平成27年10月に定めた「教育に関する大綱」において、グローバルな社会で活躍するための「使える」外国語教育の推進を掲げる同県。同年度の調査では、生徒数2万3468人のうち、留学したのが485人と、海外留学した生徒の割合は全国1位を記録。また、全都道府県で唯一、2%を上まわる2.07%の留学率にもなっている。
高い留学比率の要因のひとつとして、県教委は平成23年度(2011年度)から継続している、県内の高校2年生約100人を2週間派遣する制度(費用半額補助)をあげる。
同制度は毎年9月から10月にかけて募集を行う。(県が派遣先と時期を指定し、プロポーザルにより委託業者を選定。委託業者のプログラムに対して募集をかける)1校あたりの応募上限は10名とし、11月に参加者が決まってからは、派遣を実施する3月まで、月に1回程度のペースで事前研修も実施。
「県としては大きな予算を必要とするが、毎年継続して参加者を出す学校も多く、高い評価と満足度を得ている」(福井県教育委員会)という。運営は県と業者での協働。今年3月に実施したものからは、派遣する100名すべてを異なるホームステイ先にするなど、取り組みは進化している。
参加した学校からは「英語、特に聞く、話す力への習得の意欲が高まり、全体として英語の学力が向上した。」「昼休みや放課後などにALT(外国語指導助手)と積極的に会話するようになった」といった英語学習への姿勢だけでなく、「多様な考えや、自分とは異なる意見も柔軟に取り入れ、物事を推進しようと心がけるようになった」といった声が聞かれたという。
県は他にも、平成28年度(2016年度)から、ふるさと納税寄付金を財源にした長期(1年または2年)海外留学制度、「福井県きぼう応援海外留学奨学金」をスタート。これまでに7名の生徒を送り出している。
「奨学金制度だけでなく、県費でALTを増やしたり、海外からの学生の受け入れ、留学説明会の実施など、国際交流の取り組みの積み重ねも海外留学志向が高まる要因ではないか」(同県教委)ととらえている。