留学内容
専門の極限環境微生物学をより深く学びにいくために、真冬には-45℃を超える極寒の地アラスカに赴き、2016年9月からアラスカ大学フェアバンクス校にて、微生物学とアストロバイオロジーを学んだ。2017年1月からは、アラスカ、ロシア、カナダ、グリーンランド、スヴァールバル諸島などの各所から集められた、低温環境に耐性を持つ好冷菌からDNAを抽出し、ゲノムを解析し、どのような生体機構を持っているのか、そしてどのように彼らが低温耐性を獲得したのかを解析する実験を行った。
最終更新日:2017年08月18日 初回執筆日:2017年08月18日
語学力:
言語 | 留学前 | 留学後 | |
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英語 | 生活に困らない程度の日常会話ができるレベル<TOEFL 75点> | → | 専門的な研究や会議において、議論や調整ができるレベル |
専門の極限環境微生物学をより深く学びにいくために、真冬には-45℃を超える極寒の地アラスカに赴き、2016年9月からアラスカ大学フェアバンクス校にて、微生物学とアストロバイオロジーを学んだ。2017年1月からは、アラスカ、ロシア、カナダ、グリーンランド、スヴァールバル諸島などの各所から集められた、低温環境に耐性を持つ好冷菌からDNAを抽出し、ゲノムを解析し、どのような生体機構を持っているのか、そしてどのように彼らが低温耐性を獲得したのかを解析する実験を行った。
火山、極地、深海、強酸/強アルカリの池や湖などの環境に生息する極限環境微生物は、極限環境への耐性を持つことから、医療や食品など、産業的に利用出来る酵素を持つ可能性がある。また、その強さから地球以外の宇宙のどこかでも生存出来るとも考えられており、そのような沢山の可能性を持つ極限環境微生物について、実際に極限環境に赴き、学びたかったために留学を志した。
低温環境に好んで生息する好冷菌は低温耐性を持ち、氷点下でも生存出来る能力を持つが、各所から集められた好冷菌のゲノムを比較、解析することで、各好冷菌の低温環境適応機構を比較する実験を行った。具体的には、好冷菌は、不凍タンパク質というタンパク質を持つことで細胞の凍結を防いでいるが、そのタンパク質を作る遺伝子をゲノム解析によって割り出し、タンパク質構造を把握することで各サンプルの低温耐性を測った。
極限環境に適応する力
極限環境微生物を学びに極限環境に行ったおかげで、-45℃の寒冷環境でもびくともしない丈夫な肉体と精神を手に入れ、自分も極限環境に適応することが出来た。東京出身のため最初はどうなるのかと思っていたが、段々と気候に慣れていき、神経も適応し、筋肉増加により体温も向上した。人間も、極限環境微生物と同様素晴らしい適応機構を備えていること、そして生命の強さに気づくことができた。
将来は渡米しアストロバイオロジーの博士号を取得する。アメリカでは大学やNASAを初め莫大な予算のもと研究が行われているものの、日本では学位を取得出来る場所は少なく、研究の勢いも弱いため、このままでは世界にリードされてしまう。それゆえ、私は将来の日本のアストロバイオロジーを盛り上げ、人々に宇宙に関心を持たせ、日本と世界をリードし、地球と宇宙の極限環境微生物探査を行う宇宙規模の研究者になりたい。
2016年
9月~
2017年
5月
2016年9月にアラスカに行き、まずアストロバイオロジーを履修した。そこで、Eric Collins教授に出会い、2017年1月からは先生の下で実験を開始し、アラスカを初めとした各所から集められた好冷菌のゲノムを解析し、酵素や不凍タンパク質などの構造を把握することで、好冷菌の適応機構を解析した。これにより、好冷菌の適応メカニズムのすごさを目の当たりにした。また、先生から実験手法を買われ、専門とは関係ないが、北極海に生息する魚の糞から腸内細菌のサンプルを抽出し、魚と微生物の分布を割り当てる生態学的な実験も行った。語学面では慣れるまでに時間がかかったものの、友達や先生からのサポートも受け、自然と伸びていった。学業以外では、ラフティング、スキー、ハイキングなどのアウトドア活動を行ったり、オーロラや氷河を見たりと、アラスカの大自然を満喫し、地球の広さと神秘さを感じた。
学費:納入総額 - 円 |
住居費:月額 - 円 |
生活費:月額 - 円 |
学費:納入総額 - 円 |
住居費:月額 - 円 |
生活費:月額 - 円 |
アラスカはとにかくスゴい場所だった。北米最高峰の山デナリ(マッキンリー山)、果てしなく続く山脈とツンドラ、悠久の歴史を持つ氷河、夏の白夜と冬の極夜、-45°Fの寒さ、クマやヘラジカなどの巨大動物との遭遇、様々なアウトドア体験、そして遠い宇宙から届くオーロラ・・・。東京生まれ、東京育ちの自分にとって、アラスカでの経験は地球の壮大さと神秘さを感じさせるものであった。アラスカに行ったおかげで、極限環境微生物学を学べたが、同時に我々人類は地球の環境システムに生かされており、その一員であるという、生物学的に言えば最も根本的なことに気づけた。
私は、元々文系で歴史に興味があった。しかしながら、大学で歴史の授業を受けているうちに、私の思っていた歴史学のイメージと現実が異なることに気づき、学習意欲を失った。そのような折に、大学2年次に受けた動物行動学の授業を契機に生物学に対する関心が芽生え、生物学を学び始めた。そして、3年次に今私が所属するゼミの先生と極限環境微生物学、アストロバイオロジーに運命的に出会い、地球と宇宙を広く学ぼうと決意した。アストロバイオロジーは学際的な分野であるため、以降は、生物学は勿論のこと、地球科学、有機化学などの諸分野も学ぶために時間を費やし、最終的に知識を豊富に貯えられた頃には4年生になっていた。普通であれば、就職活動に支障が出る、院試の準備があったりするなどの理由で留学は忌避されるが、私は極限環境微生物学とアストロバイオロジーをより深く学びたいという気持ちが強かったため、周りを気にせず、留年のリスクを背負い留学した。正直全く後悔はしていない。なぜならば、留学をしなかった場合の方が悔しい気持ちが残り、また留年覚悟で行ったため、目的意識と計画が確立されていたので、留学経験をより有意義なものにできたからだ。もし、現在、留年のリスクを背負ってまで留学をしようか迷っている人がいれば、迷わず留学してほしい。海外に出れば、卒業を1、2年送らせることは稀なことではないし、やりたいことはやれるうちにやるべきである。
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