留学大図鑑 留学大図鑑


最終更新日:2023年02月17日 初回執筆日:2023年02月17日

スタートアップの現場と経済的理論を知る!

留学テーマ・分野:
大学生:交換・認定留学(日本の大学に在籍しながら現地単位取得を伴う留学)
留学先(所属・専攻 / 国 / 都市):
  • ノースカロライナ大学シャーロット校経済学部、あじぷら合同会社
  • インドネシア・アメリカ合衆国
  • シャーロット・ジャカルタ
留学期間:
11カ月
総費用:
3,200,000円 ・ 奨学金あり
  • トビタテ!留学JAPAN「日本代表/新・日本代表プログラム」 1,250,000円

語学力:

言語 留学前 留学後
英語 生活に困らない程度の日常会話ができるレベル<TOEFL ITP567点, TOEIC795> 授業や会議の内容が理解でき、必要な発言ができるレベル<TOEIC855点>

留学内容

私の留学テーマは、「スタートアップの現場を体感し、その海外進出の為の論理を学ぶ! 」ことでした。このテーマに関して、留学前から私は経済産業省の中期インターンシップに1か月間参加し、「つくば市の研究開発型スタートアップ育成」に取り組み、ヒアリングなどを通して政策立案の現場を体感した経験がありました。この経験を通じて、より良い政策立案のためにはファイナンス理論に基づく資金調達の理解と、スタートアップそのものの現場理解が必要だと感じました。したがって、前者に関しては、ファイナンスの観点から政策立案を具体化するために、ノースカロライナ大学シャーロット校(アメリカ)に交換留学し、国際経済学や計量経済学、金融論などを学びたいと考えました。また、後者に関しては、今後さらに日系スタートアップの海外展開が期待されるジャカルタ(インドネシア)で活動中の日系スタートアップでインターンシップをしたいと思いました。結果として、交換留学では経済理論やファイナンスというマクロの観点から視座を高めつつ、海外インターンではメンバーとして内部からスタートアップの現場を体感することができました。

留学の動機

大学入学以前から留学に対する漠然とした憧れはあったものの、資金的制約がボトルネックでした。それでも留学に対して非常に前向きになったきっかけは、外務省主導の「カケハシプロジェクト」という、渡航費・宿泊費が無料の短期留学プログラムに合格できたことです。これを契機に、大学のグローバルリーダーシッププログラムや経済産業省の中期インターンに参加した経験から、トビタテ留学に挑戦したいと考えるようになりました。

成果

交換留学(アメリカ)では、1学期あたり4科目12単位の講義を受講し、2学期間で24単位全てを取得することができました。初海外で語学力に不安があったものの、外国でも努力すれば最低限の成果は出せるという自信を得ることができました。また、海外インターン(インドネシア)では、文化や宗教、生活様式などお互いの常識が異なる現地の上司やインターン生と協働して仕事をするという貴重な経験をすることができました。

ついた力

大局的思考・自律的行動力

大局的思考力・自律的行動力とは、「多様な観点から物事を俯瞰し、そのうえで養われた自分なりの価値観と目的意識に基づいて行動する力」だと考えます。留学計画の段階から大学の留学担当の先生に相談したり、留学中も文化的背景の異なる相手の意見を傾聴したりすることで、自分の価値観や目的意識が変化しながらもより高い視座をもって行動できました。

今後の展望

留学を経て、「日本の経済成長と社会課題解決の両立を実現することで社会に貢献する」という目標達成のためには、それまで描いていた方法とは異なるアプローチができることに気づきました。今は、必ずしも官公庁の政策立案ではなく、証券取引所の市場や制度設計を通じて、より高い水準で目的を達成したいと考えています。

留学スケジュール

2021年
8月~
2022年
5月

アメリカ合衆国(シャーロット)

全米2位の金融都市に位置するノースカロライナ大学シャーロット校で、約9カ月(2セメスター)の間、現地の大学生と一緒に経済学の専門教科や国際関係論について学びました。初海外でネイティブの会話の速さについていけないことが多く、特に秋学期は毎週のように出される膨大な宿題と月1回の復習テストが大変でした。それでも、結果的には履修した24単位すべてを取得することができ、海外の大学でも最低限の成果を出せるという自信を得ることができました。また、留学中は大学寮で生活しており、自分以外の3人のルームメイトはみんなアメリカ人でした。最初はルームメートにスーパーマーケットに連れて行ってもらうこともありましたが、週末には寮からショッピングバスが出るため、生活面でも特に困ることはありませんでした。

費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

150,000 円

生活費:月額

50,000 円

項目:往復の渡航費や保険、ワクチン接種、娯楽費など

1,000,000 円

計量経済学の講義の様子。コロナ禍でも対面で、マスクも不要に。
キャンパスの様子。レンガ調で統一され、講義棟が密集している。
市街地の公園の様子。キャンパスとは違い、都会的な雰囲気。
費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

150,000 円

生活費:月額

50,000 円

項目:往復の渡航費や保険、ワクチン接種、娯楽費など

1,000,000 円

2022年
7月~
2022年
9月

インドネシア(ジャカルタ)

インドネシアのジャカルタにある広告関連の日系スタートアップで、約2カ月間、平日の8時30分~17時30分においてローカルのスタッフやインターン生と協働しながらインターンシップを経験しました。最初の3週間は現地の日系企業やローカル企業の部長~役員に対して景況感等のヒアリングをしてレポートにまとめてメルマガで公開しました。次の3週間では、駐在員の帯同者をターゲットに現地の有名なECサイトの使い方を説明する記事を作成しました。そして、最後の2週間では新規事業立案に挑戦しました。最終的には、街頭アンケートなどを通じて現地の学生にヒアリングし、「インドネシア人大学生に対する日本企業の有給インターン紹介事業」を提案しました。以上の活動を通じて、労働に対する価値観や文化の異なるインドネシア人と円滑に協働する協調性や、未知の環境でも最善を尽くそうとする挑戦心が養われました。また、私生活の面ではインターン先の企業に用意してもらったコス(下宿屋)に住み、近場のショッピングモールやコンビニ、あるいはGo-Foodというデリバリーサービスを利用して食事をしていました。下宿先はジャカルタにあったものの、非常にローカルの生活に密着した場所に位置しており、ジャカルタの先進性と途上可能性の二面性を日々目の当たりにしていました。

費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

60,000 円

生活費:月額

40,000 円

項目:往復の渡航費や娯楽費など

400,000 円

現地インターン生や上司の方と行った街頭アンケートの様子
犠牲祭(イスラムの祭典)の様子。モスク前でヤギを解体中。
ワヤン(伝統の影絵)の様子。自分一人のために演技してくれた。
費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

60,000 円

生活費:月額

40,000 円

項目:往復の渡航費や娯楽費など

400,000 円

スペシャルエピソード

この国のことが、とても好きになった瞬間

留学の中で最も印象的な経験の一つとして、インドネシアのインターンを通して出会った方々と一緒にビーチに行ったことが挙げられます。もちろんパーソナリティには個人差があるものの、インドネシア人の国民性としては「素直」や「フレンドリー」、「マイペース」という表現が当てはまると感じており、その雰囲気に自分自身も考え方や行動様式の面で影響を受けました。特に、現地社員の方が自分のためにビーチ旅行を企画してくださったことがあり、ジャカルタという大都市の近場でもとてもきれいなビーチでシュノーケリングなどを楽しむことができました。この際、社内の方々だけではなく、仕事を通じて出会った駐在員の方々や留学生の方とも親睦を深めることができ、「国外だからこそむしろ日本人同士の出会いが貴重であること」を知りました。また、「ヒトの優しさ」というソフト面と「経済成長可能性と文化的・自然的資産」というハード面が両立しているインドネシアの魅力を改めて感じる経験となりました。

インターン中にプロウスリブというビーチに行った様子

オンラインを活用した留学と就活の両立

  • 帰国後の進路 : 就職(企業)

大学3年生の後期から留学を開始すると、就職活動と期間が重複してしまうことがあります。もちろん、留学による留年は就職活動に負の影響を与えず、むしろ好評価されることが多いので、従来は卒業を遅らせて就活を開始する人が大半だったと思います。一方で、「何らかの理由で留年が現実的な選択肢ではなく、就活を優先して留学のチャンスをあきらめざるを得なかった人がいた」のも事実だと思います。私は、この状況・課題がコロナという逆境によってむしろ好転したと考えます。というのは、コロナ禍では就活の選考の一部がオンラインで行われることが多くなり、原理上は留学先でもオンラインで就活し、4年間で大学を卒業することが可能になったからです。確かに、留学中の就活は必然的に留学中の時間を消費してしまったり、必ずしも志望する企業の選考スケジュールと留学計画が一致しないというリスクがあるものの、「従来は就活を優先して留学を諦めざるを得なかった人」が「留学と就活を両立することが可能になった」という側面がコロナ禍の留学にはあると思います。留学と就活の両立は邪道で荒業かもしれませんが、自分自身がそれらを両立してやり遂げた今振り返ると、むしろそれらの両立が両者にとって相互に作用する側面があると思います。例えば、就活の中で自身の進路やなりたい将来像、目的意識を改めて言語化することで留学中の経験をより豊かにしたいと考えるようになったり、留学を通して多様な価値観を持つ人々と触れ合うことで視野が狭まりがちな就活でも多様な観点から自身の進路を検討できるようになると考えます。

気を休めたいときに散歩していたアジアンガーデンの様子

これから留学へ行く人へのメッセージ

今後もコロナが続くかもしれません。また、ロシアのウクライナ侵攻による社会情勢の変化や不安定な経済下における為替変動など、留学を実現するためのハードルは数えたらきりがないほどあると思います。それでも、「逆境で何を考えて行動したのか」ということが後になって「自分がどんな人間なのか」ということを知るきっかけになり、留学もその分水嶺の一つだと考えます。最後は自分で気楽に決めたら良いのではないかと思います。