【北海道】3日間「英語漬け」のグローバルキャンプで地域の視点を併せ持つ人材を育成

 北海道教育庁は道内の高校生を対象に、グローバル感覚を高めてもらいながら地域の視点を併せ持つ人材の育成を目的に、「北海道グローバル人材育成キャンプ」を開催している。
 令和元年度は4カ所で開催し、それぞれの期間は2泊3日(道央の札幌市での開催は宿泊なしで3日間)となっている。キャンプ中は「すべて英語で生活し、外国語を通じて積極的なコミュニケーションを図る態度を身につけてもらう」のが狙いという。地球規模の視野とともに地域の視点を忘れないグローバル人材を育てる狙いで、高校生に「英語漬け」の3日間を体験してもらう。

地区 開催日
道央(札幌市) 令和1(2019年)8月6日(火)~8日(木)=終了
道南(森町) 令和1(2019年)7月29日(月)~31日(水)=終了
道北(北見市) 令和1(2019年)8月5日(月)~7日(水)=終了
道東(足寄町) 令和2(2019年)1月7日(火)~9日(木)

 道南・森町の「ネイパル森」で開催した道南キャンプには、全道各地(渡島・胆振・後志・石狩)から33名の高校生が参加した。道内の高校で英語の授業を受け持つALT(外国語指導助手)らによるアイスブレイクゲームで少しずつ打ち解けることから始まり、キャンプ活動を共にするメンバーとの交流を深めるためチームフラッグを作った。
 またワークショップでは、函館大学の阿部ジョスリン講師が「意見の考え方や効果的な伝え方について」をテーマに講演したあと、ペアを組んで意見交換をしたほか、大人数での意見交換の活動を通して他者に賛同しながらも批判的に聞きながら、自分の意見を伝える方法を学んだという。
さらに、コミュニケーション活動として参加者全員が英語で「自分の町のグローバル化」についてスピーチなどもした。
 わずか3日間ながら英語だけのキャンプ生活による効果は大きいようで、「意思疎通にもどかしさを感じた経験から、英語など外国語の勉強に熱を入れる生徒が増えた」(キャンプ主催者)という。

 北海道は平成28年9月に「北海道におけるグローバル人材の育成に向けて」という人材育成の指針をまとめた。北海道庁は新たな指針をまとめた背景を、「北海道は全国を上回るスピードで人口減少・少子高齢化が進む一方、外国人観光客の増加や北海道産食品の輸出拡大など、急速に進展するグローバル化への対応が必要な状況となっている。こうした状況の変化に対応できる『グローバル人材』を育成していくにあたり、求める資質・能力やその優先順位については、多様な受け止めがあることを踏まえ、道民の皆様と共有する『北海道に求められるグローバル人材像』が必要と考えた」(道庁資料)と説明する。
 日本の中でも特に豊富な観光資源を抱える北海道は、外国人の流入が首都圏や大都市圏に次いで多い。平成27年12月時点での外国人登録者数は約2万5,700人あり、平成22年からの伸びは年率15.5%と全国平均を上回る。官公庁(JNTO)によると、訪日外国人観光客数は平成30年度に298万人となり、平成21年(約67万5,000人)の4.4倍にまで急拡大した。
 外国人観光客にとって「HOKKAIDO」はブランド化しているといってよい。北海道は平成28年度4月時点で、道内の74自治体(全体の約 40%)が外国との姉妹友好都市提携を結んだ。提携する自治体数は 125と全都道府県で最も多い水準となっており、グローバルな交流の基盤は身近にあると考えられるのだ。
 一方で、道が実施した意見交換会やアンケート調査では「多くの日本人学生は、外国人留学生との交流に消極的である」という指摘もあるなど、若い世代の国際交流を盛り上げるにはまだまだ課題もあると認識している。
 そこで北海道は「道に求められるグローバル人材像」を、「北海道への誇りと異なる文化への寛容を身につけ、国際社会に貢献する高い志と広い視野を持って、地域や世界の課題解決に向けて主体的に取り組もうとする意思を持つ人材」と定義し、高校生を含む若い世代からグローバル人材の育成を進めていこうとしている。

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