佐賀県では教育振興課内にグローバル人材育成担当を配置し、グローバル化の進展に対応 するため、中・高校生に国際的な視野とコミュニケーション能力を身に付けさせ、国際社 会で活躍する人材の育成のため継続した取組を行っている。「1.機運醸成」「2.体験的 英語活動」「3.多様な助成金」の3本柱で中・高校生への留学促進の取組を展開。今回は コロナ禍を経ての現状の3つの取組について紹介する。
毎年作成し、県内全中学生と高校1、2年生に配布(約 42,000 部)
毎年作成してホームページに掲載。
海外での活動経験等を生かし各方面で活躍する日本人講師や、海外でも事業を展開する企業等を学校に派遣し、グローバル社会においてどのような力が必要とされているのか等を 考えさせるきっかけとしている。派遣する講師は、例えば JICA の海外派遣員や、県産品を海外に輸出する取り組みをしている方、海外展開している小売業の方など幅広い。
国内で行う体験的英語活動として、県内の小学校・中学校・高校で行う授業や課外活動に
県からネイティブ・スピーカーを派遣する「イングリッシュ・デイ」がある。
各学校が企画・応募、教育振興課が ALT や県内の外国人留学生等を1校あたり2~4名、約 30 校に派遣している。
英語は授業で学んでいるものの、身近に外国人がいないので話す機会が少ないのが課題。
そこで、高校の定期テスト期間中など、
ALT の時間的な余裕ができるタイミングを活かして、応募校に派遣している。
他にも、ハウステンボスなど近県の民間施設で外国人コーチ相手に自分の英語でミッションチャレンジする「英会話体験プログラム(写真上)」や、
1泊2日の合宿形式で、ネイティブ講師のリードの下、
様々の活動を行う「英会話サマーキャンプ(写真下)」を実施している。
サマーキャンプは参加人数が中高それぞれ 40 名ほどで、自己負担 5,000~6,000 円 程度で参加できるよう支援している。
佐賀県の中・高校生への助成金の取組には以下のものが挙げられる。最近の支援概要はあとのとおり。
2021 年度に 7 名、2022 年度は 8 名(春出発予定の3名含む)の生徒を支援。渡航先はア メリカ、カナダ、ドイツ、エストニアなどの北米・EU 圏が中心。
2021 年度は 0 名、2022 年度は 1 名がカナダに留学した。
2021 年度は 2 名、2022 年度については、夏は 35 名、この 3 月出発予定 31 名の合計 66 名を支援している。
こちらは県内の高校教員で構成する教育研究会のうち、専門高校に係る研究部会(農業・
工業・商業・家庭・福祉)の5つの部会で海外研修への助成を行い、引率する教員の費用負担も行うという支援。
コロナ禍以降は、海外への渡航が困難な場合はオンラインを活用した国内での代替研修も
対象として認めた。日本に来て専門分野を学んでいる留学生から話を聞いたり、大学の先生から講義を受けたりする国内の対面での講義のほか、海外とオンラインでつないでの研
修も実施した。助成限度額が 1 名あたり 12 万円ということもあり、渡航しての研修はアジアが中心だったが、オンライン化することで、デンマークなど相手の国の幅が広がった。
こちらは1団体あたり 50 万円を助成し、学校単位での海外研修の取組を後押しするもの。 コロナ後は海外渡航型だけでなく、国内の英語村での研修など、 国際的感覚やコミュニケーション能力を高める国内代替研修も支援の対象としている。
このように、佐賀県では、海外留学等に関する情報の周知・啓発を行うことで、中・高校生や保護者の海外留学等に向けた機運を高め、 さらに国内においてネイティブ・スピーカー等との交流を経験する中で、日々の英語学習への自信、更なる英語学習意欲の向上、 海外への興味・関心を高めている。これらの取組により海外留学や海外研修にチャレンジしたいと思う中・高校生には、 助成金により経済的負担の軽減を図ることによって、そのチャレンジする気持ちを後押ししていきたい。