留学内容
医療者は製薬企業や医療機器企業から研究費やグラントだけでなく新薬・新製品の販売促進のためプロモーション目的の講演会や説明会に招待されることや飲食を振る舞われること、高額な講演謝金やコンサルティング料を受け取ることがある。このような企業からの金銭供与は本来患者の治療を第一に考える医療者にとって利益相反になり、時として不必要な治療や不適切な医療行為につながる。
アメリカではこのような製薬企業・医療機器企業から医師、看護師、教育病院に対して支払われた全ての金銭を米国政府がホームページ上で公開している。私が留学したマウントサイナイ医科大学を含め、ハーバード大学やイェール大学、コロンビア大学、ペンシルベニア大学、南カリフォルニア大学、コーネル大学など世界トップの医療政策学者が日夜このようなデータを使用して利益相反が医療経済や医師の処方傾向、患者の治療効果に対して与える不適切な影響について研究を行っている。
このような背景から私は日本で唯一医療界における利益相反研究を行う研究者としてマウントサイナイ医科大学のDeborah Marshall教授の研究室に留学し、世界を牽引する米国の利益相反研究の研究・調査手法やトップジャーナルに論文を掲載するノウハウを学ぶだけでなく、世界トップのアカデミアの雰囲気などを知ることができた。