うと共に、研究室に慣れていった。留学の後半はメンターの手伝いをする中で発生した疑問に基づき、独自のテーマを設定して、実験計画から遂行までの一連の流れを行った。残念ながら、再現性のあるデータを得ることはできなかったが、積み重ねた結果から新たな仮説を提唱し、それを示すための実験プランを考えるところまでを行った。
 また、休日には美術館や博物館、動物園といった施設を巡って広大な敷地に舌を巻いたり、毎週木曜日の放課後に開催されたEnglish corner(文化やことわざなど様々なテーマで英会話をすることで英語能力の向上をはかる会)に参加していろんな国籍の人と交流を図ったりした。

費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

100,000 円

生活費:月額

60,000 円

項目:旅費・保険

500,000 円

留学期間中に新しくなったラボ
ゲートウェイアーチ;観光名所、頂上までエレベータで昇れる
費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

100,000 円

生活費:月額

60,000 円

項目:旅費・保険

500,000 円

スペシャルエピソード

日本食が恋しい

 1年間という長期の留学で何が一番恋しくなったかというとやはり日本食だ。昔と比べれば、日本のだいたいの食品は専門のお店に行けば比較的簡単に購入することはできたが、値段が高く頻繁に通える距離ではなかった。幸いセントルイスでは寿司と照り焼きが流行っていたため、その二つはよく入手できたが、やはり卵かけご飯やみそ汁が恋しかった。これまで全く自炊をしてこなかった人間だが、借りたアパートには立派な台所があったので、入手できる地元の食材を使って、なんちゃって日本食づくりに励んだ。ある時は、小麦粉からうどんを打ち、大みそかには缶詰や干物を利用しておせちも作った。帰国するころには料理のレパートリーが大いに増えていた。また、意外なことに現地ではちょうどよいサイズの御飯茶わんや一般的な箸の入手が難しく、持参したマイ茶碗とマイ箸は大いに活躍した。

とある日の学食、アジアの味覚コーナーで出てきたうどん!?
おせちとマイ箸

休学をして留学をする場合(参考程度)

  • 単位・留年 : 休学・留年

 私は実のところ卒業を1年延期して留学を行った。そういった場合どういうことになるのかといった話はあまり聞いたことがなく、これから留学を考えている人の参考になればと思う。(もちろん所属機関や留学の時期によって話は変わってくると思うので、具体的なことは所属機関の事務等に相談する事を勧める)

 私は、修士2年(2019年)の2月から翌年(2020年)の1月まで休学し、実際の留学は2019年の3月1日出国、2020年2月末に帰国という流れだった。卒業に必要な単位は出国時までにあと1つ、特別研究(いわゆる修士論文)を残すのみとなっていた。最終的には、復学した2月から3月までの2か月分の学費を余計に納め無事2020年の3月に院を卒業した。

 なぜこのような形になったかというと、特別研究の単位取得条件に丸1年の出席日数が必要であったこと、修士論文の合否の審査会議が2月に行われることなど様々な要因が複雑に関与し一番ベストな方法を大学の事務と相談して特例で承認してもらったからだ。私の留学は多くの人の支えなしには実現し得なかった。

 くどいようだが、もし休学をして留学をしたいと思っているならば、一人で悩まず、所属機関の事務に相談してみることを強く勧める。

 余談ではあるが、卒業後の進路はというと留学先のボスの伝手で、博士課程進学に向けた準備の傍ら、日本の研究所で働かせてもらっている。もし卒業が遅れることを不安に思うのであれば、留学によって得る人脈によって新たな道が開かれることもあると頭の片隅に置いておいてほしい。

留学を勧める・勧めない理由

 留学の価値はずばり「新しい環境」にあると私は思う。何かにつまずいたり、自分の力ではどうにもできない困難な状況に置かれたりした時、ストレスを抱えふさぎ込むのではなく、環境を変えるのも一つの手だと思う。留学すれば、強制的に環境は変わる、さらなる困難にぶつかることもあるかもしれないが、いろんな世界を知り視野を広げることはきっと無価値ではないと思う。

これから留学へ行く人へのメッセージ

 留学には崇高な目的や英語力は必要ない。暴論とは思うが、要は留学に一番大切なのは行きたいと思う気持ちだと私は思う。困難なことは人の力を借りればいい。勢いだけで日本を飛び出した私も多くの人の助力のおかげで、有意義な留学生活を送れた。幸い、ここにはあなたをサポートする留学のOG・OBに溢れている。もし、行きたいと少しでも願うのであれば、どうか私にもその手助けをさせてほしい。