留学大図鑑 留学大図鑑

Arisa

出身・在学高校:
東洋英和女学院高等部
出身・在学校:
杏林大学
出身・在学学部学科:
医学部
在籍企業・組織:


最終更新日:2019年04月17日 初回執筆日:2019年04月17日

言語や文化の違いを医療の障壁にさせない!

留学テーマ・分野:
大学生:交換・認定留学(日本の大学に在籍しながら現地単位取得を伴う留学)
留学先(所属・専攻 / 国 / 都市):
  • King's College London, GKT School of Medicine
  • イギリス
  • ロンドン
留学期間:
1か月
総費用:
500,000円 ・ 奨学金あり
  • トビタテ!留学JAPAN「日本代表/新・日本代表プログラム」 400,000円
  • 大学独自のもの 100,000円

語学力:

言語 留学前 留学後
英語 授業や会議の内容が理解でき、必要な発言ができるレベル<英検準1級, IELTS 7.0> 授業や会議の内容が理解でき、必要な発言ができるレベル

留学内容

臨床実習を通じ、日本の現場には未だ患者の多様な言語・文化・社会背景への理解・受け入れ態勢が十分でないと感じました。そこで以前見学し、そのきめ細やかな医療に感銘を受けたイギリスにもう一度留学したいと考えました。具体的にはKing's College Hospital神経内科での1か月間の臨床実習と、St. Joseph's Hospiceでの終末期ケアの見学です。KCHでは神経内科の実習はもちろんのこと、同時電話通訳サービスや礼拝堂を常設しているなど、日本も今後取り入れるべき国際診療の現場を勉強できました。また、かかりつけ医制度(GP)により大学病院は専門治療に専念できる一方で、患者はGPへの診療に予約が必要である、医療機関へのアクセスが限られているなど、日英医療の違いも学びました。その結果、日本では医師個人レベルの総合診療をより養うべきであると感じ、就職先を再考するきっかけになりました。St. Joseph's Hospiceでは多様な死生観へのケアを見学し、常勤の聖職者の方々とお話しする機会もいただきました。今後は通訳サービスの拡充や指差し会話帳を使った他言語での診療を練習するなど、言語や文化の違いが医療の障壁にならないための活動に取り組む予定です。

留学の動機

私が将来目指す医療は、病気だけでなく、その患者が病気により抱えている様々な問題までを包括的にケアする医療です。しかし医学部の臨床実習にて、患者個人の背景までを考える余裕が無い時がある、言語や文化の多様性への理解が未だ現場に浸透していないという現状を目の当たりにしました。そこで以前、多様な死生観に対応する医療に感銘を受けたイギリスにもう一度留学し、日本に還元したいと考え渡英しました。

成果

KCH神経内科での実習では周りの医師が忙しく放置されることもありましたが、自分で患者の診察を取りに行き質問するようにしました。また通訳など国際診療の現場も勉強できました。その他GPと大学病院双方の医師から話を伺い、総合診療の重要性や今後の日本医療を考察しました。ホスピスでは訪問診療や、聖職者の方との懇談を通し患者の多様性へのケアを学びました。

ついた力

前進力

毎日のように新しい部門へ行き、自己紹介をし、 会話ではついて行けないこともあり「せっかく神経医学の有名病院に来たのに!これが日本語だったらもっと勉強できるのに!」と思うこともありました。しかし気持ちを切り替えてからは「詳細はわからなかったけど、少しわかったからもう一度質問してみよう」「今自分がいる環境で吸収できることは何だろう?」と常に考え、行動する力が確実に身につきました。

今後の展望

将来は神経内科医として病気と共に人生を歩む慢性期の患者さんの力になりたいと考えています。また今回の留学を通じて日本での国際診療のヒントをたくさん得ました。具体的には医療版指差し会話帳を用いた他言語での診療を医学部在学中から取り入れる、同時電話通訳サービスの拡充に積極的に取り組みたいと考えています。

留学スケジュール

2018年
5月~
2018年
6月

イギリス(ロンドン)

KCH神経内科の様々な部門を4週間で実習しました。1週目は病棟回診の後、見学できる手技はないか尋ねて同行したり、先生方に所見を取りやすい患者さんを教えていただく、もしくは回診中に聞き取りやすい英語を話す方を覚えておき、その後、実際に患者さんの診察を取りに行きました。
2週目は検査(脳波、筋電図など)の見学などしました。3週目は脳卒中部門で実習を行いました。約30人の患者が入院しており、新入院は1日あたり4-5 件です。朝の新入院カンファレンスで出血部位を確認し、推測される神経症状を考え、その後の回診で確認、質問をしました。言葉の概念さえ失っている人、体が動かない人、脳の機能の精密さを感じるとともに、脳卒中の恐ろしさを改めて感じました。
4週目には神経内科外来以外にも、脳神経外科や心理学検査での実習も行いました。

費用詳細

学費:納入総額

35,000 円

住居費:月額

280,000 円

生活費:月額

40,000 円

King's College Hospital
費用詳細

学費:納入総額

35,000 円

住居費:月額

280,000 円

生活費:月額

40,000 円

スペシャルエピソード

感謝してもしきれない、お世話になった・大好きな人

同時期に大学の同級生がサウサンプトンにてGP(総合診療医)の先生のお宅にて実習をしていた為、土日を利用してお会いしました。先生のご家族はとても温かく迎えてくださり、ロンドンで1人生活している私を常に気遣ってくださいました。大学病院とGPの違いや、NHSの問題など様々な議論をしました。お会いできて本当に光栄でした。

ご家族と日帰り旅行にも出かけました

カンファレンスについていけず涙!

  • 語学力 : 英語

専門用語はある程度勉強してから渡英しましたが、まず会話のスピードが速くてついていけないことが多く、落ち込みました。1:1の会話ならどうにかなりましたが、カンファレンスなど多くの医師がいる場では難しかったです。最初は自分の勉強不足に意気消沈しましたが、元々自分の英語力を考えればその結果が妥当でした。この事実に気付いてからは、今勉強できることを最大限吸収することを目標としました。詳細はわからなくても、断片的に聞き取れたものはもう一度質問しました。また、これは臨床留学する学生に言えることですが、画像診断が多い診療科の方が言語がわからなくても勉強できることが多いかもしれません。例えば、私は神経内科ローテ中に脳卒中ユニットにも行きました。毎朝の画像カンファレンスで各患者の病巣を見て、症状がある程度イメージできるため、その後の質問がしやすかったです。困難や課題に遭遇しても、今ある環境で何ができるか。このことを常に考えるのが、留学をより充実させる為のヒントだと思います。

これから留学へ行く人へのメッセージ

このテーマで留学して本当に良かったです。医学の勉強だけでなく、診療所との連携など今の日本の医療についても考察できました。また自身の経験から、いかに言葉が通じない患者さんが不安な気持ちなのか分かりました。これからの日本には多様性への理解と尊重が必要ですが、国内では多様な文化は体験できません。将来の日本の為にも是非留学してください。 貴方の見聞は広がり、そこで得た経験は将来の糧となるはずです。