留学内容
私は「安定したエマルション燃料の生成」という研究を行っています。エマルション燃料とは水とディーゼル燃料を乳化させて作られたものを指し、それを使用することで排気ガス中に含まれる窒素酸化物(NOx)や粒子状物質(PM)を低減できる上に、燃費の改善効果も得られます。しかしエマルションは水と油の混合物であり、その長期安定性が課題でした。また牛乳や乳液といった食品や化粧品でのエマルションの方が世間では馴染み深く、燃料としてのエマルションを世間に知ってほしい、また環境に優しい次世代の燃料を世界に発信し流通させたいという目標から今回の長期留学を決意しました。留学先のRiddet Instituteはニュージーランドのマッセー大学の中にある主に食品科学の研究を行っている研究機関であり、私が所属する機械分野とは違う、食品加工という視点からエマルション燃料を研究することで、視野、見識を広げ、更なる研究の発展を目指しました。実際に留学してみると、分野の違う研究機関ということもあり自分が予想していた以上に分野が異なるという壁は高く、食品科学で用いられる専門用語や基本的な知識が圧倒的に足りず、最初の数か月は苦労しました。しかし自身の知識量や技術力を改めて整理し、積極的に教えを乞うことでこれらの課題を解決し、最終的には長期的に油水分離しない安定的なエマルションを作製することができました。