留学内容
将来の公共空間デザインを考えるため、多様な人種、文化、言語が共存するヨーロッパの研究留学を計画した。生活の拠点にしたパリはヨーロッパ有数の大都市であり、様々な人々が日々出入りしている都市である。ヨーロッパは社会保障やまちづくりなど、かつてから日本が社会のシステム作りで手本にしてきただけでなく、今後より加速するであろうグローバル社会を体現している地域であるためその対象に選んだ。実際にはパリ14区Saint Vincent de Paul地区で行われている暫定的公共空間プロジェクト「Les Grands Voisins」を研究対象とし、2019年1月から6月まで継続して現地調査を行うことで、そのプロジェクトの運営や空間などの実態を明らかにした。調査、研究結果は9月に行われた2019年度日本建築学会大会において発表しただけでなく、修士論文としてまとめ発表するつもりである。また、この事例以外にもヨーロッパ各地の暫定的公共空間プロジェクトの事例を訪問し、研究対象との比較などに役立てた。事例の中には、実際に空間作りに参加し、作ることの難しさや楽しさ、そこで偶発的に生まれる人間関係の面白さを実感できた。留学を通じて、日本では軽んじられがちな、暫定的な公共空間によって生まれる環境の意味やあり方について深く考えることができ、今後日本でそのような環境が実現できるように活動していきたいと考えている。