アメリカ合衆国(ポートランド)
1. まち並みの視察
かつては“切り株のまち”と言われる林業が盛んなまちでしたが、現在のポートランドには木々の緑がまちを取り囲むように存在しており、「まちの自然環境を守りたい」という人々の精神が表れているようでした。また、ポストモダン的建築物の多さからは、王道な道からあえて外れたいという他とは異なるポートランドのまちのユニークな個性が強く感じられました。
2. ファーマーズマーケットとサタデーズマーケットの視察
ファーマーズマーケットでは、赤・黄・緑といった彩りを感じさせる野菜や果物がプラスチックかごやざるやダンボールにいれられたまま机の上に並んでおり、地産地消ならぬ新鮮さがありました。また、サタデーズマーケットでは、食材というより、主に職人によるクラフト品が多く、自分の好きなことを表現しているようなクラフトマンの精神が感じられました。
3. ヴィーガン向けスーパーマーケットの訪問
食料品をはじめ、日用品やステッカー、ベジタリアン向けのベーコンやチーズ等、数々の豊富な商品が並べられて、品揃えがしっかりしていることから、ベジタリアンやヴィーガンの人々の需要が満たされているようでした。人々のインタビューからは、ヴィーガンレストランが多いことがポートランドの利点だという意見があり、実際に食してみたところ、質素な味付けだという仮定が完全に覆され、とてもクオリティーが高かったです。ふつうのスーパーマーケットにはオーガニックな商品ばかりが陳列していることからも、自然と環境配慮の精神が人々に根付いているようでした。
4. Patagonia、Columbia、adidas、keen、NIKEの企業訪問
Patagonia:店員がアウトドアな服装を身にまとい、カジュアルな雰囲気を醸し出している他、内装も自然環境を感じさせる配色でレイアウトされていました。ところどころには創立の想いとストーリーを感じさせる装飾物や看板があり、自然保護に対する強いサポート精神が感じられました。インタビューからは、とにかく「NO PROFIT」をモットーとして本気で環境のために働きかけていることがわかりました。
Columbia:本物の岩によるアウトドアを感じさせる入口から始まり、カウンターのガラス机には、浸食された丸い小石が詰まれており、山から川まで感じられるデザイン構造になっており、本社だからこその“スタートアップ地点”のようなものを感じました。インタビューからは、アウトドア好きの人を中心として、環境保護をサポートしているようでした。
adidas:北米本社は中に入れなかったため、建物の外装を探検する形となりましたが、会社とは思えないほどにサッカーコートやカフェの設備が非常に整っていました。
keen:廃材のドラム缶を利用して作り変えられた椅子やソファーや、からくりの作りをした靴置き場、子供スペースといった基地のような世界観をもつ内装となっており、商品だけでなく、建物の時点からリサイクルの精神をオープンに出していました。
NIKE:本社ツアーの参加が難しかったため、Nikeのデザイナーになるという夢を持つ男性にインタビューをしました。また、日系アメリカ人交流会で出会ったNikeの本社で働いている男性にもインタビューを行うことができました。
5.ボランティア活動の参加
まちの清掃活動と道路のペインティングの2つのボランティア活動に参加しました。ECOと言われる情報とのギャップのゴミの量には圧倒されましたが、活動中にまちの人々から感謝のことばをかけられたりされ、まちの住民としての一体性を感じました。こういったボランティア活動を通して、自然と形成されていくまちのコミュニティの場からは人々の協調性が感じられました。
6. 森林博物館や歴史博物館の訪問
ネットだけでは得られない正確な情報を得られた他、スタッフや警備員にインタビューを行うことができました。彼らからは、「自然豊か」「人々が親切」「都会過ぎず田舎すぎない」「好きなことを仕事にできる」「湿度が低い」「高速道路や路面電車といった交通の便が良い」といった貴重な市民の声が得られました。