留学大図鑑 留学大図鑑

けい

出身・在学高校:
修猷館高校
出身・在学校:
熊本大学
出身・在学学部学科:
工学部機械システム工学科
在籍企業・組織:


最終更新日:2017年09月13日 初回執筆日:2017年09月13日

環境に優しい次世代の燃料を世界に発信する

留学テーマ・分野:
大学院生:交換・研究留学(日本の大学院に在籍しながら現地大学院内で学ぶ留学)
留学先(所属・専攻 / 国 / 都市):
  • マッセ―大学 Riddet Institute
  • ニュージーランド
  • パーマストンノース
留学期間:
11ヶ月
総費用:
1,500,000円 ・ 奨学金あり
  • トビタテ!留学JAPAN「日本代表/新・日本代表プログラム」 1,740,000円

語学力:

言語 留学前 留学後
英語 授業や会議の内容が理解でき、必要な発言ができるレベル 専門的な研究や会議において、議論や調整ができるレベル

留学内容

私は「安定したエマルション燃料の生成」という研究を行っています。エマルション燃料とは水とディーゼル燃料を乳化させて作られたものを指し、それを使用することで排気ガス中に含まれる窒素酸化物(NOx)や粒子状物質(PM)を低減できる上に、燃費の改善効果も得られます。しかしエマルションは水と油の混合物であり、その長期安定性が課題でした。また牛乳や乳液といった食品や化粧品でのエマルションの方が世間では馴染み深く、燃料としてのエマルションを世間に知ってほしい、また環境に優しい次世代の燃料を世界に発信し流通させたいという目標から今回の長期留学を決意しました。留学先のRiddet Instituteはニュージーランドのマッセー大学の中にある主に食品科学の研究を行っている研究機関であり、私が所属する機械分野とは違う、食品加工という視点からエマルション燃料を研究することで、視野、見識を広げ、更なる研究の発展を目指しました。実際に留学してみると、分野の違う研究機関ということもあり自分が予想していた以上に分野が異なるという壁は高く、食品科学で用いられる専門用語や基本的な知識が圧倒的に足りず、最初の数か月は苦労しました。しかし自身の知識量や技術力を改めて整理し、積極的に教えを乞うことでこれらの課題を解決し、最終的には長期的に油水分離しない安定的なエマルションを作製することができました。

留学の動機

私の研究である「安定したエマルション燃料の生成」における、安定性という部分には機械的な要素だけでなく化学的な要素が深く絡んでおり、自身が所属する機械工学から一度離れ、牛乳やマヨネーズ等の食品化学のエマルション分野で使われている乳化剤、または乳化方法をエマルション燃料に応用し、研究を発展させたいという思いが留学を考えたきっかけでした。

成果

成果としては留学前の日本での研究段階では油水分離をせず安定性を示すエマルションは1週間が限界であったのが、現地での指導によりそれを一か月までに伸ばすことができました。また私自身が機械専攻の学生としてインターンシップに来たこともあり研究機関の雑誌に小さく取り上げて頂き、私の一つの目標であった異分野融合の一歩に繋げることができました。

ついた力

柔軟力

今回の留学を通して、私の専攻である機械分野ではない食品科学の研究機関に一年間身を置くことで、一つの分野から考えるのではなく視野を広げ、かつ柔軟に研究を行うことができました。

今後の展望

これまでは漠然と機械系の企業に就職すると考えていたが、今回の留学を終えて、食品系の企業や研究機関の世界を身近に感じることができ、自分の知らない世界でも機械科で学んだ知識や技術力を応用することができる可能性があると気づかされました。そのため自分の将来を専門分野で狭めるのではなく、より広い視野で改めて将来について考えようと思いました。

留学スケジュール

2016年
4月~
2017年
3月

ニュージーランド(パーマストンノース)

留学中の研究においては指導教員の指導は勿論のこと、研究機関のPhDの学生及び技術職の方々の指導も受けながら効率よく進めることができました。研究以外でも研究室内で様々なイベントがあり、中でもPotluck lunchという各々が昼食を持ち寄り、みんなでシェアするというイベントは色々な国の出身の人たちがそれぞれの国の家庭料理を持ち寄っていたので、ニュージーランドにいながら色々な国の料理を楽しめ個人的に非常に楽しいイベントでした。私は基本的にあまり料理が得意ではないので蕎麦を持っていったが、意外と好評で日本料理から日本を知ってもらうというのは有効なのだなと改めて感じることができました。また自分が寝泊まりをしていたFlatでの生活は、時期により住む年齢層が変わるという面白い変化があり、研究室での生活とはまた違う楽しみがありました。

費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

Potluck Lunchの風景
費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

スペシャルエピソード

貴重な出会い

留学中にちょっとした縁があり、マッセ―大学の機械科の技術職の方々とお話しをさせていただく機会がありました。その中の一人には幼少期にニュージーランドに引っ越されてから今までニュージーランドに住まれてる日系人の方もいらっしゃり、それからはその方々と公私ともに仲良くさせていただきました。そもそも私の留学先であるRiddet Instituteはマッセ―大学の中にある食品科学の研究機関であり、私の専攻である機械科の学生においては、私の研究のような「エマルション」について研究を行っている学生にしか当大学に研究留学をする機会がありませんでした。しかしその機械科の方々との出会いにより、同じ機械専攻としてニュージーランドの大学がどのような研究をしているのかを見学させていただき意見交換などをすることで、私の大学との共同研究及びインターンシップの交換交流といった話が持ち上がり、これから実現が叶うかはわかりませんが、私の大学で研究員として留学を考えている学生へのきっかけをつくることができました。

マッセ―大学の学生の実験風景

あやふやに処理しないこと

  • 語学力 : 英語

私は幼少期にアメリカで過ごしていたこともあり英語力に関しては多少の自信があったが、実際に留学をしてアカデミックな環境で研究を行うと、やはり専門的な単語などが飛び交うことが多く基本的な英語力のみではカバーできない場面が多々ありました。しかし基本的な英語力は留学前、留学中にしっかりと勉強するのは勿論だが、わからないことをわからないとしっかりと伝えることがそれらの課題の解決への一番の近道だと気づかされました。これは至極当たり前のことで簡単に感じると思うが、日本人特有の消極的かつ気を使いすぎる余りに中々できないことだと思います。特に理系の方で研究留学をする方は高価な実験装置を取り扱う場面が多くあり、英語でコミュニケーションを取る上でいかにあやふやにせずしっかりと理解するのかが求められ、そういった姿勢が大事だと感じました。

これから留学へ行く人へのメッセージ

留学をすることによって良かったことや嫌だったことは人それぞれあると思うが、いずれも必ずこれからの人生を切り開く上でマイナスではないということを一番伝えたいです。それを意識して留学先では何事にも挑戦し、健康だけには気を付けて楽しんでください。