留学大図鑑 留学大図鑑

大澤 有紀

出身・在学高校:
埼玉県立浦和第一女子高等学校
出身・在学校:
千葉大学大学院
出身・在学学部学科:
工学研究科共生応用化学専攻
在籍企業・組織:


最終更新日:2017年10月19日 初回執筆日:2017年10月19日

グローバルな研究者になるために

留学テーマ・分野:
大学院生:交換・研究留学(日本の大学院に在籍しながら現地大学院内で学ぶ留学)
留学先(所属・専攻 / 国 / 都市):
  • リヨン第一大学 LAGEP
  • フランス
  • リヨン
留学期間:
3か月
総費用:
950,000円 ・ 奨学金あり
  • トビタテ!留学JAPAN「日本代表/新・日本代表プログラム」 680,000円
  • JASSO 貸与型奨学金 414,000円

語学力:

言語 留学前 留学後
英語 授業や会議の内容が理解でき、必要な発言ができるレベル<TOEIC 805点> 専門的な研究や会議において、議論や調整ができるレベル<TOEIC 885点>

留学内容

私は「グローバルな研究者になるために、海外に挑戦!」というテーマで、フランス、リヨン第一大学付属研究所内の研究室で研究活動を行いました。そもそも私は、理系で海外に興味がある、グローバルに活躍したいという思いが以前からありましたが、修士で合成系の人間が研究留学したという前例はなく、『留学することのメリットデメリット』や、そもそも『グローバルな研究者』という明確な手本が身近にありませんでした。また、大学内の留学プログラムもなく、奨学金も不十分なものでした。しかしそこで諦めるのではなく、前例がないなら私が前例となれば良い、私が留学することで、メリットデメリットが明らかになり、後に続く人が現れてほしい、という一心から、トビタテを利用して留学することを決意しました。実際にフランス、リヨン第一大学にある研究施設であるLAGEPに3か月滞在し、自分の専門である高分子微粒子の作製と、滞在先の専門であるバイオイメージング用診断などへの応用を組み合わせたテーマで研究を行いました。また、現地で英語での研究交流を行ったり、特技の日本舞踊を披露したりするなど、研究活動以外の文化交流にも積極的に取り組みました。

留学の動機

大学入学当初から語学や異文化に対して興味があり、学部で1か月、アメリカに語学留学に行きました。その際、現地の友人に頼んで有機化学の講義を受講し、日本とは異なり積極的に講義を受講する学生の姿を目の当たりにしました。そこで「このように講義に対しても前向きに取り組む学生ならば、研究に対してもそうであるに違いない」と思い、研究スキルを身に付けた修士での研究留学を目標としました。

成果

「バイオイメージングに応用可能な高分子微粒子の作製」という研究テーマで私は留学を行いました。高分子微粒子合成は私の専門であり、滞在先は高分子微粒子をバイオイメージングに応用することを専門としており、互いの得意分野を組み合わせたテーマです。実際滞在先では、タイやレバノン、メキシコといった世界各国から集まった博士課程の学生とともに毎日研究を行いました。

ついた力

国境のない柔軟な思考行動力

私は留学を通じ、海外に対する意識の壁が非常に低くなりました。帰国してからも実験結果について、留学先で知り合った博士課程の学生と気軽に英語で電話議論したり、メールでやり取りを行うようになりました。これらは全て、多国籍の学生とともに英語で研究を行っていたため、国籍や言語の違いを意識しなくなったからです。

今後の展望

私は留学を通じ、『国境を全く意識しない地球規模の視点』を身に付けました。これは研究活動においてフットワークが軽くなるだけでなく、日常生活においても大きな変化を感じています。今後は身に付けたこの視点とともに、グローバルな視点を持って活躍する、モノづくりの研究者として活動していきたいです。

留学スケジュール

2016年
8月~
2016年
11月

フランス(リヨン)

リヨン第一大学付属研究機関であるLAGEPに滞在しました。宿泊先は、現地の人と交流したいという思いから、費用はかさみましたが、現地の人のところにホームステイをして過ごしました。滞在機関の半分で1度引っ越しをし、二箇所でホームステイをしました。最初の場所は、英語が話せるとプロフィールにはありましたが、実際は殆ど話すことができず、ホームステイ先と意思疎通が出来ませんでした。しかし引っ越した先の二軒目は、英語が堪能な学生カップルであり、フランス料理を教わったり、パーティーをしたりするなど、フランス人だけでなくドイツ人など様々な人と交流することができました。特に私が肉じゃがを作ったときは非常に喜んでくれたり、インスタント味噌汁をごちそうしたときは「高級な寿司料理店でないと味わえないものをありがとう」と言ってくれたりするなど、印象的なことが多くありました。

費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

リヨンのクロワ・ルースの丘の上から
費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

スペシャルエピソード

ココでしか得られなかった、貴重な学び

自分は理系なのに専門だけでなく広い視野を持ちたいとはおかしいことじゃないのか、といった世間とのズレをきちんと認識した上で、私自身がどうありたいかを、経験を元に考え、そして自分自身で結論付けることができたことです。一番大きなきっかけは、バイオチューズデイという、リヨン市の商工会議所が主催の、ライフサイエンスをメインとした交流イベントに参加させてもらったことでした。管理職クラスしか参加できないイベントなのにも関わらず、参加の半数近くが女性で、4人いるプレゼンテーターのうち3人もまた女性でした。聞けばフランスでは女性管理職というのは、”女性だから”ということが問題にさえならないくらい、当たり前だといいます。それを聞いて、世界にはこのような国もあってそれで成り立っているのであれば、「女性」や「理系」など自分が悩んでいることはとても小さな問題なのではないか、と思えてきました。そして帰国後グローバルリーダーの講演を聞き、広い視野を持つことは良いことであり、自分の価値観で自分の道を歩むことも、1つの”グローバルリーダーとしての在り方”として良いのではないか、と思うことができました。これらは全て、フランスという国に行き、実際体験したから納得したことであって、留学に行かず「フランスとはこういう国であり、こういうスタイルもアリですよ」という情報を見ただけでは納得はしなかったと思います。

リヨン、バイオチューズデイイベント写真。公式サイトより引用

協定校ではないことの難しさ

  • 費用 : 奨学金

私が今回滞在した先は大学の協定校ではなく、また滞在期間は3か月弱と、留学においては短い方でした。ですので民間や大学の奨学金を利用しようとしても、条件に「協定校などの滞在が単位として認められるもの」「滞在期間が9か月以上のもの」などの制限がありました。また1か月の短期滞在用では額が足りないという問題もありました。そのような中で唯一私に適していたのがトビタテでしたが、この答えに至るまでには非常に長い期間を要しました。

留学前にやっておけばよかったこと

フランス語を学習することです。研究や修士の授業で忙しく、そのような時間は全くなかったのですが、それでも少しは勉強しておくべきでした。日常生活で不便するかどうかという問題ではなく、フランスで生活している人々の会話が聞き取れないため、彼らがどのような社会で生活しているかという点が分からず、もったいないことをしたと思っています。

これから留学へ行く人へのメッセージ

留学に行くということは非常に良いことです。学術的にも、人間的にも大きな成長が見込めるでしょう。しかしながら日本は島国であり、海外に出るには大きな費用と労力が必要とされます。英語などの語学力も最低限必要です。そのような条件の中で、「何故行きたいのか」「どうして今なのか」「海外でないと駄目なのか」という点をきちんと考え抜き、自他ともに納得できるような説明ができるようになれば、問題はありません。