留学大図鑑 留学大図鑑

サツキ

出身・在学高校:
京都市立西京高校
出身・在学校:
京都大学大学院
出身・在学学部学科:
総合生存学館
在籍企業・組織:


最終更新日:2020年06月09日 初回執筆日:2020年06月09日

目標のためにとことん突き詰めた日々

留学テーマ・分野:
大学院生:交換・研究留学(日本の大学院に在籍しながら現地大学院内で学ぶ留学)
留学先(所属・専攻 / 国 / 都市):
  • Banaras Hindu University・UN Global Compact Network India
  • インド
  • ウッタル・プラデシュ州 ヴァラナシ・ニューデリー
留学期間:
11ヶ月
総費用:
1,100,000円 ・ 奨学金あり
  • トビタテ!留学JAPAN「日本代表/新・日本代表プログラム」 1,470,000円

語学力:

言語 留学前 留学後
英語 授業や会議の内容が理解でき、必要な発言ができるレベル 専門的な研究や会議において、議論や調整ができるレベル

留学内容

私は、インドで交換留学とインターンを行いました。Banaras Hindu University(BHU)では毎日開講される授業で社会学のジェンダー理論を中心に学びました。その理論をベースに日本の伝統的な家父長制にもとづく女性差別についてのプレゼンテーションを学部生向けの授業、他研究科や外部の大学で行ないました。日本は先進国でジェンダーに基づく差別はないと思われており、私もそう考えていました。しかし、授業を受け、日本の事例を考え、インドで起きている差別について考えた時に日本がジェンダーイシューの後進国であることに気づかされました。
インドにおいて性別役割分業の考えが強い特徴を授業で学びましたが、その知識は後のUN Global Compact Network India (GCNI)でのインターンシップ活動で、なぜ女性のエンパワーメントをテーマとしたワークショップが必要で、なぜ女性が上司に対して交渉術を身につける内容を提供するのか、日本人の目線では不思議に思うワークショップを行なうのか、という問いに対してスムーズに理解する助けとなりました。
 今まで論文の中でしか出会わなかった言葉に現地で実際に出会い、状況を見ることになりました。今、論文の言葉とその経験が結びつき、情景がありありを思い浮かべることができます。

留学の動機

現在、大学院でインドのジェンダー教育を研究しています。インドの教育を研究しているのに、教育機関を実際に見に行かないのは自分自身のためにならないと強く思ったためです。また、大学を卒業した学生がどのような心でどのように働くのかにも興味があったため、インターンも行いました。

成果

研究に必要なデータを得て、論文を執筆したことの他に、思いがけない成果がありました。例えば、先述したプレゼンで努力と実力とプレゼンスキルが認められ、バラナシの小学校で「日本文化と日本語を知るワークショップ」を隔週で開くことができたことです。また、インターン先で初の「持続可能な教育」をテーマとしたシンポジウムを開催しました。私はイベントの広報活動の主戦力として働き、100人以上の参加者を集めました。

ついた力

爆破力

元々積極的な行動をとらない自分が勇気を出して、事務室を爆破する勢いで学校事務員に交渉を挑んだことからこの言葉は由来します。この力はインターンでも発揮されました。本来望んでいた仕事に就けず、上司に相談しても状況が変わらなかったため、事務局長に直談判し、自分の状況や意思を伝えました。残念ながら、状況は変わらなかったのですが、それ以来トップの前でも堂々と話せるようになりました。

今後の展望

大学院に戻り、また研究を進めていきたいと考えています。将来は、発展途上国において、商品やサービスの授受を通じて、女性がエンパワーメントしていくようなビジネスを行いたいです。

留学スケジュール

2019年
1月~
2019年
6月

インド(ウッタルプラデシュ州ヴァラナシ)

BHUでは毎日ジェンダー教育に関する講義の準備と聴講と復習に追われていました。また、放課後にはヒンディー語のプライベートレッスンを受けて、4か月で文字も読めないレベルから中級レベルまで勉強しました。忙しい合間に、インド人の友人とチャイを飲み、サモサと呼ばれるおやつを食べ、ファッションや映画から政治についてまで話したことは、研究のヒントとなりました。また、学生寮に住んでおり、夕食後に友達の部屋に行って私の寮の門限ぎりぎりまで、一緒にテスト勉強をし、インドの教育について議論したことは今でも忘れられません。

費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

2,400 円

生活費:月額

32,000 円

日本文化に関するワークショップを行いました。
費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

2,400 円

生活費:月額

32,000 円

2019年
7月~
2019年
11月

インド(ニューデリー)

首都ニューデリーに移り、インターンを始めました。大学院で研究生活になじんでいた私にとって、不慣れなオフィスワークは失敗の連続でした。主にイベントの広報を担当していましたが、企画・運営の一連の流れもそこで勉強しました。昼ご飯の時間は毎日カレーを食べ、働く女性社員の悩みや愚痴や将来観を共有することで、今研究していることの意義を見出しました。たくさん話す中で、途上国の女性に対するバイアスの“抑圧された女性”の他に、私と同じ「等身大の女性」や「伝統と発展の狭間の女性」など様々な生き方をしている女性に出会いました。

費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

27,200 円

生活費:月額

48,000 円

GCNI初のイベントを行った後の集合写真
費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

27,200 円

生活費:月額

48,000 円

スペシャルエピソード

あなたにとって留学とは?

多くのムダや失敗の中から本質に気づく能力が備わること、また、ムダや失敗が許される、いわばチャレンジが許されることが留学の価値だと思います。私はインドならではのムダに直面することが多くありました。たとえば、関わる人々の遅刻やイベントでのトラブルなどです。しかし、そこからその状況が起きる原因について日本よりも深くそしてじっくりと考えることができました。これは、社会にある様々な現象の原因を分析する力にも通じると考えるようになりました。例えば、書類にトップからサインをもらう作業一つだけなのに長い時間待つことがありました。ここから、時間の価値を再認識したと同時に、インドタイムがなぜ発生するのかを学校事務の観察を通して分析していました。

ガンジス川で何もせずぼーっとすることもありました

ココでしか得られなかった、貴重な学び

私はインドに滞在していた11か月で、何度も友人や上司や指導教官に助けてもらいました。はじめは、助けられても、何かをもらっても、その方々に何も返すこともできなかったです。また、いつも助けてくれる友人は「君を助けることが僕の喜びなんだ」とも言われ、理解もできませんでした。しかし、その彼から「喜んで人を助けること」「恩送り」という言葉をもらいました。その意味は、誰かを助けたらいつか自分に還ってくること。そして、誰かに助けてもらったら、次は誰かが同じ状況になった時に助けてあげることです。それを聞いて、助けてもらった人(だけに)、返すことだけ考えていた自分は心が狭かったと思うようになりました。恩送りをすることで、助け合える世の中になるのではないかと考えました。

ピンチの時に助けてくれた友人

インドでの一人暮らし

  • 住まい探し : 一人暮らし

ホームステイ、寮暮らし、下宿、PG(Paying Guesthouse) など考えられます。ホームステイ、寮暮らし下宿は想像がつくと思いますが、PGは想像がつかない方もいるかと思います。
PGとは、私設寮のようなものですが、値段や物件によって1~3人部屋、食事・掃除の有無、家具の豪華さ、広さなどが異なります。大学の近くにはPG街が多く、大学生と一緒に住むことができます。独り暮らしが怖いと感じる人はPGを利用することがお勧めです。
一人暮らしとは異なり、ある程度プライベートが確保されなかったり、共同生活になったり、門限がある物件があったりと不自由な面はあります。また、物件によっては、大学の新学期前にしか入れなかったり、一年契約でしか結べなかったりと欠点はあります。
しかし、自分でガスや水道の契約をしたり、家具をそろえる必要もないですし、困った時には近所の友人が助けてくれるPGをお勧めします。私は、ニューデリーでPGを借りましたが、誕生日会に呼ばれたりキッチンで一緒にご飯をつくったりとインディアンカルチャーはそこで学びました。

留学前にやっておけばよかったこと

語学です。英語は言うまでもなく、できるならば現地の公用語(州によって異なる)を勉強してください。初対面でから打ち解けるスピードが速くなりますし、言語を通じてその国の文化やその言葉を話す人々の思考を紐解く作業になります。

留学を勧める・勧めない理由

私は留学を強く勧めます。なぜなら、自分の芯(もしくは心)を強くさせるチャンスだからです。本、教師や人からの話を取り入れても、そこにタフな体験を通じて、経験値を上げないとそれらの理解が深まらないからです。嘘だと思う貴方、実際に海外に飛び込んでください。

これから留学へ行く人へのメッセージ

家族や友人と離れ、コネクションも情報も乏しい中スタートした私のフィールドワークは、「自分は何がしたいのか、何が必要なのか」を自問自答する日々でした。己の意思を明確にし、自分で情報を得、自らの足で行動に移す。当たり前のことですが、これが困難や迷いを乗り越える方法なのだろうと思います。