留学大図鑑 留学大図鑑

太田 隆二

出身・在学高校:
桜美林 高等学校
出身・在学校:
法政大学
出身・在学学部学科:
経営学部 経営学科
在籍企業・組織:

「社会問題の解決」といったテーマで留学しようとしてらっしゃる方などには、きっと共有できるものが多いかもしれません。特に、ソーシャルビジネスやコレクティブインパクトという言葉にピンとくる方は、まさに同じ活動分野です。もちろんどんなテーマであっても、誰でもご質問にお答えしますので、お気軽にご連絡ください。


最終更新日:2018年03月07日 初回執筆日:2018年03月07日

ソーシャルビジネスの最前線を探求・実践!

留学テーマ・分野:
大学生:交換・認定留学(日本の大学に在籍しながら現地単位取得を伴う留学)
留学先(所属・専攻 / 国 / 都市):
  • サンディエゴ州立大学 (Management・Entrepreneurship)
  • アメリカ合衆国
  • サンディエゴ
留学期間:
10ヶ月
総費用:
3,000,000円 ・ 奨学金あり
  • トビタテ!留学JAPAN「日本代表/新・日本代表プログラム」 2,000,000円

語学力:

言語 留学前 留学後
英語 生活に困らない程度の日常会話ができるレベル 授業や会議の内容が理解でき、必要な発言ができるレベル

留学内容

新たなソーシャルビジネスを世界で最も多く生み出しているアメリカで、ソーシャルビジネスの最前線を学び、自分達で新たなソーシャルビジネスを実際に生み出す。

【活動項目】
①社会起業家コース履修し、授業内コンペ優勝を目指す
②ソーシャルビジネスコンペティション(San Diego Social Innovation Challenge)に応募、優勝し、十分な資金と信頼を得ることを目指す
③社会的インパクトの評価手法を、実際の組織へのインタビューを通じ、研究する
④実際に起業し、その社会的インパクトを示し、社会的意義を証明する

結果、①は達成、②は、優勝はできませんでしたがセミファイナル進出、資金は得られなかったが、無料のコンサルなどは受けれた。③は実際に調査したが、まだ実務レベルではないため、日本の社会的インパクト評価イニシアチブのメンバーの方からの協力を得ながら、実践レベルにまで押し上げていく予定。④は、起業したものの、トラブルが生じ、今は営業休止中。まだメンバーとして参加はしているので、これから問題を解決していく予定。

留学の動機

ソーシャルビジネスをもっと盛り上げていけるようになりたかったからです。NGOで援助活動をしていた際、個人と組織の両面から資金の限界が来ていました。そこで、企業インターンシップを通じた収益化モデルの学習に転向しました。しかし、不祥事が起き、インターンシップは中止。ここから、援助活動とビジネスの間とも言えるソーシャルビジネスのノウハウを学び、専門性を付け、成果を残したいと考えました。

成果

①社会起業家コース内コンペ優勝
②San Diego Social Innovation Challengeセミファイナル進出
③神戸CSR研究会への発表決定 (社会的インパクトの評価やコレクティブインパクトをテーマとした調査結果の発表)
④ステークホルダーから理解を得る、支持されることの重要性を学んだ。

ついた力

PDCA力

PDCAサイクルを意識し、回せる力です。
社会起業家コースで計画(Plan)し、実際に起業経験を通し実践(Do)し、内外の評価(Check)から問題点が判明し、ソーシャルビジネスの難しさ等を学べた。ここから、新たな課題、例えば「ステークホルダーとの対話や協働」を意識しながら次に活かしています(Act)。こういった経験からPDCA力がついたと言えるかもしれないと考えています。

今後の展望

多様なステークホルダーと関わりを持ち、対話を繰り返し、共感や信頼を得られる人材。そして、マルチなステークホルダーらと足並みをそろえながらソーシャルビジネスを行える人材になりたい。

留学スケジュール

2016年
8月~
2017年
5月

アメリカ合衆国(サンディエゴ)

①サンディエゴ州立大学で、社会起業家コースで知り合った友人と、新しいソーシャルビジネスの立案を、一年間実施。授業内コンペでは優勝。サンディエゴのコンペでは、セミファイナル進出。実際に起業(NPO設立)する。
②サンディエゴで、San Diego County Childhood Obesity Initiativeの調査を、半年間実施。20回以上のインタビューと5回の会議参加。また、その調査結果を神戸CSR研究会で発表予定。

両方で感じたことは、多様なセクターとの対話や協働の重要性でした。複雑な社会問題である子供の肥満問題を多様なセクターで協力して解決していく②のイニシアチブの取り組みは、同じく複雑な社会問題である貧困問題に取り組んだ自分達にとって学ぶものが多かった。

費用詳細

学費:納入総額

230,000 円

住居費:月額

140,000 円

生活費:月額

20,000 円

項目:スマートフォン代

60,000 円

現地のソーシャルビジネスコンペのAwardに参加した時の一枚
調査先のイニシアチブのロゴ
費用詳細

学費:納入総額

230,000 円

住居費:月額

140,000 円

生活費:月額

20,000 円

項目:スマートフォン代

60,000 円

スペシャルエピソード

感謝してもしきれない、お世話になった・大好きな人

正直、いつも息抜きできた空間はここでした。写真の彼らは、毎週金曜日や休日に、よく食事などに誘ってくれた仲間達です。勉強や活動の合間をぬって、よくお邪魔していました。正直、一人暮らしで寂しく、かといってビジネスのことを考えるのも疲れるため、起業メンバーとの時間ではなく、たまたまエバンジェリスト活動の一貫で行なった日本語のTAで知り合った仲間との時間が息抜きになっていました。彼らも忘れてはならない大切な仲間で、感謝してもしきれません。

台湾人の友達の家にお邪魔して、日本食パーティーをした時の一枚

ソーシャルビジネスに必要なこと

成果の④と重なるが、自分達が起こした"ビジネス"は、「ステークホルダーから理解を得る、支持される」という点が欠落していたと感じている。
アイデアはラウンドリーバイク(洗濯と乾燥をこぎながら行える自転車)という資産をホームレスの方にリースするといったものです。加えて、彼らが訪問洗濯サービスを行えるように支援し、雇用創出・収入向上も狙いました。しかし、「ホームレスの方が業務中に襲われたらどうするのか?」、「ラウンドリーバイクの駐車場は公共の場になり、迷惑じゃないのか?」といったリスクから、コンサルタントを通じ、注意を受けた。結果、事業は一時中断となっています。もちろん、その他にも問題点が多く、利益も出ないと踏んだこともあります。しかし、それでも、もっと展開することもできた。ですが、仮に展開し、利益が出たとしても、いずれ訴訟などになるのは目に見えていると感じます。
この失敗経験は、単なる"ビジネス"ではなく"ソーシャルビジネス"を目指す者が重視していくべきものを悟らせてくれたと思います。もちろん、良いアイデアでも、最初は理解を得られないかもしれないが、それを推し進める価値があるなら、周囲の理解を得られるよう、周囲と接点を持ち、共感を呼ぶ努力をすべきでしょう。

大切なことを気づかせてくれたソーシャルビジネスコンペでの一枚

大学発の起業(NPOの立ち上げも含め)

  • 帰国後の進路 : 起業

起業には「お金」も「人」も「知識」も「時間」も必要です。他にも「信頼」なども挙げていけばキリがありません。学生時代に起業なんて、一般的には考えないのではないでしょうか。
しかし、アメリカの、少なくともサンディエゴ州立大学では、起業支援がしっかりと整っています。インキュベーション組織としても機能し、lawyerなどを紹介してくれるなどのサポートが満載のco-working spaceがあったり、起業に必要な知識やネットワークを提供してくれる授業も多いです。
なので、もし起業を考えている方がいるのであれば、案外、日本よりもアメリカの大学に留学して、現地の大学を基盤に起業してみてもいいのではないでしょうか。もちろん、それでもいばらの道だとは思いますが、挑戦できる環境としてはアメリカのサンディエゴ州立大学のような場はおすすめです。

これから留学へ行く人へのメッセージ

留学中は上手くいかないことも多く、つらいことが多いと思います。また、帰国してから就活する人は結構つらいかもしれません。しかし、留学した経験が無意味であるはずがありません。自分の留学目的を整理し、留学した後、その目的を果たせ、今後の展望に活かせる学びや経験をしてきたと言えるのであれば、それは価値のある事です。否定される事もあるかもですが、僕たちの生み出す価値を証明できるように一緒に頑張りましょう!