留学内容
世界で最も映画の年間制作本数が多いインドにおいて、インド人は映画をどのように楽しんでいるのかを研究するための留学だった。そして、ただ映画のあり方を学ぶだけでなく、その熱狂的な盛り上がりの中に何か一つでも日本の映画産業に持ち込めそうなものは無いかを探った。
インドの大学生たちと一緒に各地の映画館を巡り、どのような映画がどのような楽しみ方をされているのか、また映画に関連したビジネスにはどのようなものがあるのかを調査した。分かったのは、貧農の差が激しいインドにおいて映画とは所得の高低を問わず楽しめるコンテンツであり、日本の映画とはそもそも性質が違ったということだった。高所得者にとっては映画館は日本と同じような「映画を見る場」であり、低所得者層にとっては「皆で見られる大きなテレビ」といった立ち位置であった。このような形態である以上、インド人の映画の楽しみ方をそのまま日本に持ってくるのは難しい。映画館ビジネスを救済するというのなら、映画を上映するだけではなくもっと映画館の他の使い方を増やした方がいいのではという結論に至った。