留学内容
今回の留学の最大の目的はprecision medicine実現に向けての足がかりを掴むことであった。例えば癌の治療では薬を使ってみて合う合わないが初めてわかるという感じであるが、もし治療開始前に遺伝子や血液検査などの低侵襲の検査から、よく効く薬がわかれば医療費の削減にも治療効果の向上にもつながる。また、小児の疾患は成人の疾患よりも遺伝子が原因で起こる疾患の割合が多い。従って、実際にこども病院の病理診断科で診断業務の手伝いや研究に携わることにより、個人個人の病理組織像を踏まえた治療方針を病理医側から提案するプロセスを現場レベルで理解し、遺伝子をもとに治療方針を決定するprecision medicineと近い形で医療に関わった。
それとは別に、日本では深刻な病理医不足の問題がある。日本とアメリカで病理医の働く環境の違いや医療への姿勢、他科との関わり方を目の当たりにして、日本よりも責任の大きく、発言力もある。最も大きな違いとして、日本では得意な臓器はあっても基本的に病理医はすべての臓器を見るが、アメリカではそれぞれが病理医の中で専門に別れることにより、より働きやすく、効率的に仕事をしていることが見て取れた。